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サークルチェンジ 代表・高野信人インタビュー「出店者とお客様が共に楽しみ、学べるマルシェへ」

高野 信人さん

株式会社サークルチェンジ 代表取締役社長。
前職では、カフェやセレクトショップ型マルシェの立ち上げに従事。全国の生産者と出会う中で食の面白さに目覚め、交通会館マルシェの運営を担う企業に転職した。2023年4月に、サークルチェンジ代表取締役社長に就任。現在は、銀座・有楽町にある東京交通会館をはじめ、日本橋、大手町の3拠点でマルシェを運営している。

出店者とお客様が一体となって、マルシェを盛り上げたい

──高野さんが、マルシェに興味を持ったきっかけを教えてください。

セレクトショップ型マルシェを立ち上げ、全国の生産者から集めたおいしいものを販売する中で「食の面白さ」に目覚めたんです。ほとんどの方がおいしいものに興味を示してくれますし、実際に召し上がっていただくと、必ず笑顔になる。それが魅力的でした。

全国の生産者と接点を持つ中で、地方の地域活性化に貢献できる仕事に携わりたいと思うようになったんです。
ただ、前職では商品を仕入れることしかできず、どうしようかと考えていました。その時に偶然、交通会館マルシェの存在を知ったんです。

マルシェの出店者と訪れたお客様が一体となって楽しみながら、こだわりの商品や地域についてPRしている姿を見て面白そうだと思い、交通会館マルシェの運営に携わることを決めました。

──サークルチェンジが展開するマルシェのコンセプトを教えてください。

全てのマルシェに共通して「やさしさとふれあうマルシェ〜ヒトとモノ、ヒトとヒトが出逢い、心から豊かになれるコミュニティづくり〜」というコンセプトを掲げています。

マルシェに訪れたお客様には、初めて出会うものにたくさん触れてほしいですし、それらがどのような想いで、どう作られているのか知って、学んでほしいんです。そして、知れば知るほど、どんどん好奇心が湧いて、面白がってもらいたい。

お客様の気づきや発見の声がマルシェの運営側に届くことで、私たちもお客様がもっと喜んでくれるようにするにはどうしたらいいか考えるようになります。そうやって双方向でマルシェを育て上げ、一緒に楽しめる場を目指しています。

出店者さんと積極的にコミュニケーションを取る高野さん

──マルシェの運営会社といえば、販売スペースの貸し出しがメイン業務に思われがちです。サークルチェンジでは、PRや販売の支援も担っているそうですね。

はい。マルシェでのPRや販売のコツが学べるマルシェ販売スキルアップ講座を、出店者向けに開催しています。出店前に学んでいただくことで、実践しながら感覚を掴み、自信を持ってお客様とコミュニケーションを取れるようになってほしいと願っています。

せっかく時間とお金をかけて地方から東京のマルシェに出店したのに、全然売れなかったら悲しいですよね。私自身も、がっかりした出店者の姿を見るのが嫌なんです。だからこそ、私たちのマルシェで商品を販売するのであれば、何か一つでも学べるものを持ち帰ってほしいんです。

マルシェ販売スキルアップ講座では、商品の陳列方法やPOPの書き方、お客様への声がけの仕方など、これまで私たちが培ってきたノウハウをお伝えしています。実践しながら、上手くいったところ、行かなかったところを分析し、他のマルシェに出店した際にも活用していってほしいですね。

交通会館マルシェは、綺麗だけれどもどこか温かみのある陳列をしているお店が多い

みんなが笑顔になれるマルシェを目指して

──「交通会館マルシェ」の魅力を教えてください。

「ただいま!」とお家に帰ってきたかのような、懐かしさを感じられることで
すね。東京交通会館には、複数のアンテナショップが集まっているので、お客様の出身地でしか見かけなかった商品に再び出会うこともあります。そういった懐かしさを、マルシェでも感じてもらいたい。交通会館マルシェでは「ただいマルシェ」というコンセプトを掲げて、多くの方にとってのサードプレイスになるような、暖かくてほっとする場所を目指しています。

実際に、銀座や有楽町付近にお住まいの方はもちろん、千葉や神奈川、それよりも遠くからいらっしゃる方もいます。立地としても、みんなが集いやすい場所にあるかもしれません。

──お客様の記憶に残るマルシェを作り上げる上で、工夫されていることはありますか?

出店者によくお伝えしているのが、「何屋」であるかを明確にすることですね。約30店舗が一度に出店するので、フラッと訪れたお客様の印象に残るための工夫が必要です。

例えば、果物や乾物、雑貨など信州にまつわるいろいろな商品を取り扱っているお店であれば、あえて調味料だけを取り扱ったり、りんごだけを販売する専門店にしたりする。そうすることで「おじさんと話ながら味見した、あの調味料がおいしかったな」と、お店の名前は憶えていなくても記憶に残りやすくなるんです。

──これからマルシェで挑戦していきたいことを教えてください。

マルシェの運営で培ってきたノウハウを体系化し、誰でも簡単にマルシェを開催できるシステムを開発していきたいです。管理画面をポチッと操作するだけで、マルシェの出店者を募集・管理したり、どのスペースがどのくらいの値段で借りられるのかが一目でわかったりできるんです。

システム内で支払いのやりとりもできれば、誰もがマルシェを開きたいと思った時に、開けるようになります。現在のサークルチェンジは、マルシェの運営会社に過ぎませんが、ゆくゆくはプラットフォーマーを目指していきたいです。

──最後に、高野さんが描く理想のマルシェを教えてください。

出店者とお客様が共に笑顔になれるようなマルシェですね。単に商品を販売・購入するための場になるのではなく、お客様のファンを作りたい出店者や、こだわりある商品を手掛ける出店者とお話したいと思えるお客様が集まっていただけると嬉しいですね。

みんなが笑顔になることで、結果的に売上もついてくる。

活気のある体験型マルシェを目指したいです。