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「ミスコン粉砕宣言」のその後

 公認の枠組みからは外れて何やら怪しげなことを行なう「有象無象」。それはあらゆるところで蠢いていて、ここ東北大学もその例外ではありません。しかし、その「有象無象」の活動は語り継がれることなく忘れ去られてしまうこともしばしば……。そんな「有象無象」にスポットライトを当て、その「活躍」を記録・紹介するため、2023年度、東北大学「有象無象」取材班は「有象無象」へのインタビューを始めました。

 今回のテーマとなる「有象無象」の活動は、2022年の学祭を騒がせた(?)「ミスコン粉砕宣言」。2022年、学祭に数日先だって、川内キャンパスの掲示板に「ミスコン粉砕宣言」と題されたビラが掲示され、SNSで反響を呼びました。

 そして、翌年2023年の学祭では、「ミスコン」こと「Mr. & Ms. 東北大コンテスト」は「Ms. & Mr. Mixture Contest」へとその名称とコンセプトを改めます。これはもしかして「粉砕宣言」を受けてのことなのでしょうか。その辺りも含めて、今回は、「粉砕宣言」そのものに関わった「有象無象」へのインタビューに代えて、大学公認サークルAROWの方々にお話を伺うことにしました。

 おまけとして、「ミスコン粉砕宣言」の「関係者」である東北大学〈焼き畑〉コース・コース長への「インタビュー」も掲載します。

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ミスコン粉砕宣言のその後――AROWの方々へのインタビュー

前置き:「ミスコン粉砕宣言」とは何か

取材班 いつもは大学公認の枠組みの外で蠢く「有象無象」にインタビューしている取材班ですが、今回は公認サークルのAROWの方々にインタビューしたいと思います。
 まず、「ミスコン粉砕宣言」をご存じでない読者の方のために、「ミスコン粉砕宣言」について簡単にご紹介したいと思います。

 2022年10月26日、東北大学川内キャンパスの掲示板に「ミスコン粉砕宣言」と題されたビラが貼られました。その内容は、「マジョリティの美の規範を強化する」ものとしてミスコンを糾弾し、その「粉砕」を宣言するものでした。これがTwitter上の東北大生の間でそれなりに大きな反響を呼びます。

実際のビラ

 このビラはその日の内に(おそらくは大学の職員によって)剥がされますが、翌27日、今度は「ミスコン粉砕宣言-改-」と題された2枚1組のビラが掲示板に貼られます。1枚は26日に貼られたものとほぼ同じ内容でしたが、もう1枚は「粉砕宣言」に対して否定的な反応を示したツイートを晒し上げるようなものであり、このことも話題になりました。

実際のビラではプロフィール画像やユーザー名、IDも「晒し上げ」られている。プライバシー保護(?)のため、ここではそれらの情報にモザイク加工を施している

 そして、2022年10月29日、開催中の東北大学祭はいよいよミスコンの日を迎えますが、特に「粉砕」はされないまま、ミスコンは「無事」終了します。
 翌2023年、「ミスコン」こと「Mr. & Ms. 東北大コンテスト」が「Ms. & Mr. Mixture Contest」へとその名を改め、「審査基準は設けない」とするなどして内容も刷新しました。ミスコンの公式SNSで公開された文章にもあるように、このリニューアルには「性を考えるサークル」である大学公認サークルのAROWが携わっています。
 ミスコンの刷新は「粉砕宣言」の影響を受けてのことなのでしょうか。言ってみれば「有象無象」が無力でないことを証しするものなのでしょうか。そのようなことも含め、今回は「ミスコン粉砕宣言のその後」として、AROWの方々にお話をお聞きしたいと思います。

