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台湾における三麻の振り返り

こんにちは、Cliff Lin です。

ちょり様主催の三麻Advent Calendar 2023に参加できて嬉しいです。

僕は2015年に設立された台湾大学の麻雀研究部に入部して、麻雀を学び始めました。さらに、2017年に三麻も始めました。この記事は2009年から現在まで台湾における日本式麻雀(特に三人麻雀)の発展を振り返るものです。インタビューによって完成したものがほとんどですので、内容に抜け落ちがありましたら大目に見てください。なお、各章の終わりに、天鳳で三麻の段位が八段以上であり、鳳凰卓で300戦以上の台湾現役プレイヤーを紹介します。

以下の文章で使用される「麻雀」というのは、「日本式麻雀」ということです。台湾式麻雀を指す場合には別途明記します。


1:台湾の麻雀団体の設立とオフラインイベント(2009年〜)

2009年、台湾の電子掲示板PTTでは麻雀のカテゴリが開設されました。そこには「雀龍門」や「麻雀格闘倶楽部」、「Maru-jan」、「天鳳」などのゲームから麻雀に興味を持ったプレイヤーが多く集まりました。また、テレビアニメ『咲-Saki-』の人気により、麻雀に詳しくなくても、遊び方を学ぼうとする人も多く出ました。2009年、香港のプレーヤー、魔女(天鳳ID: くるる)は、四鳳村の住民となりました。魔女さんが自身のブログに記した天鳳のエピソードや何切る問題は、当時非常に珍しい中国語の麻雀情報源でした。そして2011年に清華大学麻雀研究部が設立され、数十人規模による集会活動が始まりました。

2013年に設立された淡江大学麻雀研究部は、台湾における麻雀の普及において象徴的な意義を持っています。2014年から毎年開催される「雀鳳杯」麻雀競技大会を通じて、台湾各地の天鳳プレイヤーを集め、段位に応じて出場資格を決定しました。この大会は今でも台湾北部で最も重要なイベントの一つです。
淡江大学麻雀研究部の成功例があり、各校の学生たちも自分たちで麻雀研究部を立ち上げる意欲を持ち始めました。さらに、2018年に「雀魂」が登場し、雀魂には中国語のチュートリアルがあり、麻雀のルールを学ぶ言語の壁によるハードルがだいぶ下がりました。2023年に終了した第4回学生麻雀競技大会には25校の学生が出場し、麻雀は台湾の学生コミュニティで人気がある活動となっていることを示しています。

第1期雀鳳杯(2014)。画像提供元:淡江大学麻雀研究部

学校のサークル活動以外にも、社会人の貢献が台湾の麻雀の発展にとっても重要な力となっています。台湾・高雄の劉舫良さんは第1期雀鳳杯に参加した後、台湾南部の麻雀プレイヤーが手軽に参加できる麻雀競技大会「般若杯」を主催することを決意しました。この名前は、大洋ユニマックの麻雀牌「般若」に由来しています。般若とは、嫉妬や恨みを表す怨霊であり、同時に仏の智慧を象徴する言葉です。劉舫良さんは、般若が麻雀と同じように様々な物事や概念を包括的に受け入れる存在だと考えています。当時台湾で日本式の麻雀牌を持っている人は少なく、麻雀を楽しむために多くのプレイヤーが台湾式の麻雀牌に油性ペンで赤マーキングをし、アイスキャンディーの棒で立直棒を作りました。という経緯により、劉舫良さんは日本式麻雀と関連する道具を大会の賞品として提供し、AMOSJPの全自動麻雀卓などの豪華な賞品も用意しました。2023年9月、劉舫良さんは台湾で初めての日本麻雀専門の雀荘「求索」を開業しました。この店名の意味は、一生をかけて真理を追求する意志を持つことです。

2023年の第8期般若杯は、新たに開業した雀莊「求索」で開催され、台湾初の全てが全自動麻雀卓を使用する大会となりました。画像提供元:劉舫良

現在、台湾では麻雀競技大会がたくさん開催されていますが、代表的な大会としては、やはり雀鳳杯と般若杯だと思います。


[台灣三鳳ペディア  1] Yuricon(@mcdowell1041
三鳳垢: 五月七日くみん(元九段)、桜沢みみな(九段)
三鳳昇格:2010
受賞歴:20174位回避杯優勝

台湾初の三鳳民で、2012年から2014年の間に3度も九段に昇段し、当時漢字文化圏唯一の三鳳九段でした。abantesさんを尊敬しています。雀風は高いフーロ率と高いリーチ率のバランスタイプです。

