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氷菓が溶けないうちに


「ねぇ、知ってる?蝉って7日間しか生きられないんだよ。」

僕の隣で、冷たい氷菓を口にしながら彼女はそ
う呟いた。

その瞬間いつも無邪気で明るい彼女が
その日はどこか儚く、寂しげに見えた。


夕暮れを知らせるチャイムがなった時、透き通る白い肌に艶のある黒髪が揺れた。


いつからだろう、彼女を目で追うようになったのは、

僕の氷菓はどんどん溶けていくのに、
さっきから全然減ってない。


彼女への気持ちはこればかりかと溢れていくのに、、

まるでいつまでたっても変わらない僕とおなじだ。

「蝉って7日間しか生きられないんだよ」
彼女の言葉が頭をよぎる。



あぁ、きっとこの恋もひと夏の終わりだ。


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