 本日はAROWメンバーのOさんとSさんのお二人にインタビューに答えていただけることになりました。よろしくお願いします

O・S よろしくお願いします

取材班 今日ご質問することは事前にメールでもお送りさせていただきました。読者の方に向けた「目次」としてそれらを簡単にまとめておくと、次の7つになります。

  1. ミスコン刷新にいたる経緯・きっかけはどのようなものか

  2. 従来のミスコンのどのようなところが問題だと考えたか

  3. 新ミスコンにおいて②の課題は十分に解決されたと考えるか

  4. ミスコンを刷新するにあたって参考にした試みはあるか

  5. 「粉砕宣言」の内容・手法についてどう思うか

  6. ミスコンと協賛企業との関係についてどう思うか

  7. ミスコンの「良いところ」はどこか

では、早速質問に移りたいと思います

①ミスコン刷新の経緯・きっかけ

取材班 まず、ミスコン刷新にいたる経緯・きっかけがどのようなものであるかお聞きしたいと思います。私は「有象無象」に肩入れしていることもあり、2023年のミスコン刷新は「粉砕宣言」の影響を受けたものなのではないかと思い込んでいましたが、事前のメールでのやり取りでは、Oさんは「粉砕宣言」についてあまりご存じでないとのことでした。「粉砕宣言」の影響でないとすれば、ミスコンを刷新しようという議論はどのように立ち上がってきたのでしょうか

O 「粉砕宣言」が影響していないわけではないんです。時系列順に話すと、去年2023年の3月か4月頃に、学祭のミスコンに関わる方から「ミスコンの形態などについて相談したい」とAROWに連絡があり、実際に会ってお話しました。そのときに、学祭の方から、「粉砕宣言」がミスコンの形態について考え直すきっかけの一つになった、ということをお聞きしました。私は、そもそもミスコン自体をあまり見てこなかったこともあり、それまで「粉砕宣言」については知りませんでした

取材班 なるほど、ミスコンの刷新にあたってはAROWのみなさんのほうからの働きかけがあったのだと思っていましたが、実際には学祭のほうからAROWのみなさんに連絡があったのが最初なんですね

O そうですね。ミスコンにAROWが関わるきっかけという点では、2023年1月のAROWの公認サークル化も関係しています。教員の方がミスコンに関わる学生の方に「そういうことについて検討するならAROWを頼ってみれば」と推薦してくださったようです。これは公認化のおかげだと思います

取材班 AROWの公認化って意外と最近なんですね

O 活動自体は長くやってるんですけど、公認化されてからはまだ1年経ったくらいですね

取材班 この一年で、ミスコンについてもそうですが、公認化されたことが発言力にも影響してくるという実感はありましたか?

O そうですね。学生間で活動する分には公認化は活動の幅にあまり関係してこないんですけど、やっぱり公認化されることで教員の層にも活動を認知してもらえるようになったり、大学に直接アプローチするときの影響力も変わってくるかなとは思います

②ミスコンの問題点

取材班 ミスコンを刷新したということは、何かしら「ここを変えるべきだ」とか「ここを変えたらよりよくなる」といった問題意識があったと思うのですが、それはどのようなものだったのでしょうか。いまお話しいただいたように、学祭の側から相談があってそれからAROWのみなさんのほうで問題点を洗い出していくという順序だったと思うのですが、そこではどのような議論になったのでしょうか

O ミスコンの課題として挙げられたのは大きく分けて次の2つです。
 一つは「ルッキズム」的な観点からの課題です。東北大のミスコンはもとから「容姿だけですべてを判断する」というものではなかったにせよ、少なからず見た目・容姿を判断基準にするような昔からの「ミスコン」的なところが残ってはいて、それに関する議論がまずありました。
 もう一つは、「多様性」の観点からの課題です。コンテストが男女別々の部門に分かれている点で、参加したくても参加しづらかったり、違和感を覚えたりということがあって、誰でも参加できるものではないよね、という議論になりました

S それと「セクシズム」の問題もありますね。男女別であることが男女の役割を固定化していく、という話もしました

取材班 男女にカテゴリー分けされていることが、男/女カテゴリーの外側にいる人たちに対する参加障壁になっているのと同時に、カテゴリーの内部でも「男らしさ」「女らしさ」のようなものを固定化・強化する働きをして、二重に多様性を排除しているということですね

O これらはAROW内で議論したことでもありますが、コンテストに関わる学生のほうでも問題視する向きはあったみたいで、話し合いの中で問題意識を共有しました

取材班 ミスコンがAROWに議論を「外部委託」するのではなく、AROW側とミスコン側とが共同で議論していったという感じなんですかね

O そうですね。事前にAROW内部での議論もしたわけですが、ミスコンの人と話す場でもこちらが一方的に話すのではなく、お互いに議論するような形で進みました

③実際に新ミスコンを終えて

取材班 いま挙げられたような課題を解決するために、理念レベルでも運営・事務レベルでもいいですが、どのような変革を行なったのでしょうか

O AROWは運営にはほとんど関わっていないんです。ミスコンのどのような部分が課題か、自分らしさをアピールできる場としてミスコンをどうしていきたいか、という方針段階での話し合いに参加させていただいたのが主で、どういうステージの形態にするか、名前はどうするかといった具体的なことは、AROWを交えた議論を基に学祭の側で決めるという形でした。あとは、SNSでのコメントを求められましたが、AROWとして関わったのはそのくらいです

