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ウマ娘新規からマニアックになりたい人向け、第81回皐月賞の血統予想と語り ~競馬大好きエリザベス女王の所有馬"牝系"が日本に広がる?~

※ご注意
本記事はウマ娘に触れた人が実際の競馬に触れようとした時に、私の得意とする血統予想からの観点を提供するという目的で書いています。
極力簡単になるように書いていますが、理解しづらい可能性もあります。
G1は今後すべて書いて行こうと思うので、段々と理解していったら予想が楽しくなるかも…という事でひとつご容赦ください。
なお普段はfanboxにマニア向け予想記事を掲載しています。

皐月賞は日本のクラシック3冠レースの1つ目。
その解説についてはおそらく色んな所でされていると思いますし、きっとゲームをしていればどれくらい重要度があるかはおわかりでしょう。

というわけで今回の出走馬から、面白い話題に繋げられる血統の馬をピックアップします。

■欧州から種牡馬の墓場呼ばわりされていた日本

日本の競馬は今となっては世界の中でもかなりハイレベルという扱いになり、海外のレースで活躍する事に不思議はなくなりましたが、昔はそうではありませんでした。

国際招待レースである日本のジャパンカップの創設当初は、賞金の高い日本競馬で軽々稼げるチャンスとして各国から馬がやってきて、日本馬は太刀打ちできません。しだいに勝つ馬が現れるようになり、しばらくは日本vs世界のレースとして名勝負を繰り広げられます。
が、今では逆に日本馬ばかりが上位を独占していて、2019年にはついに1頭も来てくれない事態にまでなってしまいました。

この最大の要因は軽くスピードが出る高速馬場の日本と、パワーを要する欧州という芝の馬場作りの差による適性が出せる能力に大きく作用しているから。欧州最強馬が日本でなかなか勝てなくても、日本最強馬は欧州でなかなか勝てないという状態。

とはいえ、この馬場作りの違いは一応今に始まった事ではありません。
日本に輸入されて成功して根付いた種牡馬は近年ではアメリカ産、アメリカ調教馬が多く欧州で走っていた馬が日本に輸入されると全然走らないというケースが続出。これは馬場のみならず欧州血統に合った調教法が日本には無いという可能性も同時にあります。

故に昔は欧州からは「日本は種牡馬の墓場」とさえ揶揄されていました。

そのワードを日本の競馬関係者に直接言い放った国賓がいます。
競馬発祥の地イギリスの、競馬大好きで馬主でもあるエリザベス二世女王

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■女王の牝馬の血が日本競馬に衝撃をもたらす

幼少期から馬に乗りレースにも乗った頃がある女王は英国競馬発展にも尽力していますし、馬主としても有名でG1勝利がいくつもあります。

その女王が来日した時に会ったのは、後にシンボリルドルフの調教師となる野平祐二。騎手時代に英国のレースに来て乗っていたのを覚えていると声をかける女王はさすがの競馬好きですが、続けて「日本が種牡馬の墓場と言われる事をどう思われますか?」と問いています。
自国で好成績を上げた馬を輸入しては成績の残せない日本の競馬界について、イギリス人らしい皮肉を超えた直球ストレート。

今では欧州から輸入した種牡馬からも活躍馬が出てきましたし(ハービンジャー産駒等)それ以上に特に欧州からの輸入牝馬から自国生産した馬が活躍馬が多数出てきて、海外でも好成績を収めています。その最もたる馬といえば、無敗の3冠馬にして多くの人がその名を知る、ディープインパクト

そう、このディープインパクトこそ、実はエリザベス二世女王と関係の深い馬。ディープインパクトの3代母(母の母の母)であるハイクレアーは、女王の所有馬にして最大級の活躍をした英国牝馬クラシック2冠馬なんです。
いわゆるハイクレアー牝系(牝馬だけを辿る血脈)ですね。

故に今では日本の競馬関係者と会えば「ディープインパクトの子供達は活躍しているか」と問いかける程になりました。手厳しい皮肉からこういう暖かい目線に繋がるイギリス人らしさ、大好き。

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ちなみにエリザベス女王の勝負服、もう世界一かっこいいんですよね。

※読み飛ばしてもいい備考
ちなみに数年前には別な女王所有の牝馬を日本に送りつけ、2年続けてディープを種付けまでしています。本国に戻した1頭目は現3歳でまだ未勝利ですが、もう1頭は2歳でこれからデビュー。

