煎茶の作り方~蒸し(蒸熱)工程②~原葉は潜熱で蒸す

前回、蒸し時間による煎茶の呼び方の違いと殺青についてnoteにしました。

今回は、前回紹介した柴田先生の「機械製茶の理論と実際」を参考にしながら解説していきたいと思います。

まず、「蒸す」方法ですが、お湯を沸かし、100度の水蒸気を生葉に当てることで蒸すのです。

ただややこしいのが、水蒸気の温度によって生葉を蒸しているのではなく、水蒸気が、生葉に当たるときに冷やされて液体に変わる時に発生する「熱(=凝縮潜熱)」によって生葉が蒸されるのです。

例えば、アルコールの液体が気体に変わるとき、ヒヤッとしますよね。あれの逆バージョンです。気体から液体になると熱いのです。

だから何だと思われそうですが、実際に製造する人からすると意外と大切なのです。

この気体から液体に変わる時の温度って、無圧状態で100℃です。

圧力を上げてあげると、沸点が上がっていくので110℃とか120℃とかになります。

水蒸気の温度も100℃ではなく、110℃、120℃と高温になっていくので、圧力を上げた方が素早く蒸ける気がします。

でも、実際は、圧力を上げることにより、まず容積当りの水蒸気量が減るため、(矛盾した言い方ですが)乾いた水蒸気となり、蒸かしの効率が悪くなり、蒸しムラが多くなります。

また圧力を上げ、勢いよく送り込まれた100℃以上の高温水蒸気ですが、蒸し機を通過するころには無圧状態になります。原葉は、潜熱により蒸かすため、蒸気から液体に変わる沸点(=100℃)まで温度が下がる必要があり、温度が高ければ高いほど時間がかかり、蒸かしの効率が悪くなってしまうのです。

即ち、蒸し工程で使用する水蒸気は、無圧状態が一番!ということです。


専門的過ぎて、茶生産者でなければ必要ない知識ですが、これからもこういうマニアックなnoteを書いていきたいと思います。


次回は、蒸し機の構造の説明をしたいと思います。

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