同時期の三鳳民: KLiao(三鳳昇格:2014,九段昇格:2015)


2:三麻の活動の始まり(2017年〜)

Yuriconさんによると、2017年以前の中華圏での三麻の交流活動はすべて中国のテンセントQQと百度のソーシャルメディアに集中していました。台湾では三麻の教材や三麻のコミュニティはありませんでした。

台湾のプレイヤーに三麻の理論を最初に紹介したのは、当時台湾大学麻雀研究部の講師であったBingoさんでした。三鳳/四鳳プレイヤーであるBingoさんは当時、わかりやすい麻雀の教材を完成し、現在でも台湾の麻雀界でのクラシックな学習リソースとして使われています。12月の第3週の授業のテーマは三麻であり、彼は概念と実例の交錯した説明を通じて、鳳凰卓に到達していないプレイヤーが押し引きの観念を向上させる手助けをしました。

2017年上半期、台湾大学麻雀研究部の幹部の間で三麻が流行し始めました。誰も三麻を深く理解していなかったため、僕たちの天鳳の段位は三段や四段の間まで留まっていました。その時、「台湾で三麻をやっている人たちを集めれば面白いだろう」というアイディアが湧いてきて、それが台湾初の三麻競技大会である「4位回避杯」の誕生につながりました。

この4位回避杯には18人の選手が参加しました。ほとんどが四麻プレイヤーであり、普段あまり三麻をやらない人が多かったですが、当時台湾で最強な三鳳民であるyuricon(九段)、KLiao(元九段)、Bingo(七段)も参加しました。その中で、yuriconさんは 4+1+0 の圧倒的な戦績で優勝しました。高段位プレイヤーの活躍を間近で見ることで、僕は深い感銘を受けました。それ以降、僕は三麻に対する考え方を趣味から真剣に研究する姿勢に変えました。

2019年の第二期4位回避杯は、僕が新入りの三鳳のプレイヤーとして主催しました。前回とは異なり、雀鳳杯や般若杯のように、高段位の三麻プレイヤーが交流し競い合う大きな舞台を築こうという目的に、第二期よりは参加資格が特上卓以上に引き上げらました。4位回避杯は現在、台湾大学麻雀研究部が毎年定期的に開催しているイベントです。この記事で紹介されている9名の台湾の三鳳プレイヤーのうち、8名が4位回避杯に出場経験を持っています。

第一期4位回避杯(2017)。画像提供元:Cliff Lin

[台灣三鳳ペディア  2] Bingo
三鳳垢: D.B.G.(元九段)、Riv、中央伍為準
三鳳昇格:2016
趣味:マインドスポーツゲームズ、アニメ
受賞歴:2015般若杯準優勝、2016般若杯優勝、2017般若杯優勝、IORMC 2017 台湾代表

Bingoさんは、九段での停留した回数、九段に昇段した回数、そして十段との差(わずか1回の差)が台湾歴代ベストです。門前清一色何切るが得意です。「哲也-雀聖と呼ばれた男」を通じて麻雀を知りました。全盛期である2019年には1000戦で安定九段の実績を持っていました。


[台灣三鳳ペディア  3]Cliff Lin(@Cliff_x_Lin
三鳳垢: CliffLin(元九段)、 尾城小梅
三鳳昇格:2019
趣味:お菓子作り、山登り、プロ将棋観戦、ポケモン
受賞歴:zkurt杯優勝,、20224位回避杯優勝、2021夏季サンマ招待大会優勝

4位回避杯の創設者です。元台湾大学麻雀研究部の三麻講師です。台湾史上一番目に多い三鳳対局数を持っております。三鳳デビュー時、牌効率が悪く、過度な守りにより和了率が低かったが、水沢さんの牌譜を多く参考にし、押し意識を高めることになった。2019年、Bingoさんとの研究会で、昼夜問わず牌譜の検討を行っていました。過去2年間、らんちぇすたさんのメカニズムを学んでいる。以前は北単騎待ち愛好者で、交流戦でわざと北待ちことを何度も行っていた。


3:三麻グループの発展とオンライン大会の普及(2019年〜)

4位回避杯を通じて、多くの三麻プレイヤーが知り合いになりました。普段から三麻を共に研究できればいいなと思い、僕とBingoさんは「天鳳三麻グループ」という組織を立ち上げることに決めました。このグループに加入するには、天鳳で三麻六段以上という条件があり、おまけに実力向上のために共に努力する意識を持つことです。メンバー同士の競争を通じて、このグループは現在、18人の三鳳民を含む20人以上のエリートグループとなっています。

