【毎週ショートショートnote】星屑ドライブ

高嶺さんとのドライブ、未だ車中である。
ときどき、パーキングエリアで停まり昼食を済ませたり、トイレにいったりしたが、ほとんどが車内だ。

「高嶺さん、どこに行くの」
「秘密ですわ」

うれしそうな高嶺さんに、わたしもうれしくなるけれど、不安もうずまいている。タクシーのメーターはとっくにふりきれている。わたしはそんなタクシーをはじめてみた。

やがて、目的地に着いたのかタクシーが止まった。
山の上で真っ暗だった。

「足下に注意してくださる?」
「あ、はい」
「ほら、ここにあるベンチ、とってもいいですのよ」

ベンチに高嶺さんと並んで座った。

「上を見なさい」
「はい」

上。
満天の星屑が、私の頭上にあった。
いっぱいの星々。
こんなにも星を見たのは、はじめてだ。

「すごい、すごいよ。高嶺さん」
「喜んでくれて、わたくしも嬉しくってよ」

星もいいけど、わたしは高嶺さんの喜ぶ顔がみれなかったので、今度、わたしが遊びに誘うときは、青空の下で遊ぶことを心に決めた。