片道6時間のたい焼き(馴れ初め)

夏の間にオンラインゲームで仲良くなった友人のタレコミ(笑)に興味を惹かれ、遠方のたい焼きを食べに行ったことがある。
話を聞いて、適当な宿を予約できたので軽く観光計画も立てた。
予定では土日を使った一泊二日の旅。友人には次の旅先は秘密、と伝えていた。

出発前日の金曜日。
仕事を終えて帰宅して、なんだか気分が明日の朝まで待てなかったというか…唐突に日の出を見たくなった。
シャワーを浴びて出発準備を終えて22時。友人にも日の出を見に行くと伝えて出発。
忘れられない小旅行の始まりは、いつも通りの気まぐれで早まったのだ。

Googleの地図を頼りつつ迷いつつあからさまな峠道に何故か突入して熊が出たら死ぬ…とビビりつつ…
どうにか第一目的地の岬に着いたのは、日の出前。4時頃だったと思う。
観光シーズンではないので物好きなもう一人の観光客を見かけるも、殆ど一人きりで贅沢な時間を過ごした。
波が岩の間を走る光景はなんだか面白い、と動画を取ったり。ぼんやり日が昇り切るまで駐車場で休憩したり。ぶっちゃけ眠くなってた。

本来の目的地、たい焼き屋さんのある町には、道の駅で仮眠を挟んでも開店時刻より早く着いた。
そこから迷いに迷った。なんせ地図にある店の位置は現在更地だったのだ…
困り果ててタレコミをした友人に連絡を取る。
その時点でようやく、「合流できたらぼっち旅ではなくなるなー」という期待を上回る事実を知る。
友人、たい焼き屋さんに徒歩5分で行ける。
近所かよ!?!?

たい焼き屋さんには無事にオンラインゲーム上のメッセージのやり取りで誘導され、おすすめの味を堪能できた。
うまー(*´ч`*)
近所にあったら通いたいんですけど…多少高くても通いたいんですけど…また行きたいー!
と、味わいつつメッセージのやり取りをずーっと続けていた。
誘導されたものの友人に遭遇はせず、私はそのまま次の観光地にふら〜っとドライブし始めたから。

ホテルのチェックインを済ませたあと、今夜の食事と酒を求めておすすめの居酒屋を聞き出し、旅の道連れもお願いした。
どうせなら1回会って飲んでみたいと思ったのだ。あくまでも友人として。
だいぶ緊張もしていた。今どき、ゲーム上のメッセージのやり取りだけでオフ会に持ち込むとは…
リアルタイムで連絡取るには不便な手段で果たして合流できるのだろうか、と不安に思いながら繁華街に向かった。

はい。
そういう経緯で出会って、最初の一杯飲んだ笑顔に撃ち抜かれて、なんだかもうちょい話したいなーという居心地のよい雰囲気に惹かれた彼氏との馴れ初めでした。
それまで毎日メッセージのやり取りしてたからか、お酒飲んでからは普通にいつも通り会話が弾んで楽しくて。
2軒目探して街を歩いてみるなんだかこそばゆい雰囲気とか、思い返すと若干恥ずかしい。
閉店までだらだら飲んで、普通に解散したんですけどね。
目的はたい焼きだったのに振り返ると一番の思い出は彼氏とのオフ飲みですよ。乙女か。
一目惚れかと言われると違うんだよなぁ…第一印象は「あー女慣れまるでしてないんだなー」という微笑ましい気持ちだったもの。

帰宅後、飲んでた話の流れでペンション検索してみたらめっちゃ泊まりたくなる宿見つけてしまい、道連れ候補がいないリアル交友範囲の狭さに絶望し、たぶん断られはしないけど2回目に会うのが2人旅になるのはどうなの…いや今の時代男女の友人はある…あるから…!と旅行計画始動直後の「俺そんなにがっついてたかなーうわあああっていう気分」という動揺にこちらも激しく動揺した遊園地旅行はまた別の話。

とまあ、こういった馴れ初めを語るとだいたい私のフットワークの軽さに焦点が。まあそうですよね!
目的ひとつで遠出を決行してしまうので。
そのときはたい焼きが目的で、オフ会は偶然と気分が奇跡を呼んだ結果…今や鉄板ネタになりつつある馴れ初め…内輪ネタとしては充分ですよね?ね?

こうして振り返る度に私はこの人に「もうちょっと一緒にいたいなー」「もっと一緒にいたいなー」「触れ合いの口実欲しいわー」「離れたくないぃぃ…」とブレない欲求を持ち続けてるんだなぁ…と、しみじみ。
あ、はい、そういう馴れ初めと惚気でした。