FE無双風花雪月には幻の没ルートがあったのだ(与太話)

※以下はすべて与太話です。本気にしないでください。
※全ルート全支援会話のネタバレを平気で含みます。

はじめに


全国1億5千万人の元先生の皆様、いかがおすごしでしょうか。風花雪月無双は順調にプレイされておりますでしょうか。青獅子が実家の筆者は赤と黄でだいぶ疲労し、青でもう一度英気を養ったところです。性別差分のためにもう一周ってマジ?

さて、冒頭で述べた通り筆者は生粋の青獅子実家勢(もっとも、原作風花雪月では全ルート男女両方でクリア済)なのですが、今回どうしても黄燎の章は「これでよかったんか!?」という気持ちを拭えませんでした。

ストーリーの内容そのものへの疑問点は抜きにしても、クロードの演説スチルが黄にない、アリル血の同窓会がないし神を屠る星のタイトルがついた曲もないし最終戦が修道院でもないなど、黄ルートはとかく他ルートと比べても妙なところが目立ちます。

結論


実は、これらの疑問点をすべて解決する方法があります。
ずばり、黄燎の章は実は途中で2ルートに分岐する予定だったのですが、そのうち帝国と手を切るルート(便宜上緑ルートと呼びます)が納期の都合でボツってしまったため、こんないびつな構成になってしまったのです!(な、なんだってー!!)

一見とっぴな発想に見えますが、この緑ルートが「あった」と仮定すると、色々な疑問点に綺麗に説明がつきます。順番に見ていきましょう。

幻の緑ルートを考察する

緑ルートは削除されてしまっていますが、その片鱗は各所に残っており、これを探っていくことで概要を窺い知ることができます。
緑ルート削除の弊害が最も色濃く残っているのはスチルなので、まずはスチルを中心に考察を進めていきましょう。

1 スチルの配分と内容の奇妙さ


無双のストーリーではときどき一枚絵(スチル)が挿入されます。筆者が確認したメインストーリー中のスチルの内容は以下の通りです。

①エーデルガルトの演説(赤焔Ep4ほか、中央教会への宣戦布告)
②エーデルガルトに手を差し伸べるディミトリ(赤焔Ep16・青燐Ep16ザラスの闇、エーデルガルトーディミトリ支援会話)
③ディミトリの演説(青燐Ep17、ガルグ=マク奪還戦直前)
④エーデルガルトとクロードの握手(赤焔Ep10・黄燎Ep9、帝国と同盟(連邦国)の盟約成立)
⑤クロードの演説(赤焔Ep.14『野望の激突』(ベレトス敵対√)アリル戦直前)
⑥クロードとローレンツの握手(クロード・ローレンツ支援A)

こうして見ると、いくつかのおかしな点に気付くと思います。

まず、ディミトリの出演スチルがほか二人(3枚ずつ)に比べて2枚と少ないこと。これはひとえにディミトリークロードのスチルがないせいです。
エーデルガルトーディミトリ、エーデルガルトークロードと来たら普通最後はディミトリークロードでしょう。いくら今作最強の男ローレンツ・ヘルマン・グロスタールが偉大なる真の貴族であっても、級長であるディミトリを押しのけてスチルにいるのはいかにも奇妙です。
王国敵対ルートしかなかったとしても、ザラスの闇の支援会話にねじ込むことはできますし、⑤のように黄燎以外のルートでの回収でいいなら青燐の背中合わせ共闘あたりに放り込めばよかったはずでしょう。

次に、クロードの演説スチル(⑤)の場所が何をどう考えてもおかしいこと。
自分がメインになる章で自分の演説スチルを回収できないのはクロードだけです。おまけに回収できる赤焔のこのルートではクロードは煉獄の谷で無残に死にます。
ちなみに本作は基本が打ち切りエンドのため、全ストーリー中級長が殺せるのはここだけです。なんだこの歪んだ愛は。

さらに、クロードとローレンツのスチル(⑥)そのものが変です。
このスチルは見てもらえばわかるんですが、やや下からのアングルで、空をバックにさわやかに握手をするクロードとローレンツを映しています。ディミトリどころかヒルダちゃんもリシテアも押しのけてお前か!?ということとか、なぜメインストーリー中でなくわざわざ支援会話に……ということを差し引いてもこのスチルは変です。

なぜなら、この支援会話は屋内で行われているからです。

見たことのある方はぜひエクストラから見返してほしいのですが、支援会話はすべてどっかの一室っぽい屋内で行われています。この内容でスチルを発注したら絶対に背景は屋内になったはずです。窓はありますが、スチルのように一面空が映る程の大きな窓ではありません。
屋内だと作画コストが……というのであれば、支援会話の方を外でやればよかったのです。内容的に、人目につきさえしなければ外でも中でも問題ないですし。

