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アイノカタチ

MISIAのこの歌好き。

あなたが 心の中で広がるたび
愛が溢れ 涙こぼれるんだ

アイノカタチ

私のLINEグループの中に同期会と言うグループがある。
40代前半の頃、集まった時にメールから始まったのかな?
結婚式場レストランで就職してた頃、地方組、地元組があって、あの頃はみんな20代で次々と結婚して辞めて行った。私もその一人。
40代の頃はそれぞれ、子供は学生で皆、パートをしながら、自由時間も多くて、呑む席の話題も賑やかで、子供の進学の事とかそんな感じ。

それが50歳を過ぎて集まると話題が変わるのな。
親の事もあり、子供の結婚とか。
ディスコでカルーアミルクとかピーチフィズを飲んで、東幹久が、、とか吉田栄作が、、なんて色で言えばパステルカラーの様な話しばかりだったのに。

ただ、それぞれがそれぞれに夫婦のアイノカタチが変わっていった。
仲の良い同期の子はほぼ、職場結婚。

自分達の職場で式をあげ、それぞれの旦那の顔も知っている。職場の先輩であったり、同期同士で結婚した子も多かった。

子供達が巣立つ前後、女は皆、強い。
強くなる。
自立心が芽生える?なんだろうな。

ペーペーで黒服じゃ無かった同期の彼は支配人まで上り詰め、関東の方に単身赴任を数十年。
その間、彼女はこっちに残り子供達を育てあげた。
支配人だと、給料やボーナスの桁も違う。
でも、気楽さと引き換えに心細さがあったのではと想像すると、大変だっただろうと思う。
その後も海外の系列ホテルの支配人を任され頑張ってた。
時が経ち、私達は50歳を過ぎた。
単身赴任から漸く戻って来たと聞いた。
彼女はそこで離婚を決意したと人づてに聞いた。
理由は

今更、一緒に暮らせない。
同じ空間に居るだけでも嫌。

彼女は大変さ、心細さと同時に
逞しくもなり、そして自由を覚えた。

と想像する。分かる気がした。子供の為に栄養のある物をたくさん作り大きくさせ、進路を一緒に悩み、そんな子供達が巣立つ。
ぽっかり穴が開いたと同時に

やれやれ

と思う。
自分一人なら食事も惣菜で済ませたり、好きな時間に出掛け、帰宅。
好きな時間に寝られる。
そんな天国の様な世界。

いや、それはそれぞれの性格にも寄るし、
夫婦の関係性でも変わって来るだろうから
そこから、仲むずまじく二人の世界を楽しむ人達も沢山いるだろう。
彼女は自宅とは別に部屋を既に借り、自立した生活を送る事を決めた。
裕福で楽な生活を取るのか、残りの人生を自分らしく自分として生きるのか。
そんな事を考える歳になったのね。私達は。

他の子もそう。
旦那は自営業で会社で寝泊まりをし、その子のいる自分の家には朝に嫁の手作りお弁当を取りに行き
晩御飯は自分の家で二人でとる。
その後は会社に帰ると言う。
友達は言う。

「お弁当を毎朝作るの?」
  『そう』
「夜ご飯は一緒に?」
『そう、そこで色んな話をするかなぁ
そんで帰ってくよー』

『凄く楽よ!』
と言う。



最近、美に目覚めた子が言う。
「周りは介護脱毛とかしてるんだって。
夏は蒸れるし私もVIOをやりだした!
そしたら、旦那が見せて!なんて行って来て
アホかお前」と。
その後、自分から服を捲り上げ
「俺は薄いから無い」
彼女は「ヘソにはあるでしょ、ほらココ」
旦那は「たまに剃ってる」
「なんでそんなとこを剃る??」
「えーだって恥ずかしいやろ」

「恥ずかしい?誰に見せるねん 笑」
「……..」
無言だったらしい。
分かりやすいって彼女は笑ってた。

彼女が美に目覚める理由は私も知ってる。
旦那との間に愛は既に無かった。
彼女は気付かなかっただけ?
脱毛の話が無ければ、そんな会話もしなかった。
本当はもっと前からだったのか?と。
自分の心も、もうココには無いのだけど、そんな旦那の為に食事や洗濯をしている事に疑問を感じ出したらしい。

それからは旦那を探偵の様に観察をしていたら気付いた事があって、
一ヶ月に一度、旦那の入った風呂の後に流し忘れた、陰毛では無い短めの太いクルンとした毛が隅に溜まっていると。
そして、そのヘソの毛を発見した翌日から翌々日には必ず午前中から車で出掛けていると。
普段着ない爽やか系のシャツと新しい靴下を履き、聞いてもいないのに行く先を告げて行く。


最近、会話もろくに無いと。
旦那はゲームばかりだと。そんな旦那との結婚記念日に祝う事に疑問を感じ出した子もいる。
それまでは一応、形だけでも、ケーキ、そしてプレート、スパークリングワイン、ステーキ。
その日だけは特別にして来たと。
去年はとりあえず用意はしたけれど、今年になって、その日が来たけれど、ケーキにお祝いのプレートを頼む気も起きない。
ましてや、蝋燭など。
仮面夫婦なら出来るはず!と私は突っ込んで見たけれど、仮面を被る必要さえ、もう無くなったのでは?と思い始めていると言う。
旦那はその日残業でたぶん形だけのケーキは買ってくるはずと思って、彼女は自分からは買うことはしなかった。
その日は何を用意したの?と聞くと、
「一応?旦那の好きなぼんじりの焼き鳥とタコ天、冷奴、枝豆。まあ、ビールのツマミね。そして赤飯を買ってみたよ。笑」
ケーキが赤飯になった?の?
「そう」
その夜、旦那は既にカットされた堂島ロールを手に帰ってきて
「蝋燭は無いけどねー」と。
「既に一人でご飯を済ませてたからね、お風呂に入って、一人でテレビ見て、ケーキも食べずにぼんじりを食べながらゲームかLINEをしてる旦那を横目に自分の部屋に戻ったよ
結婚何周年だね!これからも宜しくー!なんて言葉はお互い出なかった」と。
そんな事が悲しくも無く、腹立たしくも無かったと。

記念日でさえ、
ただの日常に埋もれて行く。

その形はもう あなたじゃなきゃ
きっと隙間を 作ってしまうね

アイノカタチ

MISIAのこの歌は結婚式などでも歌われるみたいね。
ここを訪れて読み始めた人はそんな愛の溢れる話だと読み始めたかも知れない?な?
結婚ってなんだろうね。
縁?タイミング?ビビビっと来た?
少なくとも30数年前の私達は
「あなたじゃなきゃ」ダメだったはずで。

私達のそれぞれは長い年月の間に
それぞれに隙間を埋めようとしてきたけれども
自身の体のホルモン、更年期とかもそうだし。
無我夢中で来て、ふっと、鏡を見て思う。

頑張って来たよな、とこめかみ辺りの白髪を見て言うの。
今、幸せ?
本当の自分はどこ?

アイノカタチはどんなカタチをしているの?
って。
誰かのお母さんが言う
「子供も自立したんやから、自分の人生を生きたらいい」と。
二回りも離れているだろう母親と言う女性の言葉は妙に説得力がある。

手の中にある最後の1ピースはそれぞれの
アイノカタチを保とうともがいているのかな。


それとも、、、。










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