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俚謡山脈PRESENTS「TOKYO MINYO MASSIVE」について

5/18(木)新宿SPACEでこういうイベントが開催されます。



俚謡山脈PRESENTS
【TOKYO MINYO MASSIVE】
2022年5月18日(木) 新宿SPACE
19:00-23:00
ADD 3000円

DJs
三代目DJひょっとこ
北村 卓也
田中 克海(from民謡クルセイダーズ)
DJ まいたけ (fromアラゲホンジ)
俚謡山脈(from Soi48)
KUNIO TERAMOTO aka MOPPY(from Soi48)

LIVE
THE INSTANT OBON (キセル/辻村豪文)

SOUND SYSTEM
MMP220

Soi48に所属する日本民謡DJ俚謡山脈が主催するパーティー「TOKYO MINYO MASSIVE」が新宿SPACEにて開催。
ローカルミュージックとして、そして単にカッコいい音楽としての「民謡」に焦点を当て、ヤバい面子が一挙集結。
更にサウンドシステム「MMP220」を投入!民謡を爆音で!

俚謡山脈主催の日本民謡に特化したイベントがとうとう始まるのか…!と思いました。
いざこうやって告知の情報を見てみると、不思議と「あー確かにもっと早くこういうイベントがあってもよかったかも?」というような気にもなってくるし、又「機は熟した!満を持して開催だ!」というような気もします。

今回私クラーク内藤は特に出演者として書かれているわけではないのですが、まぁ何ですか、あの、三代目DJひょっとこもいるし、あとまぁ何というかだから色んな意味で行かないわけにはいかないだろうし、という事もあり告知のnoteを書いています。

自分の話から始めますけれども、俚謡山脈と「木​崎​音​頭」のレコードをEM Recordsからリリースしたのが2018年の8月でした。
その後僕は民謡の影響を色濃く受けたアルバム「ASONDE CLASS HITO」を2021年にリリースしました。
俚謡山脈が当時「これは日本初の『民謡形式によるロック』だと思う。民謡とロックの融合とかではなく。」とツイートしてくれてましたが、民謡からの影響がいつの間にかRolling Stones「Beggars Banquet」と似たような手触りのアルバムになっていった事なんかが、作ってて面白かったです。

その後は主にニーハオ!!!!との共作や、ソノシート「DATHRO音頭」の編曲をしたりしていて、ソロ名義の制作はしばらく休みになっていました。
でもリスナーとしては民謡以降の音楽の聴き方で色々と聴いてまして、簡潔にいうと町田佳聲や竹内勉というよりは小泉文夫的な聴き方になっていた、という感じがします。
つまり日本民謡を掘り下げるというよりは、世界の民謡を色々と聴いて、その国の現代のポップミュージックを聴いたり、また日本民謡大観と聴き返してはその類似性や違いについて考えたり、というような事をしていたんです。

その中で気づいたのは「自分が生まれ育った国の民謡を、自分たちなりのやり方で表現する人達が増えてきているのではないか。」という事です。

例えば「木崎音頭」をリリースする前から、アフリカのSINGELIには心酔しっぱなしなんですけれども、あの性急すぎるようなビート感覚も、その土地の民謡というか、民族音楽を聴いていると元々あったりするんです。

また、スペインのRosalíaも去年リリースした「MOTOMAMI」は割とレゲトン色が強いアルバムでしたが、元々はフラメンコからキャリアをスタートさせています。
(インダストリアルガバ音頭と称して作ったニーハオ!!!!との共作「MATSURI-SHAKE」がRosalíaがツアーの入場SEで使われたのは、国は違えど音楽を作るその方法が類似していたからではないか、と僕は思っています。)

その他、韓国の農楽をエレクトロ化したbela「Guidelines」、同じく韓国のパンソリを現代のポップミュージックのアレンジで演奏したLEELNACHI、実験音楽とトラディショナルなパウワウを結び付けたネイティブアメリカンのグループMedicine Singers(Link Wrayのカバーもある!)、同じくネイティブアメリカンの歌をサンプリングしてダンスミュージックを作っているThe Halluchi Nation、そういう音楽に感動したり興奮したりしていました。
(belaさんに至ってはあまりに感動したのでご本人にメールで作品を絶賛したファンレターをハングル語で送ったところ、丁寧にお返事をいただきまして、現在はベルリンで活動中との事でした。)

やや話が逸れますが、こういった現代化された民族音楽を「民族音楽の『アップデート』」というのは少し違うと思うんですよね…。いや「アップデート」という言葉を使ってる人達に悪気がないのは百も承知ですので、全くケンカを売るつもりは全くないんですよ。ただ、自分で民謡をリアレンジしたり歌ったりする時に感じている事は「そこにあるプリミティブな衝動を捕まえて、そこをちゃんと表出させるために自分なりの機材や知識を駆使して作りたい。ひいては江戸時代などのはるか昔に沸き起こっていた歌い手や聴き手を含む民衆の熱狂と共鳴してみたい。」というような事でして、少なくとも「昔の曲より良くしよう」みたいな姿勢は僕には全然ないんですよね。その姿勢が良いか悪いかはまた議論が分かれる所でもありそうですが、僕は今のところそういう作り方を「アップデート」というよりは「トレース」するという言い方にしています。ただこれも上手い言い方になりえてるかはだいぶ不安があるので、一緒に考えてくれる人がいいな…と思い、書いておきました。

俚謡山脈のDJを聴いた頃から「民謡や音頭という音楽も、もっと他のポップミュージックと並列に聴かれたり、取り込まれたりしてもいいんじゃないか」という思いが強くなっていきました。
そういう思いから2015年のGORGE.INのオムニバスアルバム「Ondo Dimensions」で「惑星音頭」という曲を大真面目に作ったりもしたのですが、今挙げた音楽を聴いていると世界的にその傾向は強くなっているのではないか、と思ったりします。

俚謡山脈が主催する「TOKYO MINYO MASSIVE」というイベントは、世界的なその動きとも呼応するものだとも思いますし、日本国内での民謡の動きをより活発にする事になるだろうなとも思っています。

僕が告知してるのも何だかおかしいように思う方もいらっしゃるかもしれませんが、まぁ絶対行くわけですし、なんといいますか、書いてある事だけに限らず、書いていない事も込みで読んでいただけたらありがたいな、助かるなと思っています。

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