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『娘に語る人種差別』

人種差別のあらゆる疑問に答えてくれる一冊。

著者:タハール・ベン・ジェルーン
訳者:松葉祥一  出版社:青土社
 発売日:2017/03/21(初版1998、1回目の新装版2007)

本の紹介

世界の歴史において、「人種差別」は根深い問題として長きに渡り存在しています。この本はフランスを舞台に、作者と娘が「なぜ人種差別は起こるのか」「どうしてそれがいけないことなのか」などの対話をしていきながら「人種差別」について考えていきます。

著者紹介

タハール・ベン・ジェルーン
1944年生まれのモロッコ出身。著者は専制政治から逃れるためにフランスに移民しました。かつて、モロッコはフランスの植民地だった関係でフランスへの移民が多くいました。しかし、オイルショック(原油の供給逼迫および原油価格の高騰に伴い、世界経済全体がきたした大きな混乱)前後から失業率が上昇し、もう移民はいらないという声が高まり、移民に対する暴行事件などが目立ち始めました。こうした差別環境の問題をきっかけに、著者は人種差別に関する本を書き始めました。

おすすめポイント

ベストセラーに選ばれた!
フランスでは本の販売と同時に「ベストセラー」になりました。それは、フランスで人種差別がどれほど大きな問題かということの証明でもあり、他の国にとっても見逃すことができない問題です。他の国で起こる人種差別に焦点を当て、ことの重要さを学ぶことで「じゃあ、自分の国の人種差別問題は?」と考えさせられるきっかけを作ってくれると思います。

対話形式&子供の疑問だから読みやすい、わかりやすい!
質問に対して回答があるのでとても読みやすいです。そして、8-14歳向けにわかりやすく書かれているため、理解を深めやすいです。例えば「異なるって何?」「優れているってどういうこと?」などのわかりやすい疑問なので、基本的なことから学ぶことができます。

感想

人種差別はどういうことなのかという基本的なことから、フランスの差別問題などあらゆる事柄を考えさせられました。その中でも「人種差別の考えが間違っていることを徹底的に子供たちに教育するべき」という著者の主張が印象に残っています。もちろん現実に起きている人種差別の問題と闘うことも大切ですが、長い目で見たとき、人々の考え方えを変えること、そのために教育が重要であることは間違い無いと思います。その意味で、全ての国の次の世代を担う我々のような若者に読んで欲しいなと感じました。簡単に読めるので、ぜひ手にとって読んでみてください!!







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