インストラクションデザインの応用領域
インストラクションデザインは教え手と学び手がいればすべての場面で応用することができます。それでは技能の分類の全体像についてみてみよう。例えば「パソコンで議事録を取る仕事」を課題と考えたとき、以下のように何種類もの技能が必要とされます。
①タイピングができる。
②ワードなどの文書管理ができる。
③人の発言を的確に要約できる。
④発言を公平に議事録にまとめることができる。
これらの技能は大きく分けると、技術・知識面(①.②.③)と態度面(④)に分けることができ、それぞれ異なるアプローチが必要です。そこですべてにアプローチが可能なブルームの教育目標の分類学について紹介します。
Ⅰ認知的領域(頭=知識)
Ⅱ情意的領域(心=態度)
Ⅰは「学び方を学ぶ」ための技能が主です。これは明示的に教えられる機会が非常に少ないです。例をあげるなら、学生時代行っていた勉強のやり方が該当します。人それぞれ、自分に合ったやり方で工夫しながら勉強するため、個人で身に着けていくことが多いのです。しかしこうして身に着けた勉強法は勉強以外の場面で、必ずしも効率の良いやり方ではないこともあります。そこで教え手が学び手により良い学び方を教えるのが大切になるのです。
Ⅱは自分がどのように行動するかを選択したり決断したりする技能を指します。例をあげると社内の床にあるごみを拾うという行動が該当します。ゴミを拾うという行為は誰でもできる作業ですが、それを実行する確率はその人のごみに対する態度に依存します。部下に「落ちているごみを拾ってください」と命令するのは容易です。ここでは、ゴミを拾う目的は達成していますが、それでは教えたということにはなりません。ゴミを拾う態度が獲得されたなら何も言わなくても自発的にごみを拾う行為が行われなければなりません。よって命令して従わせることと、ゴミを拾う態度を獲得させることは全く別であるということです。
まとめ
「教える」という行為は学び手が自発的に行動できるようになって初めて「教えた」ということが言える。また学び手に「効率の良い学び方」を教えることは教え手によって重要であり、学び手の理解度を向上させることができるので有効であると考えられます。もちろん自分で考えないといけない、という意見もありますが、ルーティンワークに至っては、学び手と教え手がお互いに苦労しないためにも学び方を伝えるとよいと感じました。特に製造業では非常に有効な考え方だと思います。
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