事の始まり

興味をお持ち頂きありがとうございます。
いつか、何処か記憶の片隅に
こんな思いで妻を思いながら、
記録を留めた人がいた事を思い出して
身近な大切な人を、より大切にして貰えたら
そんな気持ちです。

事の始まり。それは結婚してから数年後、
リンパ脈管筋腫症という聞き慣れない難病、
これを発症したことが、
全ての始まりだったのかと
今は改めて思います。

その日は中学時代の友人の結婚式で、
遠く離れた田舎町まで車で一人
古い友人が迎える幸せな時間を
祝える事に幸せを感じていたあの日。

そんな時、夜になってから妻からの電話。
胸の中が痛い。
深刻なのか、その時はまだ判断出来なくて、
二次会の席でお酒もあって
すぐ帰るとは言えなかったあの日。
不安な気持ちを抑えながら、
翌日病院へ行くと聞いて、
戻る時間を早めようと決めた翌朝、
妻は気胸で緊急入院していました。

気胸という言葉も聞き慣れないし、
女性、気胸と調べても
あまり症例は多くは無いという程度で、
携帯で調べる事に限界を感じつつ、
恐怖を感じながら帰りました。

やっと辿り着いた病室で、
苦痛に顔をしかめながら、胸の横から
チューブとつながった妻を見て、
全ての思考が消えました。

真っ赤な血液が混じった液体が、
チューブとつながったアクリル製の箱に
沢山溜まって居た姿は衝撃的で、
昨日近くに居なかった事を
心から後悔しました。

あの日、初めて呼んで貰えた結婚式。
浮かれ気分の自分が、
本当に悔しかった。

大切にして行こうと思った女性、
命を掛けて守ろうと思い結婚した妻。
それが消えてしまうかもしれないという、
これまで経験しなかった恐怖。

あの時も、そして今も
同じ気持ちで押し潰されそうな自分。
でもそれ以上に
今妻は、一緒に生きたいと言う気持ちを
諦めないといけない。
どうして思ったように、
二人は一緒に、生きて行けないんだろうね?

あれから、ずっと不安だった。
いつかこんな日が、来るんじゃ無いかって。
怯えながら、暮らしてた。
力になりたいと、
思ってた。

でもやっぱり、なりきれなかった。
ごめんね。
ごめんねって、
いつも言わないようにしようって
一緒に言ってるのに
ごめんね。

死が二人を分かつまで、
愛する事を誓います。
結婚式の言葉、
今でも覚えてるよ。

でも、死が二人を分かつだけじゃ
気持ちは変わらないからね。

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