取材班 ミスコン刷新におけるAROWさんの役割は、企画当初での方向づけに参加することが中心だったんですね。そこで議論されたことは実際の企画においてどの程度反映・実現されたとお考えでしょうか

O 改善された部分もあれば、まだ改善の余地があるなと思うような部分もあります。
 改善された部分としては、まず「部門が男女別でなくなった」ことは大きいと思います。参加者が男女の枠組みに捉われない各々のアピールポイントを自由にパフォーマンスできるような形式だったのも、見ていて良かったと思いました。
 そして、これまでのミスコンでは最後に男性ならタキシード、女性ならドレスを着ることになっていて、例えば女性のドレスなら白に指定されていたりしたのですが、その指定がなくなって、参加者各々が好きな服を選べるようになったと聞いています。
 でも、色やデザインが自由になった一方で、「女の子はみんなドレス」という状況自体は変わっていなくて、そこは改善の余地があるかなと思います。
 また、部門が男女別でなくなったのはよかったんですが、参加者の幼少期の写真を見せてそれが誰のものかを当てるクイズを企画としてSNS上でやっていて、それは男女別に分かれていました。そこは、ミスコンをAROWのほかのメンバーと見ていて気になったところのひとつです

取材班 なるほど。さっきおっしゃっていた課題は「ルッキズム」と「多様性」の無さとにあったと思うのですが、いまのお話で指摘されていたのは、「多様性」が広がった部分としての改善点、「多様性」の徹底されていない部分としての課題だと理解しました。「ルッキズム」という観点からの改善点・課題についてはどうでしょうか

O そうですね。以前のコンテストでは、女性だったら「かわいさ」をアピールする、というような形で男女別に企画が分けられていたのですが、そういった企画がなくなって、それぞれが自分らしさをアピールできるようになったというところは、ルッキズム的な要素を少なくすることになったのかなと思いました

S あと、今回の「ミスコン」の運営は「評価基準を設けません」ということを事前にアナウンスしていて、「美を評価基準にはしていませんよ」ということを明確にしてくれているのかなと思います。ただ、実際にはすべての人にその意図が伝わるようになっていたかは疑問が残るところです

④参考にした試み

取材班 ミスコンを刷新するにあたって、参考にした試みがあればお聞きしたいと思います。全国いろんな大学でミスコンは開催されているわけですが、その中には今回の東北大のように「多様」になった事例もありますし、また、ミスコンを止めさせるための運動もあります。そのような試み――改善にせよ「粉砕」にせよ――で参考にしたものはありますか

O 特に参考にしたものはありませんが、近年いろんなところでミスコンが変化しているという事例を耳にしてはいて、東北大もそういう風にしていきたいなというのはありますね

取材班 そうすると、今回の刷新も先例を参照するというよりは、自分たちで議論して新しく一から立ち上げていくといった感じだったんですね

⑤「粉砕宣言」について

取材班 では、そろそろ「粉砕宣言」についてお伺いしたいと思います。事前にメールで「粉砕宣言」をお送りしたのですが、その内容について、あるいはあのようにビラを掲示板に貼るという手法について、何かコメントがありましたらお願いします

O 私自身は「粉砕宣言」のことをそれが貼られた当時は知らなかったのですが、実際にコンテストに関わる方が「「粉砕宣言」がミスコンについて考えるきっかけになった」と言っていますし、外部から声をあげてそのようなきっかけを作ったというのはすごい行動だと思います。私たちも「大学をよくしたい」と思って活動していますが、大学をよくするための行動を外部から起こしていくのには意味があると思います

S ビラを貼るという手法についてですが、やはり「粉砕宣言」のような存在は「ありがたい」と思っています。AROWは、大学に対して外部から声を上げていくのか、内部に入り込んで働きかけていくのか、方針を迷っていた時期があるんです。結局、大学と協力して――体制に迎合して、じゃないけど(笑)――できることをやっていく方針にしたんですけど、そうすると今後外部的なことはますますやりづらくなっていくだろうなと思うので、外部的な立場から声を上げていく人たちがいるっていうのは安心できて、感謝しています