2021年、新型コロナウイルスの影響により4位回避杯もやむを得ず一時的に中止されました。にもかかわらず、学生たちは夏休みを利用して、日本や中国の三鳳民も集めて、2021夏季サンマ招待大会を開催しました。この大会は規模は小さいものの、海外の三鳳民とのつながりを築く貴重なきっかけでした。

星語(シーンユイ)麻雀グループは、約4000人のメンバーが集まるDiscordサバーであり、台湾で最大かつ最も活発な麻雀グループの1つです。このグループのメンバーは自由に意見や情報を出し合うだけでなく、メンバーが参加できる大会も開催しています。星語杯三麻競技大会は、初心者から上級者までが競技の楽しさを十分に体験できるよう、選手の天鳳/雀魂の段位に応じて上級リーグと初級リーグに分けられます。その後、星語リーグ戦(チーム対抗戦)が行われ、数々の高段位のプレイヤーがキャプテンとして選手を指名します。各チームには初心者枠が必要とされました。主催者の Kelvin Kuo(@Kelvin19990314)は、この制度によって、キャプテンが大会を通じてチームメンバーを指導し、彼らの成長を促進することができると述べています。


[台灣三鳳ペディア  4] 天阪光
三鳳垢: 天阪光(元八段)
三鳳昇格:2019
趣味: アニメ文化、ウマ娘、FGO、プリコネR、7DTD
受賞歴:20204位回避杯優勝、第1, 2期台湾三麻名人戦挑戦者、2017雀鳳杯準優勝、2016般若杯 3位

台湾三麻名人戦の主催者であり、美術ディレクターでもあります。十数年間の麻雀の経験から、台湾の様々な麻雀競技大会で受賞歴があります。雀風は守り重視です。


[台灣三鳳ペディア  5] Ticcy Wu(@ticcy0807
三鳳垢:TiccyWu(元九段)
三鳳昇格:2020
趣味: 天鳳、スイーツ
受賞歴:20194位回避杯 3位

Bingoさんの三麻の弟子です。台湾で三麻の大会を開催したいときは、Wuさんがとても便利なツールでサポートをして下さいます。彼が作成したオンライン得点表は見た目が魅力的であり、非常に使いやすく、理解もしやすいです。以前は淡江大学の麻雀研究部で指導員を務めていました。Wuさんは、七対子が好きだと話していました。オーラス押し引き判断を向上させたいと言いました。非常自律で、毎日の対局回数がとても少ないですが、それは正確な選択を維持するためです。Wuさんも門前清一色何切るが得意です。


4:新しい形式の三麻競技大会ーー台湾三麻名人戦(2022年〜)

台湾の麻雀競技大会は現在、ほとんどがポイント制です。全ての選手は予選から参加し、昨年優勝した選手は目立たなくなります。ポイント制の公平さは、全ての選手が全力を尽くして試合を行うことに由来しています。だからこそ、無望な選手が早めに敗退し、試合の進行に影響を与えず、また個々の試合で大量の得点が最終結果に大きな影響を与えることが避けられるようにしてほしいです。そのため、2022年から、天鳳三麻グループの5人(Ticcy Wu、アップルパイ、Kelvin Kuo、天阪光、Cliff Lin)によって新しい高水準のタイトル戦、台湾三麻名人戦が開催されました。

台湾三麻名人戦の参加資格は、台湾人に限らず、繁体字中国語さえ使いこなせば、かつ当年度の段位戦の試合数と段位要件を満たせば誰でも参加できます。そのため、香港や中国からの参加者も見えます。この大会は天鳳の完全段位制を参照しており、選手たちは良い順位を競うだけです。予選選手は、十段配分(135/0/-180)で9試合を行い、挑戦者決定リーグに進出の見込みがない選手は早めに脱落します。同じ得点の選手は、前年の結果と今年の段位に基づいて順位が決定されます。

挑戦者決定リーグは、予選で勝ち上がった3人と前年の挑戦者決定リーグ上位3人で構成され、完全段位制(十段配分)の20試合が行われます(5週間)。挑戦者決定リーグを勝ち抜いた2人の選手は、名人と八番勝負を行い、全試合を生中継します。2022年と2023年の名人は、香港から参加したKelvin Li(@kelvinli1234,、天鳳三麻八段:大四喜清老頭)です。


