IEM PluginSuite (Ambisonics)
IEMというドイツの電子音楽音響研究所で作られた無料&オープンソースのプラグイン詰め合わせパック。
Ambisonicsは70年代にできた割にはまだまだ発展途上で、2ndから上のオーダーには対応するコーデックすらない状態なので野心家は是非使って一時代を築きましょう。
まず、3rd以上はReaperじゃないと動きません。んでもってそれをバイノーラルとしてステレオの同人音声に組み込むには
http://www.matthiaskronlachner.com/?p=2015
ここらへんのバイノーラルデコーダを使ったりしてください。
肝心の使った感想については、6700Kのマシンを使って44.1/24の7th order つまり64chを10トラックくらい再生しても思ったほど重くはないですが、Danteかなんかで再生用編集用と2台のマシンで処理したほうがうまくいきそうな感じです。たけぇけど。
んで、肝心の定位の再現性については「近接効果以外はほぼバイノーラル録音」くらいのクオリティです。やったね!
各プラグインの機能
StereoEncoder
ステレオ及びモノラルの信号を4-64chのAmbisonicに変換。
まずはこれを挿す的なやつ。
MultiEncoder
こいつはなかなか便利なマルチトラック用の上記のエンコーダ。リソースを節約できるしプロジェクトファイルもスッキリするし、各音の定位を確認しやすい。さらにはいくらクビをふっても動かない音源(ナレーションとかシステム)も作れる。
ProbeDecoder
モニタ用のデコーダ。モノラルにまとめて聞ける。マスターやプリマスターに挿しておいて普段はOFF、確認するときにONにするといいだろう。
DualDelay
ディレイ。やまびこ。2個の延滞を設定できる。当然ながらAmbisonics対応なので回転できる。地味に今までなかったすごい奴だ。
RoomEncoder
お部屋シミュレータ
上記でエンコードされた音源がどんな部屋のどんな位置かとか、壁際なのか真ん中なのかとか、音源と自分はどの程度離れているかとかのシミュレータ。反響の数を増やすとこいつは重い!
DirectivityShaper
指向性シェイパー。入力信号を設定した4つの帯域ごとに分割してそれぞれをパンしたり定位を固定したり。
バーチャル指向性マイクみたいなこともできるのでAmbisonic用マイクをショットガンとして使うこともできる。
FdnReverb
うん、これは…リバーブだな。
OmniCompressor
コンプレッサー。4-64ch一括でかかる。
1chごとにかかるわけではなく、リンクでかかる。
DirectionalCompressor
もっと細かいことができるコンプレッサー。
バンドの音源を作るとして、正面のボーカルの入力レベルで他のトラックを圧縮したいなど、いわゆるマスキングができる。かゆいところに手が届く。
EnergyVisualizer
定位アナライザ。480個の仮想スピーカーとOpenGLを使用してデコードされるため重いとあるがそこまで重くもない。たくさん表示すると重いから使わないときは切れよとある。
まとめ
まだまだバージョンが若いので、これからどんどん機能が追加されたりするのだろうけど、すでにこの完成度はいろいろアツい。
VR音響以外にもこういったもんは実際使える。内部処理が単なるバイノーラライザに比べて複雑なのでそれなりに重かったりめんどくさかったりするのだけど、こっちのほうがより細かく再現性を得られる可能性を大いに秘めているので、効果音をバイノーラルっぽくするなら導入を検討してみてはいかがかしら?
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