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サン=テグジュペリ

サン=テグジュペリの『人間の土地』を読みました。

著者の郵便飛行士としての体験を通して

人間同士の連帯とか
友情とか
仲間の飛行士たちとの絆とか
自然の厳しさとか
それに立ち向かう人間の勇気とか
人生の意味とか

について書いた深い本です。

サン=テグジュペリという名前は
菊池桃子さんの「卒業-GRADUATION-」というヒット曲で初めて知った世代ですけどね。
「誕生日にはサンテグジュペリふいに贈ってくれた・・・」というフレーズがあったんです。
秋元康さんの作詞です。
こういう人の名を入れるところがうまいというかあざといというか。

『人間の土地』ですが
解説に世紀の名著とあり
カバーのイラストは宮崎駿さん
堀口大學訳
どんなロマンティックな話だろうと期待して読んだらダメですね。
私、途中で3回ほうり投げようと思いましたから。
200ページ余りしかないのに。
2時間でサクッと読むつもりが2週間かかりました。
これは哲学書でした。
今永選手が「投げる哲学者」なら
サン=テグジュペリは「飛行機を操縦する哲学者」でした。

寝っ転がって読んでたらボロボロ

とにかく文章に比喩が多いです。
詩なんです。
そこが読みにくいんです。
でもそこも味わってこその名著なんでしょうね。
いや素晴らしい本ですよ。

同じ著者の『星の王子さま』には

「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない。」

『星の王子さま』サン=テグジュペリ 河野万里子訳 新潮社

という有名な言葉がありますが
『人間の土地』にもいいなと思う言葉がありますので
最後にいくつか紹介します。

雷雨や、濃霧や、雪などが、ときどき君に難儀をさせるかもしれないが、そんなとききみは、自分以前にこれに出会った人たちのことを思い出すのだ、他人がやりとげたことは、自分にも必ずできるはずだと。

『人間の土地』新潮文庫 14P

人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。人間であるということは、自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じることだ。

『人間の土地』新潮文庫 57P   

また経験はぼくらに教えてくれる、愛するということは、お互いに顔を見合うことではなくて、いっしょに同じ方向を見ることだと。ひと束ねの薪束の中に、いっしょに結ばれないかぎり、僚友はなく、同じ峰を目ざして到りつかないかぎり、僚友はないわけだ。

『人間の土地』新潮文庫 216P

これなんか結婚式のスピーチで使ってみたいですが
結婚式に呼ばれません。


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