マガジンのカバー画像

コラージュ・ど・ジャパン(焼き立て)

50
夢で会いましょうのパクリです
運営しているクリエイター

#彼女

「ル」ートビア殺人事件

 「犯人はこの中にいる!」とよく分からぬ小童が赤い蝶ネクタイに語りかけているが、その声の太さに度肝を抜かれて僕は失禁した。でも最近再発した夜尿症対策でパンパースを履いていたおかげで、辺りに気づかれることは無かった。平野啓一郎か? という疑念ももちろん湧いて、僕は遠くから興味津々に見つめている。  「犯人は大きな乳房を抱えていました、そしてそれはあなたのことですね、安浦さん」と僕の右横にいる、体百点、顔六十七点、性格野蛮の女性の名前が呼ばれて、皆一斉に彼女の方を振り向く。  「

「マ」ッチ売りの少女

 冬の季節、街の通りで、ある少女が近藤真彦のブロマイドを入れたカゴをぶら下げて、 「マッチ、マッチはいりませんか?」とか弱い声で宣伝していた。しかし行き交う人は皆冷ややかな視線で彼女を見るし、中には心無いことを言う人も居る。 「誰も近藤真彦なんて欲しいと思ってねえよ!」 「中森明菜のこと忘れてねえぞ!」 「ほんと、ジャニーズ所属だったから許されていたみたいな感じがあるけど、もうジャニーズじゃないからただの屑ね」  彼女はそう言われて(特に最後の言葉に)深く心が傷つき、泣きそう

「ヒ」ノノ二トン

一度見惚れた彼女に、 「海へ行こう」と誘ったら、 当日彼女は、ヒノノニトンに乗ってきた。 「乗りな」彼女がそう言うと、 助手席に僕を載せた。 海辺で僕たちはピンボールをして、 陽が沈むと、ヒノノニトンに乗って帰り、 家でロマンチックなセックスをした。 生でやったからか、彼女は妊娠して、 僕たちは結婚した。 春の終わり、彼女は双子を生んだ。 名前は堤真一と吉田鋼太郎。

「ハ」ライチ澤部

逆境に燃える男だぞ俺は。  ディズニーランドでカリブの海賊の行列に並んでいる時、彼女にフラれた。   「あなたのその幼稚なところが私は嫌なの。私がカタログ版モノタロウ(ねじ・ボルト・釘/素材)だとしたら、あなたは小説版ハリーポッターと炎のゴブレットなの!それくらいの差異をあなたは認識している?」  怒涛のような展開に現実を飲み込めないままカリブの海賊に乗り、カリブの海賊の船は動き出し、カリブの海賊から出て、二人とも無言のままディズニーランドを後にした。  帰路、舞浜駅を

「テ」クノポップ

デテンテテン、デテンテテン、ボン、ボン、ボン。 デテンテテン、デテンテテン、ボン、ボン、ボン。 デテンテテン、デテンテテン、ボン、ボン、ボン。 ミュージック、ノンストップ。 テクノポップ……  気味悪いポリゴンが弦楽器の音色を掻き分けてやってくる所で目が覚めた。寝覚めが悪い。アルバムで見ると、まあ、普通? という感じだけど、夢の中で自立してやってくると言うのはめちゃくちゃ不気味で怖い。でもやっぱりクラフトヴェァルクはかっこいい。 ボインボッチャック、 ボインボッチャッ