100日後に死ぬワニを読んで、やっと消化しかかってた友人の死を反芻して辛くなった話


生き物はわりと簡単に死ぬ。それも予告なしに。
オタクなので人(キャラ)の死に様なんて見慣れてるものだが、実際知り合いの死に直面したことなんて顔も覚えていない曽祖母のお葬式に幼稚園の頃行ったくらいだった。

5年ほど前の冬。正月休みで上京してた友人が広島に戻ってきていた。明るくて趣味があう、気を使わなくていい数少ない友人だ。
高校時代の部活の友人で、別の学校の生徒だった。毎日一緒にいたわけでもないが、彼女は当時あまり友人のいなかったわたしにとって珍しい気心許せる存在だった。
久しぶりに会えるのが嬉しくて仕方なくて、1日しか会えないから予定を詰めに詰めた。
カラオケとプリクラとご飯と、学生が考えうる限りの贅沢フルコースを組んで遊び倒した。

家は幸い近かったのでわたしが最寄りで降りて、彼女がその数駅先で降りる別れとなった。
またね、次はここに行こうね
次会えるのはいつかな、夏?
次はカラオケでこれ歌えるようになっとこうね
ちゃんと約束した。
いつとはきちんと決めなかったけれど、また会うことを約束していた。

別の友人から電話がかかってきた。LINEだったかもしれない。
落ち着いて聞いてね、まで言われたのは覚えてる。
そのあとの言葉はあまり思い出せない。
病院に運ばれたとかじゃなくて亡くなってから連絡が来たのかもしれない。
わけがわからなくて、嘘だと思ったけどニュースを見たら自転車と車の衝突事故がわりと近所で起きていて、そこには知ってる名前が載っていて、とにかくお通夜に向かうってなって
高校を卒業したからといって買ってもらった喪服をこんなにすぐ着ることになるなんて思ってなかった。着たくなかった。

車でお母さんに送ってもらった。
着いたら電話をくれた友人がいて、喪服着てお香典まで持ってるのに嘘だよね?とか聞いていた気がする。自分の行動だけどこのあたりの記憶がふわっとしている。
泣いていたと思うけど、悲しくてというよりパニックで泣いていたと思う。
お棺の顔を見て、さっきまで笑ってた顔が寝てて、いやほんとにねてるようにしか見えなくて、揺り起こしたら起きそうなくらいで
ずっとわけがわからなかった。
彼女のお父さんお母さんにも会ったけど、異様なくらい落ち着いてた。と思う。正直このへんは覚えてない。
彼女のお父さんとお母さんからお手紙とお茶の葉をいただいた。本当に申し訳ないけどお茶なんて飲む気が起こらなかった。
車の中ではもう泣いてなかった。なにが起きたかよくわからなかった。家に着いてもまるで実感がなかった。
なにもかも突然すぎた。覚悟も準備もさせてくれなかった。

100日後に死ぬワニを読んで、彼女のことを思い出した。
生き物は簡単に死んでしまう。100日後なんて言わず、明日や今夜かもしれない。


お通夜のあと、彼女にLINEを一度だけ送った。
既読は今でもつかない。

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