取材班 実は私も「粉砕宣言」にはちょっと関わっているので、そう言ってもらえてありがたいです(笑)
 公認サークルになることで、例えば教員からの強力なバックアップを受けられる反面、なにかちょっと問題を起こした場合には――何が問題かは大学側が勝手に判断してくるわけですが――大学側が「公認を撤回するぞ」などと脅しをかけることも可能になるわけですよね。公認サークルの難しいところだと思います

⑥運営・協賛企業について

取材班 次の質問に移りたいと思います。ほとんど(すべて?)のミスコンはタレント事務所のような企業がバックについています。そのような企業は、(単に女性のアナウンサーであるのとは違って一定のイメージを帯びた)「女子アナウンサー」のような、女性の表象を固定化する「職業」への斡旋を担い、ミスコンでそのための「人材」を獲得することで利潤を得ている側面がある、という批判がミスコン粉砕運動史(?)にはあるようで、私自身も最近知ったのですが、説得的だと感じました。
 東北大ミスコンの公式のウェブサイトは、ホームページの末尾に「MISCOLLE」とあって、どうやら「MISCOLLE」という全国のミスコンを束ねるサイトの下部ページのようなんですが、その「MISCOLLE」を運営している会社がエイジ・エンターテインメントといって、これは2022年度以前から東北大のミスコンに関わっているらしいんです。
 つまり、今回のミスコン刷新でも、バックにこのタレント事務所がいることは変わっていないように思うのですが、このような企業との関わりについてどのようにお考えでしょうか。そもそもバックについている企業の影響力がどのくらいなのか私はよく知らないのですが……

O 私も、実際にミスコンに関わってみて、運営だったり協賛している企業にも問題があるとは感じました。部門を男女別でなくすという議論についても、コンテスト側の人に話をお聞きすると、「運営しているのはMISCOLLEだから、実現できるかどうか最終的にはそこに訊いてみないとわからない」とのことでした。さっきのドレスの服装指定の話についても、ドレスを提供してくれる企業の協賛で企画が成り立っているから、指定をなくすのは難しいかもしれないという話を聞きました。ミスコンの運営にはお金がかかるようですし、そうなると企業からの協賛は避けられないわけですから、協賛してくれる企業の側にも改善に対して協力してもらう必要があると感じます

取材班 企業の影響は大きいんですね。運営会社だけではなく、ドレスの会社であったり結構いろんな方向から企業による制約を受けているものなんですね。
 今後もAROWのみなさんはミスコンに関わっていくんですか

O ちょうど最近また学祭側から「来年度も関わってくれないか」とお声がけがあって、引き受けたところです。具体的にどう関わっていくことになるかはまだ決まっていませんが

取材班 そうなると、このような運営・協賛企業との関係も、依然AROWのみなさんが内部から関わらなければならない問題であり続けるわけですね

O そうですね。企業のことについても考えていきたいですし、実はミスコンが開催されてからはまだ運営の側の人と話をしていないので、見る側として感じた課題を今後の話し合いで学祭の人と共有して、次のコンテストに生かしたいですね

⑦ミスコンの「良いところ」

取材班 ミスコンの公式Twitterアカウントでのツイートを遡ってみると、ミスコン刷新をアピールするツイートに掲載された画像に、「「ミスコン」の良いところは残しつつ」とあります。さきほどまでのお話を聞くと、このツイートをしているのも学祭側の人だと思うのですが、AROWの方々から見て、ミスコンに「良いところ」があるとすれば、それはどのようなものでしょうか。
 質問の意図としましては、ミスコンに「良いところ」なんかないんじゃないか、ということです(笑) どんなにミスコンを多様化していこうとしても、最後の最後で「ミスコン」というコンセプト自体がそれを裏切ってしまうのではないでしょうか

O 学祭の人とは、「美」を追求するミスコンとは違う「新しいミスコン」を作りたいということをお話していました。AROWのメンバーにも過去にミスコンに参加した人がいるのですが、東北大のミスコンに参加するほとんどの人の動機は、自分の美しさを認めてもらうためではなく、自分が大学でやりたいことがあってそのために知名度を上げたり、アピールしたりするためだと言っていました。東北大ミスコンには、そのような自分らしさをアピールできるイベントとしての良さがもともとあります。「「ミスコン」の良いところを残しつつ」という学祭の人の言葉は、「美」を追求するいわゆる「ミスコン」的なものではなく、いま言ったような東北大ミスコンの良さを引き継いでいくことを意図しているのだと私は捉えています。そのような東北大ミスコンの良さを残した上で変えていきますという宣言なのではないでしょうか

