九頭龍 'kuz' 雄一郎

エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋…

九頭龍 'kuz' 雄一郎

エンジニア/経営者, 日本の大企業からシリコンバレーのスタートタップまで多種多様な千尋の谷に落ちた経験を持つ。ClayTech CEO,2nd-Community取締役,144Lab取締役,東北大学客員教授,東京工業大学非常勤講師,他複数社の顧問など。

最近の記事

202X年、スマートフォンは僕らが期待していたデバイスにはならなかった

200x年、私たちは『スマートフォン』の潮流に直面し喜びに満ち溢れた。 「ようやく我々が求めていたデバイスが生まれた!」と。 コンピューティングパワーと操作性を兼ねそろえたモバイル端末という形態への需要は過去から常に予測されていた。 実際にガラケーの狙う先も常にそこにあったし、古くはPalmなどにもその源流が見て取れる。 WindowsCEも当然そこを狙ったもので多くのメーカーがWindowsCE搭載のクールな製品をリリースした。 しかしいずれも十分に市場を席巻するには至

    • アフターコロナは個人主義と国家主義のようなことが個人と会社で発生するかもしれない

      個人主義と国家主義は共存できる それどころかむしろ共依存の関係にある 一見言葉的には変なことを言っているように聞こえるかも知れないが、紛れもない事実だ。 なぜなら個人が十分に強ければ国家はいらないが、個人はほとんど全ての場合において集団より弱いからだ。 個人主義を推し進めると、それは大衆を、 一部の個人でも余裕で戦えるゴリラと大半の個人では戦えない羊 に分けることになる。 大量に並んだ羊を支えれるものは国家しかない。 皆それがわかるので国家主義に傾く。 詳しい説明が必要

      • セラノスにはスタートアップあるあるが詰まっていた

        『BAD BLOOD』を読んだ。 一時は世界最大級のユニコーン企業となったセラノスが、実際は嘘と捏造にまみれた会社である、ということを告発したウォール・ストリートジャーナルの記者の著作だ。 実際の告発から凋落が起こったタイミングを時系列で思い起こすと、私はアメリカから日本に移り、スタートアップで事業立ち上げに取り組んでいたタイミングで正直セラノスについてはネットの記事でチラッと読んで「マジかよ」と思った程度だったが、シリコンバレーでのエリザベス・ホームズの持ち上げられっぷり

        • Monozukuri Hardware Cup日本予選の審査員をやらせていただきました!

          先日2/25にMonozukuri Hardware Cup(オンライン開催)に審査員として参加させていただきました。 ピッツバーグで決勝戦を行うイベントの日本予選という位置付けです。(今年はオンライン開催になるようですが) 個人的にはこういうピッチイベントでの審査員自体が初めての経験でしたが(これまで審査される側ばかりだったので)実際にやってみて正直なところ「登壇の方が全然緊張しないな」と思いました。笑 審査員は、むしろ登壇者よりも限られた時間の中(通常、投げかけれる質問

        202X年、スマートフォンは僕らが期待していたデバイスにはならなかった

          大人の仕事は『出口の準備』だという話

          先日初の『大学非常勤講師』としての半年が終わりました。 いわゆる想像されるような分厚いテキストを使ってあれこれと講義して生徒が板書するような授業ではないため、ある程度気楽に取り組ませていただきました。準備とサポートに奔走されているスタッフの方々に感謝です。 若者と直接触れることによってご多分に漏れず多くの刺激と発見がありました。軽く列挙させてもらうと、 ・学生のことなんて自分は全然わかってないなと実感(想像はしてたけど) ・真面目な学生が多い大学であっても突飛な発想を持っ

          大人の仕事は『出口の準備』だという話

          寝かしつけ無しで子どもを育てる方法(子育てに消耗しないために)

          うちは4人子どもがいますが、誰一人として寝かしつけをしていません。 長男は8歳、長女は5歳、次男が3歳、次女が0歳です。 繰り返しになりますが一切寝かしつけをしていません。 寝かしつけ(特に添い寝)をしないメリットはとても大きいですよね。 例えば 21時以降は大人の時間子どもは20時半から21時の間に必ず全員ベッドに入るので、それ以降は普通にリビングでテレビを観たり本を読んだり、子どもには勿体ないとっておきスイーツを食べたり。夫婦2人の時間を過ごしています。 子どもをベ

          寝かしつけ無しで子どもを育てる方法(子育てに消耗しないために)

          柳宗悦「工藝の道」

          きっかけは自粛期間に流行った「ブックカバーチャレンジ」が回ってきたことだったのだが、「好きな本」というものからもう少し掘り下げて「どうにも捨てられない本」を掘り返してみた。私はこれまで就職を機に実家を出てから浜松で4回、アメリカで2回、日米往復の2回、合計8回の引越しを経験している。そのため荷物は最小限に近い。本も相当処分した。その状況で残り続けている本というと本当に限られた数冊に落ち着く。 「工藝の道」はそのひとつだった。 柳宗悦「工藝の道」(1929年初版, 2005年

          柳宗悦「工藝の道」

          温暖化は森林火災に影響を及ぼしているのか

          先日息子(8)にスッキリとした説明ができなかったので調べてまとめる。 ちなみにこんなやりとり 娘(5)「ヒアリだ!」 息子(8)「あーそれはヒアリじゃないよ。アカアリだよ。ヒアリは絶滅種だからね」 私「絶滅じゃなくて根絶な」 息子(8)「あ、そっか。人間を、、、傷つけるから、、絶滅させようとしてる、ってやつね!(ドヤ顔)」 私「そう、そのとおり」 息子(8)「そういえば、コアラが最近絶滅危惧種になったって」 私「お、そうだ。今そういう提案がされてるね。なんでか知ってる?」

