批評~グミ~①
朝は12時くらいに目覚める。
本当は8時に目覚めるのだが、それはなかったことにして、やはり毎日12時に目覚める。
洗面所に行って口をゆすぐ。歯は磨かない。口をゆすぐだけ。
歯磨きは歯のコーティングを剥がし、虫歯になっちまう、
と父親に口酸っぱく言われていた。母親はそれを無視していた。
父の歯は、汚かった。
口に水を含み、ゆっくり口内で躍らせる。
何か違和感がある。口内を何かがうごめいている。たまらず吐き出す。
昨日、いや一昨日だかに食べた、イチゴ味のグミだったのだ。
皆さんはグミ、食べているだろうか。
コンビニやスーパーのお菓子売り場にて一定のテリトリーを築き上げた諸グミ達は、
今やその領土内でゼラチンをゼラチンで染める、熾烈な同士紛争を繰り広げているのだ。
私はキヨスクなんかに行くと必ずその紛争の動向を注視するのだが、ここ最近は過激甚だしい。
数年前と比べて爆発的に数が増えているし、その種類も豊富である。人間に買われ、喰われることがこの上ない幸福だとでも言うかのようだ。
うぬぼれるな食品だぞ。お菓子の一ジャンルに過ぎないだろ。
まあ買いますけどね。おいしいからね。好きだからね。
僕グミ好きなんです。僕のグミ史は長いよ。
始まりは5歳。忘れもしない。
母親と行ったスーパーでのこと。
母親が野菜を選んでる隙をついてお菓子売り場に走り、自分の背丈より高い位置に陳列されたグミを執念でむしり取って食った。
そう、食ったのだ。レジも通さず、その場で。
もうこれは、まごうことなき犯罪。万引き。
刑法235条窃盗だ。
母親はと言うと、それはもう唖然としていた。
当たり前だ。子どもが未精算のグミを貪り食ってるのだから。
その後どのような処分が私に下されたか、よく覚えていないが、あの時のグミの味はよく覚えている。
柔らかくて、すべすべで、ジューシーで、
幼児の社会性を失わせる様な魔性の魅力を、
粉糖と共に纏っていた…。
それからというもの、
小遣いを貰っては真っ先に果汁グミを買いに行っていたし、温州みかん味とグレープ味を口の中で混ぜ混ぜしていたし、
高校の時はなけなしのバイト代で変わり種系グミを買い漁り、テイスティングしたものである。
グミの魅力に取り憑かれてからもう10年以上経つが、私の人生はまさにグミと共にあり、そしてこれからもグミと歩み続けるつもりである。
グミに生まれ、グミと共に歩み、グミで死ぬ、
グミむしゃむしゃ人間の私だから、だからこそ、ここ最近のグミに一言物申したいのだ。
ーーーー批評〜グミ〜② につづく
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