取材班 自己プレゼンイベントとしての東北大ミスコンの良い伝統を、いわゆる「ミスコン」的なものから切り離して掬い上げる、ということですね。
 しかし、参加者だったり観客だったりがいくら新ミスコンの趣旨を理解していたとしても、参加者が自分のやりたいことのためにミスコンを「利用」しているにすぎないにしても、ミスコンがタレント事務所によって運営されるような性質のものである以上、もちろんその改善のための努力に意味はあるにせよ、根本的な解決と言えるものは原理的に難しいのではないかと思ってしまいます

S 例えば青山学院とか慶応とかのミスコンはいわゆる「女子アナ養成コース」のような側面が強いのだと思いますが、東北大のミスコンはそのような側面が強いかとは言えばそうではなく、どちらかと言えば、ミスコンというフォーマットを利用して自分たちのやりたいことをアピールするという側面が強いとは思います。
 ただ、それだったらいいのかというと難しいところだなと思っていて、青山学院や慶応のような「ザ・ミスコン」の知名度が高いことを利用して、そのフォーマットに乗っかって東北大学のみんなが遊んでいるという構図だとすれば、「女子アナ養成コース」としてのミスコンありきの「自由なミスコン」がピュアなものとして免罪されるとは言えないんじゃないかな、と

取材班 ミスコンの課題はそれぞれの大学にローカルなものではないということですね

***

取材班 本日はインタビューにお答えいただきありがとうございます。いろいろなお話を聞けて、充実したインタビュー記事になりそうです。雑なフリで恐縮ですが、最後に何か締めのコメントをいただけますか

O 今回のミスコン刷新はまだ1回目です。1回や2回の変更で最善のコンテストになるわけではないと思うので、今後も試行錯誤して、いろんな人から声を聞いて、そしてAROWに限らず広く議論が重ねられることで、ミスコンがよりよい形に変わっていくといいなと思います

(本文おわり)

おまけ:ミスコン粉砕宣言――「関係者」への「インタビュー」

※以下は、AROWの方々へのインタビューへの「導入」として書いていた文章ですが、あまりに冗長なので、「おまけ」に格下げしました。

前置き

取材班 さて、「ミスコン粉砕宣言」の関係者として東北大学〈焼き畑〉コース・コース長(以下、焼き畑)にインタビューしたいと思いますが、前回の記事に書いてあるように、取材班と焼き畑は同一人物なんですよね?

焼き畑 はい。これまでのインタビューには、基本的に「有象無象」取材班と焼き畑の両方が同時に登場しますが、それはこの二役を私が一人でやっていたというわけです。というか、インタビューを書き起こす段階で、私の発言を「取材班」と「焼き畑」とに振り分けていました。

取材班 いまこのやり取りも自問自答であるということですね。どうしてそんなまどろっこしいことを……

焼き畑 「質問」役と「批判」役という役割分担があったほうが読みやすいかなと思って……。実際には、記事を呼んだ友人たちから「取材班、要らなくね?」と言われています

取材班 そんな……😢 まあ、これ以上「内情」について語っても仕方ないので、さっさと本題に入りましょうか

ミスコン粉砕宣言2022

取材班 まず、焼き畑は「ミスコン粉砕宣言」の「関係者」とのことですが、どのように関係しているかを教えてもらえますか?

焼き畑 経緯から語ったほうがわかりやすいかもしれません。2022年の学祭の数日前、川内キャンパスの厚生会館前でミスコンへの事前投票を呼びかける学生を見かけ、私はミスコンに対抗して「ミスコンの〝コン〟はコンサバティブ(保守的)の〝コン〟!」キャンペーンを展開することを思いつきました。このキャンペーンは、ミスコンはじめ「保守的」な価値観を持った教員・職員・学生を告発するビラを貼るというものを想定していました。しょうもなさすぎる言葉遊びなのですが、結構気に入っていたので、このアイディアを知人に話しました。この知人が「ミスコン粉砕宣言」の「主犯」です。
 10月26日、「主犯」は早朝に「ミスコン粉砕宣言」を書き上げ、単身川内キャンパスに貼りに行き、そして、「貼ってきたよ~」と私に報告をよこしてきました