第2期台湾三麻名人 Kelvin Li (2期連続)の金杯。画像提供元:Kelvin Li

[台灣三鳳ペディア  6] アップルパイ(@applePie_tenhou
三鳳垢:applePie(元八段)
三鳳昇格:2021
趣味:天鳳

四麻九段の強者であり、過去2年間、多くの対局記録を三鳳で残しています。市販の麻雀AIを活用した研究に力を入れ、戦術を磨き上げる努力家です。最初は無理な押すことがあったものの、最近では引きの意識が高まり、明確な成長を見せており、七百回以上八段での停留したの実績を持つ強者です。アップルパイさんは台湾の三麻グループで両面良形厨や平和厨として認知されています。アップルパイさんの人気が台湾で高いため、三特の名前に「pie」が含まれる偽物が多く登場しています。


[台灣三鳳ペディア  7] Akaifish(@axel_archwizard
三鳳垢: Akaifish(元八段),Aoifish(八段)
三鳳昇格:2022
趣味: 地理、日本文化、アニメ文化

元台湾大学麻雀研究部副部長、第4、5期4位回避杯の主催者である。門前守備型で、統計データに基づいた正しい選択を重視しています。雀魂もしますが、天鳳をする方が好きです。今は部活を中心に、時々サンマを打っています。僕より日本語を話すのが上手です。


5:台湾三鳳民の段位分布

2019年以前、台湾の三麻プレイヤーには定期的な実体集会やグループは存在しませんでした。したがって、この調査の結果には抜け漏れの恐れがあります。こちらでは、インターネットで見つかる記録のみを数え上げ、アカウントをnodocchi.moe で確認できるプレイヤーの数を対象にしています。

最高段位を基準に

過去2年間、台湾の三鳳民の数は着実に増加しており、将来、より多くの台湾の高段者が三鳳に登場することが期待されます。

分析対象:台灣三鳳ペディア  1-9
  • アガリ度=アガリ率×アガリ平得

  • 放銃度=放銃率×放銃平得

標本数は少ないですが、台湾の三鳳民の約半数がバランス型であり、残りの半数は守備型です。台湾のいくつかの日麻交流グループでの観察によると、三麻や四麻において、攻撃上の欠点よりも守備の手順ミスに対する指摘が多いようです。これはその一因かもしれません。

分析対象:台灣三鳳ペディア  1-9

アガリ度や放銃度の分布から攻撃型プレイヤーは見られませんでしたが、リーチ率やフーロ率からは実際に3人のプレイヤーが高い参加率の傾向があることがわかります。

2011年から2023年までの各年において、三鳳最高段位記録(台湾プレイヤー)。

2019年以前、高段者は非常に少なかったが、その後、台湾では毎年、最優秀成績を収める三鳳民が異なります。台湾にも早く十段のプレイヤーが現れることを期待しています。」

2017年から2023年までの台湾で重要な三麻競技大会で優勝したプレイヤーのリスト。
YPさんは2021年に台湾大学麻雀研究部で三麻の指導員を務めており、
TaKamiさんは今年新入りの三鳳のプレイヤーです。

4位回避杯と台湾三麻名人戦は今後も年に一度行われる予定のイベントです。一方、星語杯の今後の予定はまだ確定していません。


[台灣三鳳ペディア  8] ユダ (@yuda0424
三鳳垢:yuda(元九段)
三鳳昇格:2022
趣味:天鳳、コーヒー、スイーツ、音楽鑑賞
受賞歴:20234位回避杯 3位

元成功大学麻雀研究部の指導員です。リーチが好きな守備型です。最近、フーロと守備を両立させ、より積極的な打ち方を試みたいと思っています。特上卓時代から毒舌な傾向があり、観戦中に見慣れない選択に対して辛口の批評を行います。自分自身にも同じくらいの要求を持っています。台湾の最年少九段です。


[台灣三鳳ペディア  9] 暗の漆黒
三鳳垢: 闇より暗漆黒(元八段)
三鳳昇格:2023
趣味:麻雀 、ボードゲーム、囲碁(野狐囲碁元九段)、文章を書く
受賞歴:2023台湾学生麻雀競技大会 3位

台湾大学麻雀研究部の新入部員です。良型率が高く、回し打ちの技術が重視しています。ノーテンの時、引きの意識を高めたいと言っています。


付録:調査協力者

元清華大学麻雀研究部部長 OE
淡江大学麻雀研究部の初代部長 楊士毅(ヤーン・シーイー)
星語杯と星語リーグ戦の主催者 Kelvin Kuo(@Kelvin19990314
4位回避杯のスポンサー 株式会社榮和嶺上
Yuricon、Bingo、天阪光、Ticcy Wu、アップルパイ、Akaifish、ユダ 、Akaifish、暗の漆黒
雀荘求索店長 劉舫良(リュウ・ホリョウ)


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