見出し画像

江戸の仇を長崎で討ったかもしれない

 私たちの中学時代(1960年代)、一部ですが暴力的な先生たちがいました。テストの点数が激下がるとゲンコツでゴツン、宿題をサボると教室の後ろで正座、私語にはチョークが飛んでくるなど日常茶飯事でした。時にアル中の先生が気に入らない生徒を授業に使う道具で何度もぶったたくという・・あれは酷かった。今では考えられないことです。

 先生から生徒への暴力も嫌でしたが、ある先生の指示で生徒同士がシッペを強要されるのも、とても嫌でした。小テストで隣席の人との点差分、点数で勝った人が負けた人へシッペをしなくてはなりません。男女で席に並んでいますから、負けると私は男子にシッペされるわけです。

 隣席のその子は勝ったのがとても嬉しかったようで、嬉々としながら思いっきりシッペをしてきました。私はいつも手加減して軽くペシペシしただけなのに、ヤツは思いっきり力を込めやがったのです。中学生男子のシッペはとても痛かったです。

 時は流れ、思いがけない場所で、大人になった若い二人は再会しました。再会後、しばらくしたある日、彼はすっきりとおしゃれをして私の前に現れました。照れ笑いをしながら「あのさぁ・・」と何か言いかけました。

察した私は「あ、それ、言わない方がいいと思うよ。」

 もしかしたら、こういうのが、江戸の仇を長崎で討つ、ってことなのかと思いました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?