取材班 焼き畑は「粉砕宣言」のきっかけを作ったんですね

焼き畑 そうですね、それで終わるはずだったんですが。「粉砕宣言」はTwitterでそれなりに大きな反響を呼ぶことになります。単に反響が大きかったのであれば、「粉砕宣言」もミスコンも私からみれば他人事ですし、まあ、良い問題提起だったのでは、と思って終わりだったのですが、「反響」の内容がちょっと信じがたいほどひどかったので、無視してはいられなくなりました。「主犯」は「粉砕宣言-改-」を用意し、私は「反響」への批判を用意しました。ここで私は「共犯」となるわけですね

取材班 「粉砕宣言」には、最初に貼られた「粉砕宣言」のほかに、翌27日に貼られた「粉砕宣言-改-」とタイトルのついていない反批判ビラとがありますが、この反批判ビラを焼き畑が書いたということですね

焼き畑 はい。反批判ビラは、普段から冷笑を重ねている東北大生(当時)のツイートを晒し上げるようにして書きました。「反響」の一般的な傾向を批判するので十分だったはずですから、フツーにあれは不必要な攻撃でした。そいつ一人を晒し上げることで批判の射程が短くなってしまったし、「晒し上げ」という形式に注目を集める形となってしまったので、そこは反省しています。やり方がよくなかったとは思いますが、それ以外に「悪い」と思うことはないので、謝罪とかはしません

取材班 焼き畑が「ミスコン粉砕宣言」の「共犯」であることはわかったんですが、今回のインタビューに「主犯」さんではなく、焼き畑が答えているのはどういう事情なんでしょうか。焼き畑には、「取材班」と「焼き畑」との一人二役という「前科」がありますし、実はこの「主犯」も焼き畑なのではないですか?

焼き畑 そのような疑いをかけられても仕方ないとは思いますが、違います。そもそも私が「主犯」なら、「ミスコン粉砕宣言」の〝もっとも悪名高い〟部分である晒し上げだけを自分が担当したと白状する理由はないのではありませんか?
 「主犯」がこの場に出てこないのは、単に「主犯」がこのことについて多くを語りたがらないからです。「主犯」も結構思いつき的にやったみたいですし、「主犯」自身「粉砕宣言」の内容がやや稚拙であると認めています。その辺りがあまり語りたくない理由かもしれませんね

取材班 「ミスコン粉砕宣言」は「ミスコン」を「粉砕」するという「宣言」なわけですが、実際にはミスコン当日(29日)には何かしたんですか?

焼き畑 いえ、何もしていません。「反響」に気分を悪くした私は本当にミスコンを「粉砕」しようと思っていましたが、そもそもミスコンには、というか学祭自体にそんなに関心がなかったので、面倒になって止めてしまいました

取材班 どのような「粉砕」計画を立てていたんですか?

焼き畑 ミスコンの会場は講義棟と講義棟とを結ぶ渡り廊下の前だったのですが、その渡り廊下の2階部分からビラをばら撒こうと思っていました

不真面目な勝利?

取材班 経緯はわかったんですけど、イマイチ問題意識がわかりません。「主犯」さんの問題意識はビラに書いてあることであったと額面通りに受け取るとしても、焼き畑はミスコンのどのような点に問題があると考えていたんですか? 「粉砕宣言」以前の段階でミスコンを「コンサバティブ」なものとして告発しようとしてはいたわけですよね

焼き畑 いやあ、私自身なんでミスコンが悪いのかちゃんと説明できるかというと怪しいんですよね。ルッキズムを助長するからとか、男女のカテゴリーを前提としているからとか、ふわっとしか批判できません

取材班 ええ……なんか不真面目ですね……

焼き畑 そうですね……。不真面目ながらエラソーに「叱咤激励」をすれば、真面目な「ミスコン粉砕」派のみなさまの今後のご活躍を応援しています……と言いたいところだったんですが、なんかミスコンって変わったんですよね?

取材班 そうですね。「Mr. & Ms. 東北大コンテスト」から「Ms. & Mr. Mixture Contest」へと名称・コンセプトを新たにしたようです

焼き畑 そうなると、特に「粉砕」する理由はなくなるということなんでしょうか。これは我々の〝勝利〟っていうことでいいんですかね?

取材班 まあ、そこら辺のことも含めて、ミスコン刷新に関わったAROWの方にお話を聞いてみましょう

(おまけおわり)

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