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円空展

2024/2/26 あべのハルカスで円空展を見る。

顔の造形には時間を割いて作っている。
首から下、衣はある程度のテンプレートが出来上がっている。 ただし、顔もある程度のテンプレートが存在している。

特徴としては眉毛を掘って描くこと。
造形的には真逆のことをしている。
本来は出っ張っているものを、窪ませている。
顔のパターンも大きく2つあって、目をつぶっている穏やかな表情のものはあっさりとした造形。
目がダイヤのように出っ張っているものは、口回りの造形もぼてっとしている。

丸太を1/4にして木表が背中になっている。
切り口の三角形がテンプレート化した拝む手と衣になるようになっている。
顔が木の内側に向くようになっているのは、何か意味があるのだろうか。
外ではなく内に目を向けよ。というメッセージか。
それとも、何千体と彫ったがゆえに行きついた簡略化なだけだろうか。

顔の造形に時間をかけ、丸みを帯びさせるのは彫刻におけるフォーカスなのか。
顔に視点を合わせると衣や体は、あれくらいでちょうどいいのかもしれない。

また、個人的に感じたのは木彫における時間の重要性。
400年近く前の木彫、しかも表面を何も処理していないものに現れる風化の質感は、木の種類によるものかいくつかパターンがあった。
一つは岩のように硬質な印象の質感。
もう一つは流木がさらに風化したような枯れた質感。
この時間の作用だけは自分の作品においては、どう頑張っても確認ができないところである。

円空の宗派についてはどうもはっきりしていないのかネットで調べると、あれやこれやと色んな宗派が出てくる。
ただ、円空の風化の受け入れ方や、材木の使い方を見ると、禅宗の影響があるようにも思える。
とはいえ、禅宗も仏教の一つであるから、他の宗派でそうなったとしても不思議ではない。

なにせ良い彫刻を見たと思う。
個人的には千面菩薩像と、柿本人麻呂座像がよかった。
千面菩薩像は自分のお気に入りを見つける楽しみがある。
私は背の曲がったのが好きだった。
柿本人麻呂座像は、右肩から右腕にかけての着物の造形がすさまじかった。

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