【毎週ショートショートnote】メガネ初恋

「なあなあ、あの子の眼鏡みたか?」
「みてねえよ」
「初恋した眼鏡に似てたよ」
「人をみろ」
「顔面と眼鏡のコントラストを論じてるのさ」
「知るか」

またか。
人ん家でもゲームをする相方は、眼鏡に目がない。
人ん家を漁るときは、パソコンとゲーム機の次に眼鏡を重視する。

「次に行く旅行中の家はどこなんだ?」
きたか、答えたくないが言うしかないだろう。
どうせ、家に着いてからテンションマックスで大声出される方がウザい。

「個人経営の眼鏡屋だ。二階が居住スペースになってる」

相方は倒れた。
俺はしゃがんで、肩をゆすり、安否を問う。

「大丈夫だ」
「そうか。さっさと立って歩け」
「無理。心がいっぱいになった」
「たかが眼鏡だろ」
「眼鏡を馬鹿にするな!」

相方が怒りで立ち上がったので、俺は無視してさっさと歩く。
この眼鏡好きは本当にどうにかしてほしい。
ついてきた相方は、足取りが軽かった。

「お前にあう眼鏡があるといいなあ」
「自分でかけろ」
「眼鏡は見る専だから」