松本崇弘

九州大学大学院工学研究院/准教授。専門は錯体化学/有機金属化学。金属を使った分子変換が…

松本崇弘

九州大学大学院工学研究院/准教授。専門は錯体化学/有機金属化学。金属を使った分子変換が得意。最近の研究テーマはバイオマス・廃棄物変換技術の開発。

記事一覧

大学研究者と「AI」との共存

「AI (Artificial Intelligence)」=「人工知能」 言うまでもなく、最近はAIの進化が著しい。X年後、Y%の職業がAIに置き換えられるという記事をよく目にするが、研究者も…

松本崇弘
3か月前
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研究分野にも「ゲームチェンジ」が起こりつつある。

大きな集団であればあるほど「ゲームチェンジ」が起こるには時間がかかる。「独創性」「創造性」「革新性」を重んじる研究分野においてもそれは例外ではない。 ゲームチェ…

松本崇弘
3か月前
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「承認欲求」って。

自身の研究が誉められると嬉しく感じる。嬉しいと感じるということは、潜在的に自身に「承認欲求」があるのだな、と実感する。似たような欲求で「自己顕示欲」というものが…

松本崇弘
3か月前
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大学研究者から見る「ソーシャルビジネス」。

「ソーシャルビジネス」=「社会課題解決を目的とする事業」 小学生の頃、夏はこんなに暑くなかったな、毎年のようにそう感じるようになり、こんなに水害はなかったな、こ…

松本崇弘
3か月前
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大学研究者が「サステナビリティ」を考える。

サステナビリティ = 持続可能性。 地球温暖化による気候変動が顕在化し、異常に熱い夏を何度も向かえるようになった頃、これまでの研究テーマをガラッと変えてカーボンニ…

松本崇弘
3か月前
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大学研究者が「いい研究」「研究の新しさ」について思うこと。

「いい研究」ってどんな研究なのかなと日々想いを巡らせる。 自分の中では1つの結論が出ていて、「人のため」「地球の未来のため」に資する研究が「いい研究」だと思って…

松本崇弘
3か月前
6

大学研究者と「AI」との共存

「AI (Artificial Intelligence)」=「人工知能」

言うまでもなく、最近はAIの進化が著しい。X年後、Y%の職業がAIに置き換えられるという記事をよく目にするが、研究者もその例外ではない。AIは創造性や独創性を持つことはできないから、その対極の存在である研究者は取って代わられることはないなどとうかうかしていると、AIに置き換えられても気づかれない研究者になってしまうだろう

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研究分野にも「ゲームチェンジ」が起こりつつある。

研究分野にも「ゲームチェンジ」が起こりつつある。

大きな集団であればあるほど「ゲームチェンジ」が起こるには時間がかかる。「独創性」「創造性」「革新性」を重んじる研究分野においてもそれは例外ではない。

ゲームチェンジが起こる要因はいくつもある。
・AI/データサイエンスの急速な進化
・気候変動問題の顕在化
・エネルギー/資源問題の表面化
・理科離れの深刻化
・失われた20年
・世代交代
・ディープテックの推進
・大学の存在意義
・スマートフォン革

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「承認欲求」って。

「承認欲求」って。

自身の研究が誉められると嬉しく感じる。嬉しいと感じるということは、潜在的に自身に「承認欲求」があるのだな、と実感する。似たような欲求で「自己顕示欲」というものがある。ちょっと調べてみると、「承認欲求」は受動的、「自己顕示欲」は能動的ということらしい。字面からなんとなく想像できる。

実感として「承認欲求」がない方が楽に生きられると思う。他者からの評価を気にせず生きられる方が人生は楽しそうだ。自身も

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大学研究者から見る「ソーシャルビジネス」。

大学研究者から見る「ソーシャルビジネス」。

「ソーシャルビジネス」=「社会課題解決を目的とする事業」

小学生の頃、夏はこんなに暑くなかったな、毎年のようにそう感じるようになり、こんなに水害はなかったな、こんなに台風は強くなかったな、そんなことを肌で感じ始めた頃、自身の研究テーマを急転換し、カーボンニュートラル技術の研究をスタートした。

産業革命以降、生産活動の基盤が農業から工業に移行し、石油化学工業が発展したことによって、我々の生活は豊

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大学研究者が「サステナビリティ」を考える。

大学研究者が「サステナビリティ」を考える。

サステナビリティ = 持続可能性。

地球温暖化による気候変動が顕在化し、異常に熱い夏を何度も向かえるようになった頃、これまでの研究テーマをガラッと変えてカーボンニュートラル研究を始めたことは、自身としては自然な流れだった。

いわゆる基礎研究から応用研究に舵を切り、今ではシーズを社会実装するにはどうすればいいかを考える日々である。

カーボンニュートラル技術を新規開発するためには、技術を「環境調

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大学研究者が「いい研究」「研究の新しさ」について思うこと。

大学研究者が「いい研究」「研究の新しさ」について思うこと。

「いい研究」ってどんな研究なのかなと日々想いを巡らせる。

自分の中では1つの結論が出ていて、「人のため」「地球の未来のため」に資する研究が「いい研究」だと思っている。

こんなことについて、いろんな人と話すけれど、人によって「いい研究」が何を指すのかは面白いように違う。

潜在的に、直感的に、「人のため」「地球の未来のため」の研究をすることに反対意見などないように思うが、ニーズに合わせない(社会

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