見出し画像

白紙1号でフックナイフを作る


木製スプーン作りにフックナイフが欲しい

中太サイズの乾燥一年物、ナナミノキをスプーンにしようとしている。

ユルユルとチェーンソーで製材

木のスプーンは何とも言えず、好き。

この後、「拭き漆」して三か月間寝かせる

と、こういう作業で、とってもほしいナイフがあった。
フックナイフと呼ばれる先が丸くなっている刃物。
Google検索すると ↓ 出ている。

両手で支えて使いたいから、市販品ではハンドル部分が短くて不足に感じていた。

刃物鋼材 白紙1号

白紙1号は日本の製鉄界が誇る刃物鋼で、うまく作ると素晴らしく切れ味の鋭い刃物になる。
「玉鋼(たまはがね)」と呼ばれる日本刀専用の鋼材を研究して、成分をそれに近づけた鋼材として世界でも知られている。

京都の材料店、金高刃物さんが扱っていた。

そちらのサイト

これが届いた。

法令で刃渡りが18cm以上は制限されている。
届いた白紙1号は長さ20cm。
4cmを柄の中に入れると、刃渡り16cmになる。

両方に刃がある両刃がスプーン作りには便利だが、両刃も制限されている。
仕方ないから片側は刃を付けないでつくる。

鍛造 鋼材を叩いて成型

岩手産のナラの炭を起こして、鍛造炉に火を入れる。

この画像ではコークスを使っている
下から挿入されている鉄管は空気供給路

赤外線温度計をスタンバイさせておく。
鋼材全体が900度になったら炉から出して、隣のDIYアンビルで叩きながら丸く成型する。

充分に赤くなっていれば、苦なく成型できる


成型できた
(鉄製のハンドルは火入れ前に取り付けておく)

焼き入れ

次が最も大事な「焼き入れ」。
刃先ラインの温度を810度に5分間、保つ。

807度、だいたいOK

それから水冷する。
水は100リットル桶の中で、水中ポンプでぐるぐる渦巻きさせておく。
その渦巻へ挿入。じゅわー

水が流れていないといけない。
じゅわーの時に高温の泡が出て、その泡が鋼材の温度を十分に下げてくれない。
だから強い流れで、この泡を鋼材の周りから取り除く。

触ることができるくらいに温度が下がったら、
時間を於かず、すぐに「焼き戻し」。
180度で30分間、炉の中で温める。

炉はさっきまで高温になっていたが、空気供給路のブロワーを止めれば温度が下がってくる。
だから、炉の上の方がちょうどそのくらいの温度になるのを確かめて実施。

木の柄を付ける

小さいのは、鋼材「青紙スーパー」の試作

HRC硬度64

「ツボサン硬度テスター」という道具がある。World Wideで知られている名品だ。

手前の黒がHRC65

この「黒」で刃物の表面を軽く撫でて、無傷ならHRC65以上の硬さ、
少しのかすり傷が見えるかなぁ? という程度なら64くらい。

うれしいことに、後者の方だった。
するすると削れて、ストレスが無い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?