雨が降ったら傘を取り上げる

金融機関が、業況の良い会社へバンバン融資を行い、業況の悪い会社へは融資を渋る。
そんな姿勢を揶揄して、よくタイトルのように表現されますよね。

さて、実際に信用金庫で働くものとして感じていることを述べてみます。

まず原則として、地域金融機関である信用金庫では、市場はその地域のみとなります。
余資運用といって、所謂株や債券への投資を除き、基本的には地域のお金をお預かりして、地域へお貸出するその利鞘が我々の主な売上高となります。
信用金庫の成立自体、地域のためにあり、地域に縛られるわけですね。信用金庫法という法律で定められてしまっています。

そんな構造があるので地域の企業の存続は、かなり大切になります。
企業の衰退、撤退は信用金庫にとって限りのあるお客様がいなくなるという意味を持ちます。

銀行と大きく違う点ですね。
銀行は基本的には市場が地域で限られる訳ではないので。

つまり、必死なのです、守るのに。

特に信用金庫がメインバンクの場合、これまでの業況・今後の見通しが芳しく無くても、ある程度まで赤字補てんの運転資金対応は継続します。

そのある程度の判断基準は下記のあたりになると思います。
 ①各期の営業赤字幅や、繰損、債務超過額などの財務面。これはまぁそうですよね。

 ②その企業が属する業界の見通し。悲しいかな構造変化による斜陽産業化は避けられません。

 ③貸出金額及び未保全金額の大きさ。これは回収可能性、つまり少しでも貸出金額を回収したいため。未保全金額とは担保や保証協会でカバーされない、とりっぱぐれる部分。

 ④これまでの協力姿勢、代表者の熱意。意外と大切で、誠実さだけは苦しい場面でも持ち続けて欲しいです。

複合的に検討して、資金繰り支援を最後まで行っています。

でも、タイトルのようなことを言われることもしばしば、、、。

なかなかキツイ思いをすることもありますね。

ただ、分かって欲しいのは信用金庫が貸さないという判断に至るのは、返済可能性に留まらず、やはり前述の「市場が限られる中でのプレーヤーの撤退」ということまでも加味してのことだいうことを。

窮境場面だと、どうしても企業と金融機関は対立してしまうので、少しでも理解を頂けるとありがたいなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?