eBookJapanのマンガデータをもう少し分析してみた

前回、コミックの縦の長さでデータのランクづけを行った記事を作りましたが、今回はさらに踏み込んで「1画素あたりのデータレート」まで言及してみました。

私の所有するOneDrive上のExcelデータです。公開状態にしてあり今後も随時追加するので時々見に来てあげてください。ダウンロードは可能なようなので、その時点でのデータはご自由にダウンロードしてください。

http://1drv.ms/1IzNVrV

恐らくページ①縦の長さ②1画素あたりのデータレートの優先順でソートされていると思います。(最初から②でソートされてるかもしれません)

1画素あたりの情報量

1画素あたりの情報量とは、1画素を表現するのにどの程度の情報量を消費しているかを示すものです。一般的に無圧縮のフルカラー画像というものは3~4バイト(赤緑青または赤緑青透過度)の情報量を必要としますが、画像サイズの拡大に伴い、少ない情報量に画像を圧縮し復元する画像圧縮アルゴリズムというものが世に出ています。JPEGやPNG、GIFなどがそうです。それらの技術はその1画素あたりの情報量を「同じような色の塊がどの位置にどのくらいあるか」などの基準で無圧縮の状態より少ない情報量に圧縮します。つまり、1画素あたりの情報量が少ないものほどそのパターンに適合するワンパターンな画素が多いことになり、その代表的な例がベタになります。つまりベタが多いほど圧縮効率が高くなり1画素あたりの情報量が少なくなります。逆にパターンに当てはめにくいトーンやスキャンの結果発生したノイズ等には圧縮が効きにくく1画素あたりの情報量は多くなる傾向にあります。数値化するとこの特徴の違いが目に見えるだろうと思い、この値を計算しています。単位はバイトだと思いますが、通常バイトは実数にはならないので単なる数値として参考にしてください(大小関係は間違っていないはずです…)

IEのExcelOnlne上でならN列(1画素あたりの情報量)を開始点にA列まで選択して降順で並び替えてみてください。するとまた違った結果が見られると思います。それは必ずしもデータが大きいほど1画素の情報が高いとは限らないことです。

ここでいくつかのコンテンツのデータを見てその違いを見てみましょう。

メイドインアビスはページあたりの情報量が900KBで1画素あたりの情報量が0.53と現状トップです。元々トーンの少ないコンテンツですが、eBookJapan版のものは紙のスキャンベースなのかスキャンノイズのようなものが乗っています。そのため圧縮効率があまり良くなかったようです。通常ノイズは邪魔なものですが、そのノイズそのものがきわめて細かいこともあり紙のような質感を出すトーンとして働いています。

放課後のプレアデスはページあたりの情報量が1.5MBで1画素あたりの情報量が0.5程度となっています。一迅社共通の2Kピクセルのコンテンツの中で0.5と圧縮率が最も低い部類に入ります。トーンの多いマンガでは「トーンがつぶれずに再現されている」可能性が非常に高いコンテンツであることを示せる程度の数値です。現状電子書籍のマンガでは0.3前後のコンテンツが多いです。

同じく2Kコンテンツの政宗くんのリベンジはそこから1段階下がって1MBで0.36となります。画素数は同じなので放課後のプレアデスより圧縮率が高いことが示されています。言い換えれば、トーンが細かくない、白が多い、ベタが多いなどの理由で数値が下がっている可能性があります。

同じく2Kコンテンツの未確認で進行形は927KBで0.32とさらにもう少し下になりますが、実際に見たトーンそのものの印象は放課後のプレアデスと同等のように感じられると思います。(いや政宗くんと同レベルなんじゃないかなという意見は認めます)4コマがマンガよりもこれらの数値が低めなのは、差別してるわけではなく元々ベタや余白が多いことが理由のように思われます。

4コマの中でも特に数値が高かったのがジャイブのヘタレ姉。600KBで0.34程度です。特徴的なのは4コマの割にわかりやすいくらいトーンが使われていること。必ずしも真実ではないと思いますが傾向としてトーンが使われ隣り合う点が同じ色になっていないこと(ベタでないこと)で圧縮効率が低くなるという点を説明するには良い資料なのではないかと思います。他の一般的な4コマは0.3以下になりやすいです。

しかし1画素あたりの情報量、低い分には(読書アプリの拡大効果で)ぼやけた画像になるため、致命的になることはないのですが、高ければ高いほど良いわけではありません。
高いほど圧縮効率が低くなりやすいビットマップパターンになるということですから、その時画素数が少ないとどうなるかというと、極論ドット絵になるということです。ページの縦横サイズが小さい割に容量が大きいのは問題を抱えている場合もあるのでセレクトは慎重に行いたいところです。

そんなことを気にしながらいろんな作品を実際に見比べてみてその違いを実感するのも面白いかもしれません。

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