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シンガーソングライター列伝1 島崎智子さん

ピアノ弾き語りの島崎智子さんは1976年生まれ、大阪出身。現在は東京を拠点に全国でライブ活動をしている。2001年から曲作りを始め、2005年にデビューとのことなので、長いキャリアを持っているけど、僕が初めて彼女を知ったのは2017年の秋に大久保のひかりのうまという地下の小さな店で、別のシンガーソングライターのレコ発ライブのゲストとして演奏したのを観たときだ。
そのしばらく後、また別のシンガーソングライターのライブを観に行ったら、島崎智子さんがその対バンで演奏して、その時には島崎智子さんがどんなアーテイストなのか知らずに少し言葉を交わした。
それからYouTubeで彼女の曲を聴くようになり、だんだん、彼女の真価を知って、その大きさに打ちのめされる経験をした。最初にはまったのは「バカヤロー」という歌。
ブルージーなバラッドがなんとも粋でかっこよく、なんだかダメな、女心をわかってくれない男への愛を歌いあげて見事だと思った。
成就しない愛を歌うという点では中島みゆきさんを思い起こす。中島みゆきさんは離れてゆく男をどうしようもない絶望で見送って、冷えびえとしたまなざしであきらめる姿を描くけれど、島崎智子さんは、別れた相手に対する愛を失わない。
別れた後の相手の幸せを願い続けているように思える。自分だって悲しいのに相手を気遣い続ける。そこがとてつもなく優しい。優しいが故に自分の奥底に傷を抱えるのではないか。典型的には素晴しいMVと共に聞かせてくれる「元気でいて」という歌。
そして「穴ぼこ」という歌。
相手を傷つけないように遠く離れる。誰も知らない東京で泣きたいと歌う。
その優しさが胸に沁みる。

「気付いてしまった 私には穴がある 真っ黒で大きな 穴が空いている 本気で愛せば あなたも 周りも 暗闇に消えていく その様に 疲れ果てた」(穴ぼこ ©島崎智子)

なんて、こんな詩はなかなか書けるもんじゃないと思う。

現在進行形で活発に歩み続ける島崎智子さん。
これからも彼女の歌とともに彼女の生き方に熱く注目してゆきたいと思う。


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