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コラージュ・ど・ジャパン(焼き立て)

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夢で会いましょうのパクリです
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#最近の学び

「マ」ッチ売りの少女

 冬の季節、街の通りで、ある少女が近藤真彦のブロマイドを入れたカゴをぶら下げて、 「マッチ、マッチはいりませんか?」とか弱い声で宣伝していた。しかし行き交う人は皆冷ややかな視線で彼女を見るし、中には心無いことを言う人も居る。 「誰も近藤真彦なんて欲しいと思ってねえよ!」 「中森明菜のこと忘れてねえぞ!」 「ほんと、ジャニーズ所属だったから許されていたみたいな感じがあるけど、もうジャニーズじゃないからただの屑ね」  彼女はそう言われて(特に最後の言葉に)深く心が傷つき、泣きそう

「ヘ」ッドショット

 俺は生粋の戦場カメラマン渡部陽一。いつもは中東などの紛争地域にて過酷な戦争の一場面を撮り、世界に平和の必要性を訴える活動をしている。紛争や戦争が起きている地域に生きる無辜の民は劣悪な環境下でも懸命に生きている。それは余りにも悲劇的で、憐れに感じることだろう。  シリアの内戦に巻き込まれた青年にあったことがある。彼は老いて動けない母親と一緒に危険地帯で暮らしている。彼はいつ生きるか死ぬか分からない状況でも屈託のない笑顔で家族を支えているんだ。俺たち日本人はそんな理不尽なことに

「フ」ライングソーサー

「ぜったいくるもん!」  シンタロウはイジけた腰を芝生に下ろし、絶対にUFOは来るという頑とした強情さを、その体勢でもって、ユタカに見せつけた。 「わかったわかった。俺はもう帰るから、お前もちゃんと帰れよ。『UFO』に会えたらな。」  シンタロウの兄であるユタカは帰ってしまった。去りゆく彼の背中を見ながらシンタロウは 『ほんとにユーフォーはくるのに、かえっちゃうなんて!』 と心の中で呟いた。  児童文学の類のように、少年少女にだけ起こる奇跡的な冒険などというものは、現実世界