見出し画像

ノイズリダクションに起因するピロピロ音

映画MATRIXの緑色の文字が降ってくるシーンで聞こえるサイボーグ小鳥というか、川のせせらぎを人工的にしたみたいな効果音、それをチャープとかアーティファクトとかウォータートーンとか言うわけですが、ここではチャープで統一します。

ちょっとグラニュラーシンセで作ってみたものがこちら。

https://soundcloud.com/user-120350722/chirp

さて、こういった音がうっすら聞こえる音声作品があったりするのはどうしてだろうということなんですが、概ねノイズリダクションの掛け方であったり、コーデックのせいだったり、それらの使い方を間違ってたりするとこういうものが発生します。

①ノイズリダクションのせい

絵でも写真でも処理自体はにたかよったかで、FFT減算という処理で不要な信号を減らしています。

ノイズ成分をキャプチャしてノイズをさあ消すぞとしたさい

(なぜベーコンのインノケンティウスの絵なのかというと趣味です。)
こういう風にきれいに原画が再現されるように抜けることはで、どこか似た色の成分、上図だと灰色の水玉模様の灰色部分に似た色が欠けたり、かぶっている灰色を過剰に消してしまったおかげで、インノケンティウスが蜂の巣みたいになったりしてしまうと、上に言ったとおりのチャープとして聞こえます。人間のセリフだと主に吐息、吐息混じりのセリフなどがノイズと似たかよったかの分布になりやすく、チャープが発生しやすいです。

それを防ぐには、セリフ間のノイズが全く聞こえなくなるほど掛けてしまうよりも、セリフにかぶったノイズが聞こえなくなる程度のリダクションとスレッショルド(閾値、ここから下の入力のキャプチャされたノイズ信号を処理するとかそんな)を設定してやればいいでしょう。残ったセリフ間のノイズはゲートで消すとか手動で0dBを挿入するとかそういうふうにするとうまくいきます。

あと、チャープになりにくいノイズリダクションの設定なんかを弄ってやる必要があります。Audacityなんかだと周波数平滑化なんていうわかりにくい翻訳になっていますが、そこらへんを弄りましょう。RXならAdvanced Settingの項目にあります。(Elementsは無し)

ただ、ここのでかい数値の設定と小さい数値の設定は一長一短といった感じで、でかい数値の設定だとチャープは起こりにくいが音が小さくなっていく語尾などで分離がいまいち悪く小さい設定だとノイズがきれいに消えるがチャープが発生しやすいとかそんな感じです。

iZotope RXなんかだとさらに事細かにチャープになりにくい設定ができたり、ノイズリダクションの誤検出から音を保護したり、消えてしまった音を再び予測して合成する機能がありますが、綺麗にできる反面ちょっと重いです。
あとはWAVESのX-NOISEやZ-NOISEなんていう製品もあります。しかしこれら10年前は確かにいい製品だったんですが、流石に今となってはそういう部分をいじれない古い設計なのであんまり使うべきではないかも。


ノイズのキャプチャデータが間違っている編

つまり消すべきでない信号がノイズとしてノイズリダクションに覚えられている場合
にもよく発生します。
あと、アナログデジタル変換に起因するものやマイクプリアンプなどの変動が一切ない電気的ノイズしかない場合は、全体に同じ設定で掛けても問題ないのですが、コンピュータの使用電力やプロセッサの過熱に伴うファンのノイズなどは変動するので、Auditionでいうところの適応ノイズリダクション機能、RXで言うところのAdditive Modeを使ったり、ノイズが変化してるところで区切ってノイズの再キャプチャを行って範囲を指定して掛けるなどを行ったほうが良いでしょう。僕は多少面倒でも後者でやったほうがきれいにできると思います。

②コーデックのせい

音源のサイズダウンをする際に端折られた信号がチャープになります。
例を挙げるとchobitやYoutubeの携帯で録られた動画のバックグラウンドノイズがそうです。
chobitなんかは本来もっと良い音質になるはずの128kbpsのLC-AACコーデックのくせにチャープだらけになります。3gpかなにかに一旦エンコードしてそこから再エンコかけてるんじゃないかレベルにひどいです。
そしてこれについてはコーデック選びは慎重にな!というほかないです。
概ね端折られる音には法則性があるので、圧縮用のマスタリングを施せばある程度緩和できます。

どのコーデックを選ぶかは、MP3ならLAMEなりfraunhoferでいいかと。当然端折られるところが少なくなるようにビットレートは高く設定しておく必要があります。

まとめ

チャープだらけになった音声ファイルは補正が効くかって言うと、チャープを除去して原音を再現するプラグインはあるにはあるけど高いです。
あと、たしかにみるみる取れますが、必ずしも原音と全く同じに再現できるわけでもないです。

なので、なるべく音声を最初にノイズリダクションする時点でチャープがでないように処理することが大事であると言えます。
ありがたいことにiZotope RXは日本語ヘルプファイルが6.1から採用されたので、わかんないことがあったらF1キーを押すと良いでしょう。Auditionでも他のDAWでもわかんないことがあったらF1を押すとだいたいヘルプがぴょこっと出るものなので押しまくってあげてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?