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大輸血まつり

7月3日(月曜日)

夜のステロイド点滴がなかったので、途中覚醒することなくゆっくり朝まで眠ることができた。少し寝汗をかいていたが、体はしっかり休めた気がする。

5時半、採血。
6時、検温、血圧、血中酸素濃度、体重測定。体重は変わらず。バイタルチェック後、トイレに行こうと立ち上がると、その瞬間に出血して病衣が血だらけになってしまった。恐れていた生理が来てしまった。しかも予定より数日早い。血小板が少ない状態で先月レベルの生理が始まると大変なことになってしまう。とりあえず下着と病衣を新しくして、生理用品を装着。

闘病入院経験のある先輩からラジオ体操をすすめられたので、テレビをつけてラジオ体操をやってみた。肘をつくストレッチをすると、体重がかかる肘に簡単に痣ができてしまうので全身運動の方がいいかなと思って取り入れてみることにした。久しぶりにラジオ体操を本気でやったら体がポカポカして気持ちがよかった。

しかしその後。歯を磨いていたら突然貧血になり、ぶっ倒れた。倒れた拍子に左こめかみをベッドのサイドフレームに強打。とりあえず10分ほど横になって呼吸を整えて、散乱した歯ブラシとコップを回収。調子に乗ってしまった。ラジオ体操ができるようになるにはもう少し時間がかかりそうだ。体力のなさにしょんぼりしながら、顔を洗って廊下へ出てポットにお湯を汲んで、倒れてしまったことを看護師さんに報告した。

心配した主治医がすぐ病室に来てくれて、急遽CTを撮ることになった。CTの前にトイレに行くと、たった2時間で生理出血が溢れていて、もう一度下着と病衣を着替えるはめになった。止血剤を点滴で投与し、車椅子で移動。昨日から内服し始めた止血剤の「アドナ」は休薬することになった。CTの結果、脳には異常がなく皮下出血で済んだ。左こめかみに大きなたんこぶができてしまい、子泣きジジイのようだ。

CT後、少し遅れて朝食。顎を動かすとこめかみが痛むので、味噌汁にご飯を入れて柔らかくして食べ、それ以外は全部残した。食後にベサノイド、バクタ錠、酸化マグネシウム、ランソプラゾール、アシクロビル、ファンギゾンシロップ。

9時半、主治医回診。生理が始まったせいか、赤血球の数が6g/dL以下と極端に低いらしい。今日は「とにかく赤い輸血をしましょう」ということになった。交差適合試験(クロスマッチ)のために再び採血を行い、ステロイドの点滴。クロスマッチは輸血前の重要な検査で、期限が1週間と決まっているらしい。たんこぶが痛くなってきたので、保冷剤をもらった。

ステロイドの点滴が終わり、すぐさま血液凝固因子のFFPを輸血。輸血中に主治医が病室へ来て、改めてCTの結果を説明してくれた。「表情筋に近いたんこぶは痛むと思うけど、脳は大丈夫だから安心してくださいね」と痛み止めのカロナールを手配してくれた。

その後、歯科医師が往診で口腔内を定期チェック。貧血で歯茎が白いが、大きな問題はないそう。歯石が気になると言うと、外来でしか処置できないので血球の数値が上がるまで待ちましょうと言われた。

12時、昼食。たんこぶが痛すぎてほとんど食べることができない。チキントマト煮の汁にご飯を混ぜて、リゾットのように柔らかくして少しだけ食べた。差し入れのプリンとウィダーでなんとかカロリーを摂取。食後にベサノイド、酸化マグネシウム、ファンギゾンシロップ。

14時半、婦人科を外来受診。無菌室から車椅子で移動し、超音波で子宮内膜の厚さと子宮頸がんの検査をしてもらった。とにかく血小板が少ないので経血を止める一手が必要なのだが、その治療法が沢山ある。白血病治療を考慮し、最もリスクが低いものとして「リュープロレリン注射」を打つことに決定。一時的に閉経状態にすることで、出血を抑える手段だ。4週間に一度注射し、最大6ヶ月間続けることができる。注射自体は全く痛くなく、車椅子で病室に戻った。

血小板輸血が届いたので、抗アレルギー薬を前投薬。今日の血小板輸血はその場しのぎのランダムな輸血なので、不応かどうかは採血の結果次第。でもやらないよりマシなので1パック輸血。

主治医が病室に来て「CTの結果なのだけど、筋肉内出血だったようです。なるべく顔の表情筋を動かさずに食事ができるメニューに調整しますね」と話してくれた。こめかみのたんこぶが左頬まで腫れ上がってきた。

続いて、血小板輸血後の血液の状態を見るため腕から採血。本日3回目の採血だ。採血の結果を伝えにきた主治医が「今日の血小板はうまく適合したようです。増えていますよ」とのこと。ミラクル。心配していた血小板の適合製剤は、早くて今週の水曜日か木曜日中に調達できそうだというので安心した。

経血過多なので、今日は赤い輸血を3パックとFFPも追加で1パック行うことになった。転院前の集中治療室でも4パック輸血だったので、それを超える6パックの「大輸血まつり」が始まった。早速赤い輸血を開始し、1パック終わったところで採血。赤血球の増え方を見つつ、2パック目を輸血。「輸血パーティですね」と看護師さんに言ったら「ほんとだねー!」と笑っていた。

18時、夕食。ご飯、味噌汁、麻婆豆腐、野菜の小鉢、ほうれん草のお浸し。柔らかいものだけ食べて、半分くらい残した。食後にベサノイド、バクタ錠、酸化マグネシウム、ファンギゾンシロップ。

食後、息子の授業参観に行ってきた夫とLINEでビデオ通話。登山泊の準備が大変そうだ。息子は「おかあさん、冒険少年見てる?」と言って、元気にご飯を食べていた。娘はビデオ通話のエフェクトでスタンプを送りまくっていて、終始ご機嫌な様子。直接会えなくても、こうしたコミュニケーションツールがあることがありがたい。

20時、融解が終わった血液凝固因子のFFPを輸血。止血剤が効いたことと、血小板が増えたことでなんとか出血を抑えることができた。最後にトドメの3パック目の赤い輸血をして、眠剤を飲んで就寝。

忙しい1日だった。