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ポーカー体験談 第2話:TRFのSAM

 TRFのSAMみたいな人と同卓。↓こんなかんじで、髪の毛を後ろで結んでいて、冬なのになぜか日焼けしていた。チャラ男というかんじだ。SAMと呼ぶ。まさに下の写真のような格好をしていた。

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 SAMは、ストリート系ファッションのお友達と二人でトーナメントに来ていた。ストリート系ファッションの方は眉毛が薄かったので薄眉とよぶ。SAMが3番シート、薄眉が7番シートだったので、卓の正反対の位置にいた。

 SAMと薄眉は、卓全員に聞こえるようにわざと大きな声で話していた。その会話を一部抜粋する。

 薄眉「てかお前の子どうだったの?」
 SAM「え、前の子?誰よ?」
 薄眉「六本木のクラブで会った子よ」
 SAM「いやどの子だよw

 解説がなくても分かるとは思うが、つまりSAMが言いたいのは、クラブで多数の女性と遊んでいるため、「前の子」という条件だけでは一人を特定することはできませんよということを卓の全員にアピールした訳である。SAMは顔の見た目的には年齢は30を超えているが、まだまだやんちゃを続けているようだ。

ちょっとこのかんじが芳ばしい香りがしてよかったので、二人の会話を聞いてあげることにした。

 SAMの「バイクで120キロだしたら風圧がすごかった」話、続いて薄眉の「●●先輩が泥酔して他人に迷惑をかけていた」話に続いて、ついにSAMがすべならい話を披露しだした。

SAM「てかさ、この前俺誕生日だったじゃん」
薄眉「あそうなの?」
SAM「いや覚えてねーのかよw まぁそれでさ、海斗が誕生日プレゼント送ってくれたのよ。何だったと思う?」
薄眉「わかんねー。なに?」
SAM「ちょっと何か言ってみ」

薄眉「supremeとか?

SAM「いや、ちげー。犬のペットフード入れる皿ww 」

SAM「俺は犬じゃねぇっつーのって言ってやったわw」


薄眉「爆笑じゃん

。。。


いや正直に告白すると、俺も少し笑ってしまった。

 薄眉の「supremeとか?」の時点でちょっと面白かった。もらったプレゼントを当てるという無限の回答肢がある中で、めちゃくちゃピンポイントな回答。というかsupremeが欲しいのは薄眉自身だろ。

 SAMの「俺は犬じゃねぇっつーの」は面白かった。どう思考したらこの話を公でしようという発想になるのか。いやそもそもどうやって30年生きてきたのか。このような話をしてしまっても市民権を剥奪されないような温かい環境で暮らしてきたのは間違いないが、そうはいってもそんな面白くない話はしちゃだめなんだよ、犯罪ではないけどやってはいけないことってあるじゃん、その一つだよとこれまで誰か注意してあげることはできなかったのか。それが本当に友達といえるのか。いやしかし自分の尺度で物事を捉えてはいけない。薄眉は「爆笑じゃん」と確かに言っているので、合格点だったのだろう。

 などと心の中でつっこんでいたときは、実は真の天才が薄眉だったことはまだ知る由もなかった。薄眉は言った。

「え、その皿何色だったの?」

 凄すぎる。地球生命体史上最も意味の無い質問ランキングの一位を、薄眉は難なく更新したのだ。並大抵の質問力ではない。自然と尊敬の眼差しを向けている自分がいた。

 はじめはちょっとうざいなと思っていたが、何か可愛く見えてきた。30を過ぎてもやんちゃを続けられる理由が少し分かった気がした。これからもそのままの二人でいて欲しい。

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