教え方の教科書①

インストラクショナルデザイン

インストラクショナルとは人に何かを教えるために必要な技術を扱う学問であり、それぞれの環境に合った教育を行うことが目的である。インストラクショナルデザインのモデルと理論を利用することで、より良い教え方ができればいいなと思い、記事にします。

インストラクショナルデザインの基本前提が3つあります。

1,学習は多くの変数に作用される。
2.変数があっても効果的に学習を支援できる方法はある。
3.学習支援の方法は常に改善できる。

前提1.
私たちが学ぶとき、どういう状況であったか振り返ってみましょう。教え手の教え方が上手だったか、内容に関心があり意欲的に取り組めたか、単に気分が乗らなかったか、等様々な変数があります。しかしこれらの変数が学習にどう作用しているのかは、正確に特定することができません。今回4つの学習成果を紹介します。教育外要因(もともと持っている学習能力)40%、教育関係要因(教え手と学び手の人間関係)30%、プラセボ要因(外からの期待感)15%、モデルや技法要因(教え方の効果)15%です。こう見ると意図的な教育によって学び手が学ぶのは少ないのかもしれませんね。以上から学習効果は教え方以外の要因が85%であるということです。教え方が15%の重みしかないなら意味がないのではと思う人もいるのではないでしょうか。しかしそれは大きな間違いなんです。その理由は、「教えること」と「学ぶこと」は教え手と学び手の両者によってつくられる全体のシステムであるからです。そのため全体のシステムの中で教え手の要因が15%であったとしても非常に重要な要因であるということです。この15%が指導者の努力できる唯一の要因であります。この考え方はシステムズアプローチと呼ばれ、物事の動きを一つのシステムとしてみる必要があると考えられております。

前提2.
達成しようとする学習成果が特定できればそれに適したインストラクションが存在するということです。インストラクションデザインはゴールを設定しなければスタートもできません。学習を支援できる方法としての考え方は、意図的教育観と成功的教育観です。意図的教育観は教える人が努力して働きかければ「教えた」ことになります。つまり教えたいという意図のもと教えていれば、成果が出なくても「教えた」ということになります。成功的教育観は教えるという意図があっても、学習者がゴールに到達しなければ「教えた」にはなりません。意図的教育観を取れば教え手が精一杯「教えた」と思えば教える側の責任を果たしたと満足することができ、仮に学び手の努力が足りないといって責任転嫁することも可能です。しかし、成功的教育観念を取れば精一杯教えるだけで満足することは許されません。ゴールである学習目標が達成されたかに関心を持ち、それに対して責任を持つ態度が必要になります。

前提3.
学習支援の方法は一般的にADDIEモデルで常に改善し続ける必要があります。Analyze:分析、Design:デザイン、Develop:開発、Implement:実施、Evaluate:評価、の順に改善を繰り返す。ワンサイクルでは終わらずうまくいくまで前のステップに戻り改善する。ADDIEモデルはインストラクションを改善するための着実なアプローチですので参考にしてみてください。


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