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短編まとめ

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2024年1月の記事一覧

最低で最高

「そういえば、私が学校に入学した時に撮った写真があるのよね。見る?」
「どしたん。いきなり。」
 
 社会が、飛び跳ねるような新しい季節に変わる頃。夕暮れが見える時間帯の古びた喫茶店に向かい合って座る人間が2人。注文したコーヒーもすっかり冷め、ちょぼちょぼ食べていたチーズケーキとりんごのタルトもほとんど無くなった頃、君はいきなり僕に向かってそう言った。その顔には、自嘲とも取れるような表情を浮かべ

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