他のスチルから推測すると、クロードの三枚目のスチル(⑥にあたるスチル)は、ディミトリと握手するという内容が一番自然だったように思われますし、そのスチルをザラスのディミトリークロード支援会話のあとにねじこんでも不自然とまでは言えなかったと思います。少なくとも屋内の会話に屋外のスチルをぶちこんでいる現状よりは自然でしょう。

にもかかわらず、製品版ではそうはなっていません。理由として考えられるのは、以下の二つです。

①スチルの作成枚数が決まっており、製作陣があまりに深くローレンツを愛していた
②メインストーリーの没ルート中に内容にがっちり沿った(④の帝国と盟約スチルの裏返しのような)ディミトリとのスチルがあり、これを実装できないかギリギリまであがいていたために入れそびれた

①だとするとスチルの背景変だよ問題が解決できない上にコーエーの正気を疑わざるを得ない(ローレンツは確かにいいキャラですが、個人の好悪だけで商品を作るなボケナス)ため、必然的に②ということになります。そう、没ルートはやはり存在したのです。
そして、スチルの内容からすれば、この没ルートは王国と(一時的にせよ)手を結ぶルートだった、ということになります。ディミトリが何の理由もなく中央教会を切ることはできず、エガちゃんが教会と結んでいる王国を許すことはありえないので、その場合同盟も帝国とは手を切らざるを得ません。
⑤のスチルの回収場所の不自然さも、こちらのルートでは普通に回収できたとすれば辻褄が合います。

つまりこの没ルートこそが、冒頭で述べた帝国と手を切る幻の緑ルートなのです!

2 緑ルートの内容


緑ルートが実装されていた場合、以下のような流れだったのではないかと思われます。

・Ep1~Ep8:現在と同じ
・Ep9~Ep10:灰色の悪魔の加入に絡めて、今後も帝国側につくか否かを選択(おそらく赤焔での描写を見るに、加入すると緑ルート)。
・Ep11~:選んだルートによって分岐。緑ルートでは王国と共闘する時期があり、ディミトリークロードのスチル回収。また、Ep14は緑ルートではアリルで血の同窓会になり、クロード演説スチル回収

ローレンツとのスチル(⑥)はなんなんだという部分ですが、彼が親帝国派であることからすると、本来は帝国と協調を続けるルート(現在の黄燎)を選んだ際にローレンツとの会話イベントがあり、そこで回収できたスチルだったのではないかと思います。
緑ルートにはディミトリークロードのスチル、クロードの演説スチルがあるのに対し、黄燎ルートだと赤でも回収できるエーデルガルトークロード以外にスチルがなくなってしまうため、バランスをとるために用意されていたのでしょう。(クロードのスチル多すぎにはなるのですが、現在でもディミトリだけ少ないのでどっちもどっち)
緑ルートもろとも分岐が消滅したとき、ディミトリークロードのスチルは内容的にどこにもねじこめなかったけれど、ローレンツとのスチルは支援会話に入れてもそこまで変ではないだろう……という判断でねじこんだのだと思われます。変だよ。背景が。

緑ルートは最終的に帝国にも王国にも与せず、帝国ないし闇うごと戦って確保したガルグ=マクを盾に教会に閉鎖的な教義の変更を迫り、他方で帝国に休戦を迫るルートとかだったかもしれませんね。
そうすると、黄にだけアリルの血の同窓会もなければ最終戦がガルグ=マクでもなく大聖堂にもいけない問題も解決します。血の同窓会→ザラス→ガルグ=マク奪還戦なら綺麗にはまります。
こうしてみると、いわば現行の黄が原作の紅花、緑が銀雪だったと言えるでしょう。青に比べてベレトス先生の加入が早いのに、その有無が大して意味を持たない点も、分岐が削られたためだとすれば納得がいきます。

また、王国と一時的に共闘するなら、王国勢のスカウトもできたかもしれません。
現在スカウトできる生徒の数は、全ルート共通の煤闇勢を除くと以下のとおりです。

赤:8(青2,黄6)
青:8(赤4,黄4(スカウトではなく選択肢での加入))
黄:5(赤4,青1)

青はカスパル死亡が起きるEp14で、全ルート戦闘中唯一全作戦を選んでも作戦資源が余る上に、別にカスパルを倒さなくてもクリアでき(右側のヘヴリング伯撃破→登山口制圧→再出現のエーギル公撃破でクリアになり、ベルグリーズ伯ごと無視できてしまう)、対応する撤退セリフもない一方拠点で死亡を前提にコメントする人もいない、と明らかにカスパルのスカウトが削られた感じを醸し出しています。これはスカウト数を揃えたかったからだと思うのですが、その割には黄だけ3人も少なくなっています。

