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「なあ、ロバートって四人組だったっけ?」 「なんだいきなり、そんなこと聞いてきて」 「いや……やっぱなんでもないわ」 「なんだよいつものお前じゃないな、一体どうしたんだよ」 「ロバートって三人組じゃなかった、って」 「ロバートは四人組に決まってるだろ、はねトびやポケサン観てたのに忘れたのか?」 「あ、まじか……いや、確かにそうだったな、すまんすまん」 「変なこと聞いてきて、もしかして若年性認知症とかじゃないの?(笑)」 「ははは……」 ロバートは三人組という記憶が残って
俺は生粋の戦場カメラマン渡部陽一。いつもは中東などの紛争地域にて過酷な戦争の一場面を撮り、世界に平和の必要性を訴える活動をしている。紛争や戦争が起きている地域に生きる無辜の民は劣悪な環境下でも懸命に生きている。それは余りにも悲劇的で、憐れに感じることだろう。 シリアの内戦に巻き込まれた青年にあったことがある。彼は老いて動けない母親と一緒に危険地帯で暮らしている。彼はいつ生きるか死ぬか分からない状況でも屈託のない笑顔で家族を支えているんだ。俺たち日本人はそんな理不尽なことに
202X年……世界は水に浸され、圧力をかけられ、煮られ、小麦と種麹を混ぜられて発酵させられ、塩水を足されて醸造された。海は醤油になり、地は裂けて豆皮になり、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。 だが、人類は死滅していなかった。身動ぎもせず、何も考えず、耐え抜いた。 あらゆる混沌が寂莫を覚え、一切が眠りについた頃、残された彼らは昏き世界へと顔を出した。 されど、待ち受けるは無間地獄。無限の死などそれまで。真の苦しみ相対す。 今まで築かれた文明は悉く崩壊し、それに乗じて