「なんとなくやってみる」を推す話

三日も予定のない連休…何をする?
なんだか北に行ってみたい。
そういう「なんとなくやってみる」を実行したことがある。

24歳の夏季休暇、0泊3日ドライブ
国道7号線をなんとなく北上して、走りながら竜飛岬に行こうと決め、真夜中に人っ子一人いない観光地を歩く。
気が向くまま反対側の大間岬を目指して、なんだか真夜中の運転は怖いけど解放感もあるなぁ…と思いながらずっと運転し続けた。
着いたのは漁船が出港するかしないかの早朝。流星群の名残を見ながら朝日を待つ。
なんにもならない時間。
ただぼんやりと夜の終わりを見ていた。
お店が開くのを待たずに下北半島をぐるりと巡り、南下してこのまま東北一周してみるか、などと疲れ始めた体を無視して運転。
ほぼ気絶な仮眠休憩を要所で挟みつつ、中尊寺を普通に観光したり、真夜中の松島は暗くてなんにも見れなかったり、適当な日帰り温泉で汗を流したり、SAで長めの仮眠を取ったり、湖を眺めたり、近くの洋館を見学したり、栄螺堂を歩いてみたり。
約48時間の走行に見合わない内容の観光ドライブ。
帰宅後は、沈むように眠った。

振り返ればろくに観光もせず、観光地に着いても大半は真夜中で営業外。
現地の美味しいものを食べることも殆どなく、だいたいコンビニのお世話になる始末。
ひたすら体力と時間を消耗して得たものは少々の写真と身内に対する笑い話のタネ。
このときの「なんとなく」は大失敗の、一生モノの「思い出」になった。

タイトルを回収しましょう。
計画性も何もない思い付きを実行した体験談。なんにも価値がない…というわけでもないようです。
少なくとも語れるエピソードがあるという財産になる。
0泊3日ドライブの話、身内や同僚に休日にしたことを普通に話したら、わりと酷い内容だからかリアクションがそれなりに大きく…以降、その話を又聞きした人に質問を受けて話したり、「そういえばこんなことをしたことがある」などと自ら話したり、私にとって持ちネタとなったのです。
ちょっと情けないですけどね。

体験談ができたからできた体験談、というややこしい言い方になりますが。
なんにも話さないよりどんな内容でも話すことがあると大抵の人は親しみを覚えてくれるようですよ。
私の第一印象はだいたい「大人しく物静かで近寄り難い」なんですが、0泊3日ドライブを語るだけでその印象をぶち壊して「私らしさ」をなんとなく掴んで貰える…気がしています。
普段ごろごろとスマホを弄ってTwitterを見たりゲームしたりWeb小説を読んでいるのも私です。第一印象にも概ね重なります。
でもフットワークが軽いと表現される突飛な行動をたまにするのも私の偽りない姿。それが第一印象をぶち壊すからなのか、呆れつつも親しみの感情を持たれることが多いです。
旅先では面倒になって交通機関使わずに歩いてしまうエピソードも同じような受け入れ方をされますね。

そういうわけで。
「なんとなくやってみる」をした結果を自分なりに語るだけで多少は得になるんだと思います。
それが成功した話なら尚更、失敗談でもエピソードはエピソード。あと今後のための反省が増えるのも、地味に良い。
0泊3日ドライブをしてみてもう少し計画性を持つべきだと体で理解したし、通り過ぎただけっていう後悔でいつか旅をしたい場所が増えた。朝に向かって走る心地良さも知った。
私ってドライブ好きだったんだな、って気付いた。
まあ、失敗したけど良い思い出だ、ということです。

今、あなたに時間とか体力とかお金とか、何かが余っていて「なんとなくやってみたい」気持ちがあるなら、まず実行してみたらいいんじゃないかなぁ…
何かひとつ、もしかしたらもっと多く、あなたに財産が増えるかもしれないので。
なんにもしない、なんにも話すことがない…というよりは良いと思うので。
私は、「なんとなくやってみる」を推します。

フットワークちょっと軽くしようぜ!
そんな話でした。