          温暖化は森林火災に影響を及ぼしているのか

          企画の基礎「手法について考えない」

          商品企画、事業企画、プロモーション戦略などなど、どのようなケースでも共通して言えることが、手法はあとで考えるべしということです。 手法ばかり考えるとどうなるか手法の議論はとても楽しいです。 エンジニアだったら実装方法や使用部品、UIのデザインなんかを議論することはすこぶる脳味噌が沸騰します。チームメンバーの知識と経験を全投入してあーだこーだと議論すると、まぁ盛り上がること間違いなしです。 事業についても、資金計画や人員計画の細かい数字、売り上げ予測なんかをきちんと計算し

          企画の基礎「手法について考えない」

          「リベラリズムはなぜ失敗したのか」の意訳まとめ③「格差」

          ここ数年のトレンドとして「資本主義の失敗」「民主制の崩壊」などなど言われている。自らの実感のことは一旦置いておいて、きちんと押さえたい。 いくつか書籍を漁ってみたがこの本がもっとも妥当で理性的に書いてあるように思えて気に入った。自分用の覚えメモとしてまとめておく。 リベラリズムはなぜ失敗したのか 著者はパトリック・J・デニーン(Patrick J. Deneen) 米国ノートルダム大学政治科学部教授。過去にプリンストン大学やジョージタウン大学でも教鞭を取る 内容も分厚く

          「リベラリズムはなぜ失敗したのか」の意訳まとめ③「格差」

          「リベラリズムはなぜ失敗したのか」の意訳まとめ②「モラルの低下」

          ここ数年のトレンドとして「資本主義の失敗」「民主制の崩壊」など多くの場所で言われるようになったと感じている。きちんと押さえたい。 いくつか書籍を漁ってみたがこの本がもっとも妥当で理性的に書いてあるように思えて気に入った。自分用の覚えメモとしてまとめておく。 リベラリズムはなぜ失敗したのか 著者はパトリック・J・デニーン(Patrick J. Deneen) 米国ノートルダム大学政治科学部教授。過去にプリンストン大学やジョージタウン大学でも教鞭を取る 内容も分厚く長文と

          「リベラリズムはなぜ失敗したのか」の意訳まとめ②「モラルの低下」

          「リベラリズムはなぜ失敗したのか」の意訳まとめ①「強い国家、弱い国民」

          ここ数年のトレンドとして「資本主義の失敗」「民主制の崩壊」など多くの場所で言われるようになったと感じている。きちんと押さえたい。 いくつか書籍を漁ってみたがこの本がもっとも妥当で理性的に書いてあるように思えて気に入った。自分用の覚えメモとしてまとめておく。 リベラリズムはなぜ失敗したのか 著者はパトリック・J・デニーン(Patrick J. Deneen) 米国ノートルダム大学政治科学部教授。過去にプリンストン大学やジョージタウン大学でも教鞭を取る 内容も分厚く長文と

          「リベラリズムはなぜ失敗したのか」の意訳まとめ①「強い国家、弱い国民」

          20分でわかる不要輻射対策

          ある機会に作成したものですが公益性の高い内容が含まれているので切り出して公開することにしました。 輻射の発生から対策の手がかり、現実的な運用まで参考になりそうなことを書きます。かなり実践寄りの内容になりますので、短めにまとめています(20分で読めるかどうかはその人次第)電磁気学の理論的な細かいところを知りたい方は是非専門書をあたって下さい。 私の電磁気学のベースの知識の大体は大学で使ったこの教科書でした。 ちなみに私の不要輻射対策の実務経験としては某大手企業時代のものが概ね

          20分でわかる不要輻射対策

          『地球温暖化 「CO2犯人説」は世紀の大ウソ』の意訳まとめ

          先日なんとも挑発的なタイトルの本を読んだ。 地球温暖化 「CO2犯人説」は世紀の大ウソ数名の研究者がそれぞれの視点で寄稿したものをまとめた本で、一本の筋道で組み立てられたものではないため自らの理解のためにも意訳のまとめをおこしておく。 なお、私はこの分野の専門家ではないので両陣営の是非を問うようなことはしない。そんなことはある意味興醒めだ。 純粋に著作者たちの意図をある程度噛み砕いて並べることにのみ注力したい。なお著作者たちは東京工業大学を始めいくつかの大学や国立研究機関

          『地球温暖化 「CO2犯人説」は世紀の大ウソ』の意訳まとめ

          パスワード付きZIPは撲滅すべき

          先日情報処理学会の冊子でこのテーマについて特集が組まれていたのと、いくつか某大企業とのやりとりの中でいわゆる - パスワード付きZIPを.zi_で送付 - 後続メールでパスワード連絡 というプロセスの中で色々とトラブルがあり(最近そもそもメール使わないしね)たかが数kBのデータを受け取るために随分と苦労したという徒労感とタイミングがかぶった。 なぜパスワード付きZIPは害悪かを、すでに色々な人が書いてるから今更感はあるだろうけど、誰でもわかるように簡単に書きたいと思う。

          パスワード付きZIPは撲滅すべき

          で、結局Zoomについてどう考えれば良いかという話

          みなさんお使いのZoom。 「色々とセキュリティ問題が言われてるんでしょ!?」って話が聞こえて相談も舞い込む。なので書く。 ちなみにプロが細かいことは色々書いてくれているので、 例えばここらへんとかね。 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2004/22/news026.html https://wired.jp/2020/04/21/keep-zoom-chats-private-secure/ ということでこのポス

          で、結局Zoomについてどう考えれば良いかという話