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「日本庭園と西洋庭園の比較から見る自然に対する価値感と庭の空間構成」


庭園は日本式のものと西洋式のものでは、特徴に大きな違いがある。 見た目の違いはもちろん、何よりも自然に対する価値観の違いが見られる。

 日本庭園は池を中心として構成され、土地の起伏を活かした人工的な山である築山、自然な庭石や草木、そしてこれらから四季折々の景色が鑑賞できるよう、造型されている。 手法として、深山から流れ出した水が大きな流れに変わる様子を表現、石の組み合わせで山や島を表現するというものがあり、あくまで土地の特徴や自然の形を活かすようにして構成される。又、日本庭園は左右非対称に作られる。これは西洋庭園と大きく異なる点と言える。

 西洋庭園は、平面幾何学式庭園や露壇式庭園など、いつくかの種類に分けるが、広く好まれたのは平面幾何学式庭園だ。 平面幾何学式庭園の大きな特徴は、館を中心、もしくは起点として、庭園の中央に力強い軸線がある事だ。そして、その軸から左右対称性を持たせて、庭園全体を構成されいる。 さらに、花壇や木々は規則正しく植えられ、噴水は水の流れを制御することで美しさを形作る。木は規則正しく切りそろえられ、水の流れも制御る。他にも、西洋は遠くから水を引く、石は彫刻に変化させるなど、自然の形を大きく変えることで庭を飾るが、日本庭園は池を中心として、岩や植物もほとんど手を加えることはない。 西洋庭園は、人為的な美しさを再現することで、人の力を示し、自然すらも文明で支配できると語っているようだ。 日本庭園は、自然との調和を重んじ、自然への敬意、移り変わる時間といった、侘び・さびに美意識を感じていると言える。又、欧米においては,庭から建築物へと視線が向くことが多い。壁面を飾る植物や建物に沿って植え込まれた花壇の存在などは,特に装飾的な存在であって,建築構造物の価値を一段と高める作用を成している。

 近年、造園デザイナーが公共緑地の造成に取り組み,その結果,全国の緑地景観がどれも類似して,地域の個性が失われたという言われる事もある。それは日本の伝統的な造園技術の衰退とより説得性が高い欧米的な設計思想が日本に導入された結果であるかもしれない。欧米的な造園技術には学ぶべき点が多いが,それと同時に,日本庭園を作り上げるだけの力量も併せ持つだけの努力が要求される時代は,むしろ近いのではないかと思われる。それは,日本の造園と言う中で植栽木の美しく生きる姿,境界感の少ない一体的空間,景観構成要素のそれぞれが自己主張を抑え,見る者の心に残る景色や景観としての収まりが投影する心象の深さ,こういったものを実現する技術が,今後,グローバルにも求められる技術である。

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