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秋の山小屋祭りとアイオーン覚書

春に続いて秋の山小屋会があって人数は少なくなったけど楽しい集まりだった。家族の友人で出版社関係の方々だけどもう30年近くあっているのに。今回初めて泊まりで皆さんと過ごしたので色々話ができた。1番びっくりしたのは、ある人がユングのアイオーンを作ってる人文書院の方だった事。まさか!知り合いとは。
あの本は本当に難しいけど、一つには訳文が普通の日本語と違うところ。Kさんにお話し聞くと訳者の方も相当苦労されたらしい。
だから素人の俺が読んで分かるわけがないわな^_^
でもあの本には難しくて分からなくても何か読んでしまう魅力がある。ユングの分析心理学、ユング自伝。ヨブへの答えと読んでくると。どうしても、黙示録、錬金術、ノストラダムス、グノーシス主義、について語ってあるアイオーンは避けては通れない本。
西洋近代の本質に迫るにはあの民族の宗教的思想史をわからんなりに頭に入れとかないと、文学も映画も歴史も何も分からない。なんで西欧近代にこだわるかというと、東洋の近代史はあいつらに無茶苦茶にされてるから、東洋だけでなくアラブもアフリカも。
今も彼らの論理とルールで世の中は回っている
キリスト教主義を歴史だけ読んでも良く分からないけど、ユングのヨブへの答えを読んで、その心理学的分析手法で聖書にあてはめる手法が新鮮だった。
ヨーロッパ中世は彼らの思想の根っこ詰まってる気がして面白い。ローマやギリシャ、ルネサンスではなくゴシックやロマネスクの中世の建築や彫刻に魅力を感じるのと同じで。
そういえば子供の頃読んだ安野光雅さんがヨーロッパ中世が好きだったな。
それも下敷きにあるのかも。
ただ前にも言ったけどアイオーン読んでいて自分の知識のなさからすぐに詰まるので並て平凡社の中世思想史原典集成も読んでるけど これもまた難しすぎる。ほんとにキリがない。多分分かってる人向けに語っているからそのレベルまで知識や教養があればはいはいはいなんやろか?そう言う意味で折口信夫の本と同じ。面白いけど深すぎて何言ってるのか一回読んだだけじゃ全然わかんね

あと自分のためのアイオーン覚書

103P
福祉や一生の保証、民族間の平和などといった響きのいい美名のおおいをまとっている悪魔を誰が探し当てる事が出来よう。悪魔はさまざまな概念論の下に隠れている。悪魔はそもそも何々主義と名のつくものの下に隠れている

114P
フランス革命はすこぶる反キリスト的な性格をおびていた。

P122
黙示録にでてくるキリスト像の二重性は、復讐の神ヤハヴェと好戦的な救世主を、拠り所にしていたユダヤ人キリスト教徒の反ローマ的怨恨感情に由来するものであろう。多分黙示録の作者は後代に遺されたユダヤ的な思弁に精通していたのかもしれない

P190
成人に宗教的概念を教えることはこの上なく重要である。民話伝説や宗教的概念の類いは役にたつシンボル群なのであり、これらのおかげで無意識内容が意識の世界へ移されそこで解釈されてり統合されたりする事ができるからである

P202
最終的に最優先されるべき重要な意味を持つのは進化の起源ではなく進化の目標の方である。

民話や神話は無意識的諸事象を表現している、だからそれを聞かせることは無意識的諸事象に命を蘇らせ、思い出させ、意識と無意識を再たたび統合させることである。

P215
ヴァレンティヌスの文献は、自分のなかに生まれし者にもっと肯定的な特性を与えている、これをアイオーンと呼ぶ人たちもいた。すなわち年齢を持たずに永遠に若い、男性にして女性なる、至る所に万有を含むとともにそれ自体は何ものにも包括されないアイオーン、と。


読んでいて黙示録が中世に書き加えられた文章みたいでそれは驚いた。あと何故人は物語や、神話や宗教に惹かれて必要としているかの一つの答えをユングは語っている。あと宗教改革とフランス革命が反キリストに1番近いとハッキリ言っちゃってる。ある箇所にはもしかしてマルチンルターの宗教改革の続きをやるためにヒットラーは生まれてきたたのかもとまで言っている。ユングの戦後思想の中に、ナチスと原爆を生み出したキリスト教と科学の闇を究明しようとする姿勢も感じる

人文書院の中にユングのもう一つ気になる本がまだある。
それは元型論 アイオーンが片付いたらそれに挑みたい

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