THE CHOCOLATES「shittin' on your face」のレコ発イベントと音源について

(このブログは2018年11月20日に書いたものです。)

12月29日(土)東高円寺UFOクラブにてTHE CHOCOLATESのアルバム「shittin' on your face」のレコ発イベントにライブ出演します。

THE CHOCOLATES プレゼンツ 1st full alubum 「shittin'on your face」発売記念イベント
12/29(土)東高円寺UFOクラブ
18時半オープン、19時スタート
前売り2300円/当日2800円
THE CHOCOLATES
ndovus
クラーク内藤
that's a no no!
KILL CITY BOYS aka でっどえんど
(当日CD購入でスペシャル特典あり!)


というライブ告知にかこつけて、新アルバム「shittin'on your face」がメチャクチャいい!っていう話を少しさせてください。


大変恐縮ながら一足お先に何曲か聴かせていただいたのですが、THE CHOCOLATESの新アルバム「shittin'on your face」はメチャクチャいいです。えーとどっから話そう。


えーとまず、バンド史上最高傑作だと思います。いや1st full alubumだから当たり前だろって話でもあるんですが、このアルバム以前にも「SWITCH ON」「Cover-ups」あとは配信サイトMajixから出てた音源(現在は配信終了してるっぽいです)などミニアルバムのような音源がいくつか出てまして、それらを含めて最高傑作だ、という事です。
過去作も勿論何度も聴いていたのですが、今回はなんだか気迫みたいなものが今までと段違いじゃないかと思います。圧倒されます。えっここへ来てまたこんなに進化するんですか!?と。凄まじいです。凄まじい。


バカっぽい言葉ばかり羅列してますが、具体的な事を少し話すと音がやっぱり違います。ユウさんとヨリさんがギターで加入している事が大きいと思うんです。凄いフリーキーかつノイジーでカッコイイです。今までのTHE CHOCOLATESはもう少し60年代のロックンロールのルーツに忠実な音、またはアレンジだったと思います。今回もリズム隊の方々はそこは変化させずにガッチリ固めてくれているんですが、その上でお二人のギターが縦横無尽に弾き倒している。それによってストレートだけどオリジナリティもある、聴いた事のないカッコイイロックンロールになっています。


そして、そのストレートだけどフリーキーでもありノイジーっていうバンドの音が、トクさんのボーカルと凄くマッチしています。今でこそ僕はTHE CHOCOLATESのライブを見ながらヒョイヒョイ踊ってますが、最初にライブを見た時は全然動けなかったんです。トクさんの顔が凄すぎて。「この人は何があったんだろう?」と思ってある種怖くなって固まってしまった。トクさんのボーカルっていうのはロックンロール的なカッコよさと共にそういう、業の深さとか知性とかが滲み出ているように感じて凄い好きなんです。だから今までのTHE CHOCOLATESっていうのは、ストレートなロックンロールサウンドの上でちょっと異物のようなトクさんのボーカルが乗っかっている事が気持ちよかったんです。それに対して今回のアルバムはトクさんの世界観と、前述したバンドの音が合致しているように聴こえます。シンプルな事をやっているフリをして「オレにもできそう」とは思わせない、ストレートだけど明らかに厄介なロックンロールです。


録音・ミックスに関しても、今回は所謂ローファイではなく素直に楽器の音が聴こえるものになっています。 ローファイな部屋鳴り感のあるガレージパンクの場合は、例えばGet Randy Alvey & The Green Fuz「Green Fuz」が顕著ですが、その空気感がカッコイイ音楽だと思っています。異世界を覗き見するような気分というか、埋もれている音や隠れている音を含めてワクワクさせられる。THE CHOCOLATESの今回のアルバムはそういう方法ではなく、ダイレクトに鼓膜を震わせる音です。ライブハウスのスピーカーの前にかじりついている時のような、聴く刺激というよりは体感する刺激、そういう音になっています。ひょっっとしたら僕が聴いている音源の状態からはまた修正されているかもしれませんが、ヘッドフォンで聴くと楽しいと思います。


今話したような事を雑に要約して「ギターが変わって増えてよくなった」「録音が変わってよくなった」とだけ言っちゃうとこれがまた全然そういう話じゃないんですよ。それだけだとただの「変化」じゃないですか。さっき言ったように今回は明らかに「進化」してるんです。何をもって「進化」と感じてるのかは難しいんですが、やっぱり「気合が違う」としか言いようがないと思います。おそらくメンバーの方々は「今までと違う事をやろう」とかは考えてないと思うんですよ。メジャーコードの明るい曲調が増えてたり、オルタナっぽいコード感の曲があったりと、確かにバリエーションが増えたように思います。でも極端な例を出すとレゲエやジャズをやろうとか、打ち込みを使おうとか、そういう事は考えていないしやっていない。あくまで今までやってきた事を突き詰めた結果の凄味があります。「何をやるか」よりも「いかにやるか」という所での気合の入り方、そこに鬼気迫るものを感じます。「これやるしかねえ!」という20代、30代を経て「もういよいよ本当に自分達はこれをやるしかないんだ」というようなズシッと重い覚悟が音になって出ているのだと思います。

例えば。アルバムのタイトルが「shittin'on your face」ですよね。先日公開されたMVの曲も「シットイーター」です。
【MV】THE CHOCOLATES / シットイーター
アルバムでもトクさんは何度も「クソ!」という言葉をシャウトするんですが、個人的にはこの「クソ!」に一番圧倒されました。初めてライブを見た時と同様に固まって動けなくなってしまった。同じ言葉を何度も言おうが誰もが使う言葉だろうがそんな事は問題じゃないです。「もういよいよ本当に自分達はこれをやるしかないんだ」というようなズシッと重い覚悟がそういう所にも現れていると思います。ライブでもバンドに埋もれないトクさんの声はいつにも増してラウドです。


憶測と個人の感想だらけの文章で恐縮ですが、今回のアルバムは色んな人に聴いて欲しいなと思い、捲し立ててしまいました。個人的には10代の頃からメンバーの方々がやっていたドメニコドモランテやGyogun rend'sなどの音源を聴いてきましたが「今もやり続けてるから凄い」なんてもんじゃなくて「今でも進化し続けてて凄まじい」って事です。僕も無邪気な初期衝動は使い果たし、もはや若者ではなくなり「年を重ねながらロックンロールをやるというのはどういう事なんだろうか」と悩んだりもしますが、先輩の方々がこんな風にカッコイイロックンロールをやってくれると年をとる事が少し楽しみになります。

でもそれと同時に悩みの種も増えました。じゃりン子チエ的なニカッとした笑顔でトクさんに「オレ達こういうの作ったけど、内藤君はどうすんの(笑)?」と無茶ぶりされているような気分になり、実はずーっと気が気じゃないのも事実です。あーどうしよう。「憧れの人達と対バンです!」みたいなキャピキャピした気持ちでは全然いられない。あーもう。ほんっとに何でここへ来てまた更に凄くなるんだ、カンベンして…。


当日は卑怯な手を使ってでもパイセンに一矢報いようと躍起になっている僕の醜態をご覧いただけると思いますので、12月29日のレコ発は是非ともお越しください。よろしくお願いします。

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