女王の馬ではありませんが、同じようなパターンで産まれたサクソンウォリアーが英2000ギニー(日本の皐月賞にあたるレース)を勝ちました。
それもあって女王の馬も走って欲しいな~という気持ち。
ただイギリスよりフランスの方が馬場が合いそうな予感のする血統…。

なお日本のエリザベス女王杯というレースは先述の女王の来日を記念して付けられたレース名であり、ご本人とは直接関係がないレースのため英語表記の日本語訳では「エリザベス二世女王記念杯」となっていました。
それがなんと2013年から王室の認可が下り、英語表記も晴れて「エリザベス二世女王杯」に。この辺にもディープの活躍が影響しているのかもしれないですね。

■エリザベス女王牝系の"掛け算"をした馬

さて、今回の皐月賞にあたりこの話をしたのはハイクレアーが強く関係している馬がいるからです。

ハイクレアー牝系からはナシュワンという英二冠馬も産まれています。
そのナシュワンを父として産まれたバゴは凱旋門賞を制覇。バゴは引退後、日本に輸入されて種牡馬入りしました。

バゴ産駒はビッグウィークという菊花賞馬こそ産まれたものの長らくパッとしませんでした。ところがここへ来て非常に注目を集めています。
クロノジェネシスの存在です。
G1秋華賞を勝ち、昨年は宝塚記念と有馬記念と大レースを次々制覇。種付け頭数の減っていたバゴはクロノジェネシスの活躍で再び頭数が増えています。

そして今回の皐月賞に出走するステラヴェローチェ
この馬について私はデビュー前から注目していました。

ステラヴェローチェの父はバゴ。母父はディープインパクト
もうおわかりですね。父方にも母方にもエリザベス二世女王所有のハイクレアーの血が入っています。父方の4代前、母方の5代前にあたるのでこれをハイクレアーの4×5と表記します。父方にも母方にも同じ血を持つ事をインブリードと呼び(クロスも同じ意味)だいたい5代以内に発生したらインブリードがあると言います。
そして前回のnoteで牝馬は1年に1頭しか産まないから頭数が種牡馬より圧倒的に少ないよ、と書きましたよね。
つまり牝馬でのインブリードが発生する事は非常に稀なんです。

その稀な牝馬のインブリードが発生する。それもエリザベス女王の馬で。
なんという血のロマン。

ステラヴェローチェにとってハイクレアーは父バゴ経由で4代前、母オーマイベイビー経由では5代前にあたるので『ハイクレアーの4×5』と表記します。
インブリードというのは劣性遺伝子の悪影響が出てしまうと気性難や虚弱体質などになりますが、対象の馬の血が濃くなるのでその特徴が出やすいという有効性もあります
インブリードが発生するというのはそれだけその血が栄えているという意味なので、リスクはあるが優秀な馬の特徴が強く出やすいという事で馬産において重要な要素の一つです。

発生自体が非常に少ないので名馬の例も極端に少ないんですが、初の凱旋門賞2着馬エルコンドルパサーはスペシャルという牝馬の4×4、さらにスペシャルと全姉妹であるリサデルも3代母にいるので、血統場全兄弟姉妹は同じ扱いとなる事から、スペシャル・リサデルの4×4×3というインブリードが発生しています。これはその馬の血の割合が25%になる事を意味するため、かなり濃くなってしまっています。とてもリスキーですが、一方で名牝の特徴を色濃く伝えるメリットもあり競走成績としては後者が開花してくれました。

名牝のインブリードは有効性が高いのでは、という持論があるため、
ステラヴェローチェはその血統からどんな走りをするだろうと期待していた馬です。fanboxの方の記事でも度々「エリザベス女王牝系クロスの馬」として鼻息荒く推してきました。
ぜひ種牡馬入りできる程に活躍して欲しいなあの気持ち。なんならあちらに輸出しても面白そうですよね。

さあそして今回の皐月賞、水曜日に雨がしっかりと降り、土曜の夜に再び本降りの雨。当日のレース時間帯は晴れ予報ですが、果たして適性的にどうなのか……

…は、恐れ入りますが下記予想コーナーで語ります。
ご容赦ください。

以下、予想になります。
どうしても一段回内容は濃くなります。
普段完全マニア向け(かつ他のレースも有り)な予想記事をfanbox(月額510円)に有料掲載しているので、こちらも有料化(単記事200円)する事をご容赦ください。

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