しかし、緑ルートでは青での金鹿勢のように青獅子生徒数名が協力してくれる予定だったとすれば、この不均衡も解決できます。帝国への休戦協定を迫るためのガルグ=マク奪還を第一目的とするなら、そこまではディミトリも共闘するでしょうし、互いの協調(と監視)を兼ねて将を送るのは自然な流れです。来るのは金鹿勢と支援のあるシルヴァン・アネット・イングリットあたりだったのかも。
実はイグナーツーマリアンヌの支援会話は差分のフラグがぶっ壊れており、イングリットーマリアンヌの支援段階を青から引きついでいると、黄ルートで王国侵略中でもマリアンヌが「イングリットと天馬の世話をする」と言ってしまうのですが、緑ルートではイングリットが来る予定だったので差分フラグを直し忘れたとすれば説明がつきますね。赤でも出てくる?うん……。

また、赤ではレオニー、青ではローレンツは、仲間として使えるけれどシェズと支援は深められません。
(ローレンツーマリアンヌの支援の開放も不可。レオニーージェラルトはエクストラでは赤での開放不可になっているのですがゲーム内では開放できてしまいます。どういうことだってばよ)
黄にはこの枠のキャラがいないのも不自然だったのですが、シルヴァンあたりがこの枠で来る予定だったのなら納得がいきます。シルヴァンーシェズの支援内容、青以外で開くとちょっと変なので。

まとめ


これまでの説明で、本編の不自然な箇所は、そのほとんどが緑ルートの消滅によって生じたものであることがおわかりいただけたかと思います。裏を返せば、緑ルートは発売直前まで存在していたということです。

しかし緑ルートは日の目を見ることなく、製品版で削除されてしまいました。理由としては納期でしょう。

無双の各ルートは完全に並行に作られたわけではなく、青→赤→黄だったのではないかと思われるフシがあります。理由は黄のラストあたりでメインクエストのイベントの誤字がけっこうな勢いで増えることと、最終マップの作戦のいびつさです。
実は全ルートとも、最終マップには級長の持ってくる騎士団による作戦があります。そして赤と黄には生徒二名の奮起があるのですが、なぜか青にだけありません。
青が最後に作られたという可能性もあるのですが、誤字の目立ち方を見ると青のが先の方っぽいです。というか黄の誤字がすごい。
したがって、青が完成後に赤と黄に手をつけ、奮起を思いついて入れたものの、青に戻って入れる時間がなかったのではないでしょうか。
そして赤はなんとかベレトス先生の加入による分岐を作り終えましたが、黄は時間がなく、1ルートを削って辻褄を合わせたのでしょう。すべては納期が生んだ不幸な事故でした。

色々事情はあったのでしょうが、例え延期されてでも緑ルートを実装してくれていれば、だいぶ黄燎の受け止め方も違ってきたのではないかと思います。残念でなりません。

あとがき


……という与太話でした。ここまで読んだ人いるんだろうか。書いた人はトンチキな話を思う存分書けてスッキリしました。緑ルートは真っ赤な嘘ですが、スチルとか支援とかの内容は本当です。スチル、何があったんですかね……。

緑ルート(笑)が本当にあったとまでは思っていないんですが、上で擦り倒したスチル以外にも級長3人の支援会話の数が16で揃えられているのに他の生徒は14~16でまちまちだったり、ヒルダークロード間のBの支援の開放期限が異常に厳しかったり、前述のカスパルスカウト問題があったり、といったことからすると、マジで納期はギリギリだったしボツも多かったんだろうなとは思っています。

特に黄はトンチキ理論で書いたとおりスチル・スカウト数・アリルの有無など他ルートと尺が合ってないところが散見されるので、あおりを一番食ったのは確かなんだろうなと。このへん、他の方(特に金鹿勢)はどういう見方をしているのか知りたいのですが、ストーリーそのものの感想しか見つけられておらず気になるところです。

一方で目安箱の投書でまで擦り倒していた「ハンネマン先生は他に確認されていない希少なキッホルの大紋章持ちであるセテス殿を研究したいと熱望している」というネタをきれいさっぱり忘れてベルグリーズ伯にキッホルの大紋章を持たせているところとか、プレイアブルだったキャラを4人も(しかも準生徒枠で5年後グラがあったツィリルまで)削っておいて最後の隠しキャラ、あれかよ……とかどうも雑なところも散見されるので、滅茶苦茶な原因は納期だけでもなさそうなのが頭の痛いところ。ていうか本編開始時点で16年在籍していた中央教会をポロッと捨てる理由、ハンネマン先生にはぜひともお聞きしたかったのですが!?

黄ルートのすわりの悪さも、モヤッとする部分が単に雑なのか、雑ではないが趣味が悪いのか判別がつきづらいところにもあるような気がしています。いっそスタッフがゲロってなにもかもぶちまけてほしい。それはそれとしてせめてツィリルはDLCでください。あと魔法斧職追加してください。またアネ学案件じゃないか!

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