もうダメだと思ったときの逆転劇
暑い夏の日の夜勤明け、バスに乗って帰ってるところだった。
その日はめちゃくちゃ眠かったのでいちばん後ろの席で爆睡してしまった。
目を覚ますと全然知らない場所に停車してた。
(え...ここどこ?)
エンジンは止まっていて車内には誰一人いなかった。
外を見るとバスがたくさんあった。
どうやら車庫っぽい。
ドアは鍵がかかって開かない。
閉じ込められてしまった。
その時は特に焦ってたわけでもなく(もうひと眠りしようかなぁ)と呑気に考えてた。
でもしばらくすると、冷房の切れた車内は蒸し風呂みたいになってしまった。
(ね、寝てる場合じゃない!このままでは死んでしまう!)と思った。
急に焦りだしてちょっとしたパニックみたいになってしまった。
とりあえず上半身裸になった。
最悪ガラスを割って出なきゃと思ったが(いや、それはさすがにダメだよな...)と思い踏みとどまった。
運転席に座ってハンドルを握ると少し気分が良くなった。
しばらくすると遠くに人影が見えた。
Tシャツを右手に持ってバサバサ振り回してココにいますよアピールをしたら気付いてくれた。
そんで無事に脱出できた。
バス会社の人に最寄り駅まで送ってもらう事になった。
車の中で色々と話を聞いた。
どうやら同じような事が過去に何回もあったらしい。
おじさんはニコニコしながら喋ってたが
(それってまずいんじゃないか...?)と思った。
無事に駅に着いた。
車を降りて外に出た瞬間の清々しさがすごかった。
九死に一生を得た気持ちだったので(今日はもう無敵です!)って感じだった。
無敵すぎたので何もしなくても楽しい気持ち。
ラーメンがいつもよりおいしい。
次の日、バイト先の人にこの話をしたのだけど、
「へぇ、大変だったすねぇ」と薄いリアクションだった。
(あ、この話は面白くないんだなぁ)と思った。
おしまい
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