新潟旅行(その4、新潟歴史博物館とか)

(前回の記事から随分間が空いてしまったけれど、新潟旅行記の更新。)

 新潟駅前のバス停で降りて観光案内所に入る。往復の新幹線チケットを旅行会社のパックで頼んでいたところ、当地の一部飲食店で使用できるクーポンが付いており、その引換えができる場所がこの観光案内所だった。それから、スマートフォンの電池の残りが危うくなってきていたため、新潟駅構内のChargeSPOTで充電器を借りて充電をしながら新潟島に向けて歩く。新潟島というのは、萬代橋を越えた先の信濃川左岸、日本海と関屋分水に囲まれた地域のことだ。その2で書いた白山公園などもこの新潟島にあるが、今度目指すのは一層河口に近い辺り。かつて新潟税関があったという場所だ。新潟市歴史博物館、旧第四銀行住吉町支店、旧新潟税関庁舎がある。

 信濃川左岸は遊歩道が整備されていて、川向う、河口に係留された船や港につきもののクレーンなどを眺めやりながら目的地に向けて歩いていく。雨上がりの午後、湿気を含んだ空気が、強くなった日差しに暖められて膨らみ、身体にまとわりついていやに蒸し暑く、歩くだけでかなり汗ばむ。

河口付近の船と信濃川右岸
向こう岸のクレーン
遊歩道から望む萬代橋



 駅を出てから30分ほど歩いたころ、新潟市歴史博物館に着く。この本館は、新潟市の二代目市庁舎の外観をモチーフに建造されたそうで、なるほど確かに重厚な佇まいである。館内に入ると、カウンターに着く前に受付の方から声をかけられる。やけに声が大きくて、二階まで吹き抜けとなっている館内に響くからちょっぴり恥ずかしい思いをする。大人用の入場券を買って二階に上がって展示を見る。常設展は新潟市がこれまで歩んできた歴史を説明したもので、展示物も充実していて興味深い。港町としての新潟と農村としての新潟。どちらの面からも、新潟はずっと水とは切っても切り離せない関係にあったのだなと思う。シアターで20分ほどの動画が上映されていてそれを観る。暗いシアター内は空調が心地よく、ゆったりとしたナレーションにも導かれてうつらうつらとしてくる。結局ほとんど微睡んでいてどんな内容だったかあまり覚えていない。

新潟市歴史博物館

 新潟市歴史博物館の向かいには旧第四銀行住吉町支店の建物がある。もともとは別の場所にあったものをこちらに移築してきたとのこと。昭和初期の銀行建築で、当時流行した新古典主義的な意匠。館内を観ることもできる。二階まで吹き抜けとなっている部分があり、少し前まではレストランとして利用されていたようだが、現在は空きテナントとなっており、イベントのために貸し出すことができるとある。こういうところで宴会をやったり、本のフェスティバルをやったりすると楽しいだろうなと想像する。宴も酣、ジョッキ片手に肩を組み、寮歌を歌う大学生を幻視した。

旧第四銀行住吉町支店の外観
最近までレストランとして使われていたホール

 同じ園内に旧新潟税関庁舎がある。新潟港は、修好通商条約を結んだ際に、江戸幕府が開港を約した五つの港(函館、新潟、横浜、神戸及び長崎)のうちのひとつ。これは、そのうち唯一現存する庁舎らしい。こちらも擬洋風建築。白いなまこ壁と赤い瓦で葺いた屋根のコントラストが美しい。当時の税関は、輸出入物品の監督、関税の徴収のほか、外交事務も担っており、正しく日本と外国との玄関口だった。新潟の開港は明治二年のことで、当時は「新潟運上所」という名称だったらしい。その後、明治五年に全国の運上所がその呼称を「税関」と改める際、ここ新潟も「新潟税関」と改称した。その2で触れた白山公園が都市公園と定められ、都市公園制度のはじまりとなった太政官布告が明治六年で、税関制度の発足がその前年の明治五年(ちなみに、鉄道、ガスといった産業や学制も明治五年に歩みを開始しており、日本の近代化の礎が相次いで整えられた年である。)。日本海側で最大の都市であった新潟市の歴史は、日本の近代の歴史でもある。

白と赤の対比が美しい旧新潟税関庁舎

(続く)

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