足元にあるもの

落ち葉を踏んだその瞬間
一面にひろがった絨毯が
スニーカーのように薄汚れた
わたしの心もすべて優しく
包み込んでくれるような気がした。

茶色の中にちらほらと
若さを感じさせる葉が混じり

みんな数あるうちの1つでしかないのに
解像度をあげてみてみると
色とりどりの様々な形や
大きさをした葉が顔を出す

みんなこの世の誰でもないたった1人の自分
この世界中どこを探したって
貴方の代わりはいないのだと
貴方には貴方の良さがあるのだと

私の冷めきった気持ちとは裏腹に
あしもとからそんな暖かい言葉を
かけられているように感じた

秋風が頬をくすぐって気持ちいい
枯葉を踏む音が心地よい
また来年もこの季節をどこか
たのしみにしているわたしがいる

コンクリートに散りばめられた一体は
生涯を終えても美しい絨毯として
私達の小さな日常を彩り
やがて新しい命を芽吹くための
肥えになるのだろうか

道に落ちているあの石ころも、あの枝も
鬱陶しい程に根付く雑草も
きっとなにかの、誰かの
役にたっているのかもしれない
今まであまり目を向けてこなかった
そんなことを考えるようになった

腰掛けたベンチから見えるあの夕日は
すごく遠くにいるようで実はそれほど
遠くはないんじゃないか

求めれば求めるほどいつの間にか見失って
あれほど私を苦しめていた悩みの種は
案外思っていたよりもちっぽけで
空っぽだったのかもしれないと
肩の重荷がスっと軽くなったような気がした
幸せは足元に転がっているかもしれない
求めずとも身近にあるかもしれないと
気付かされたそんな1日の終わり。

もうすぐでまた季節がめぐる
次は何に心踊らされ
何を感じるのだろう

まだ見たことの無い雪に
街を彩るイルミネーションに
胸が高鳴るのだろうか

その度に葛藤して
色んな気持ちが私の頭を交差して
そんなことを繰り返しているうちに
いつのまにか季節を過ぎていくのだろう。

落ちを踏む感触
わくわくするあの気持ち

小さい頃水溜まりで跳ねてあそんだ
あの頃のような感覚

誰かにとってはささいで
どうでもいいことかもしれない

けど私とっては大切で
温もりを感じさせてくれる
心を溶かしてくれるそんな瞬間。

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