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白紙1号でフックナイフを作る
木製スプーン作りにフックナイフが欲しい
中太サイズの乾燥一年物、ナナミノキをスプーンにしようとしている。
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木のスプーンは何とも言えず、好き。
![](https://assets.st-note.com/img/1721540443182-j7v3qhsJsM.jpg?width=1200)
と、こういう作業で、とってもほしいナイフがあった。
フックナイフと呼ばれる先が丸くなっている刃物。
Google検索すると ↓ 出ている。
両手で支えて使いたいから、市販品ではハンドル部分が短くて不足に感じていた。
刃物鋼材 白紙1号
白紙1号は日本の製鉄界が誇る刃物鋼で、うまく作ると素晴らしく切れ味の鋭い刃物になる。
「玉鋼(たまはがね)」と呼ばれる日本刀専用の鋼材を研究して、成分をそれに近づけた鋼材として世界でも知られている。
京都の材料店、金高刃物さんが扱っていた。
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これが届いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1721541187738-X1DmH3s5Hy.jpg?width=1200)
法令で刃渡りが18cm以上は制限されている。
届いた白紙1号は長さ20cm。
4cmを柄の中に入れると、刃渡り16cmになる。
両方に刃がある両刃がスプーン作りには便利だが、両刃も制限されている。
仕方ないから片側は刃を付けないでつくる。
鍛造 鋼材を叩いて成型
岩手産のナラの炭を起こして、鍛造炉に火を入れる。
![](https://assets.st-note.com/img/1721541703434-JpmLVZPsji.jpg?width=1200)
下から挿入されている鉄管は空気供給路
赤外線温度計をスタンバイさせておく。
鋼材全体が900度になったら炉から出して、隣のDIYアンビルで叩きながら丸く成型する。
![](https://assets.st-note.com/img/1721542011301-vw7fS7XH58.jpg?width=1200)
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(鉄製のハンドルは火入れ前に取り付けておく)
焼き入れ
次が最も大事な「焼き入れ」。
刃先ラインの温度を810度に5分間、保つ。
![](https://assets.st-note.com/img/1721542273113-yD9dAqem5U.jpg?width=1200)
それから水冷する。
水は100リットル桶の中で、水中ポンプでぐるぐる渦巻きさせておく。
その渦巻へ挿入。じゅわー
水が流れていないといけない。
じゅわーの時に高温の泡が出て、その泡が鋼材の温度を十分に下げてくれない。
だから強い流れで、この泡を鋼材の周りから取り除く。
触ることができるくらいに温度が下がったら、
時間を於かず、すぐに「焼き戻し」。
180度で30分間、炉の中で温める。
炉はさっきまで高温になっていたが、空気供給路のブロワーを止めれば温度が下がってくる。
だから、炉の上の方がちょうどそのくらいの温度になるのを確かめて実施。
木の柄を付ける
![](https://assets.st-note.com/img/1721543007435-H0pMnGHG97.jpg?width=1200)
HRC硬度64
「ツボサン硬度テスター」という道具がある。World Wideで知られている名品だ。
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この「黒」で刃物の表面を軽く撫でて、無傷ならHRC65以上の硬さ、
少しのかすり傷が見えるかなぁ? という程度なら64くらい。
うれしいことに、後者の方だった。
するすると削れて、ストレスが無い。
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