ITと法律を取り囲む問題の個人的な整理 その3

この記事は、「ITと法律を取り囲む問題の個人的な整理 その1 その2」の続きです。
なぜこれを書いたのかのいきさつや、注意事項などについては「その1」を確認ください。

この3 では、特に微妙な話題である、政治についての話への返信、まとめを行っておりますので、ここで再度「その1」の注意事項を掲示しておきます。

また、法改正をするべきでは? 署名をしたら? 政治への働きかけは? といった、扱いが難しい微妙な話題についての返信・考えのまとめも行っていますが、特にそういった個所については、一個人の現時点の考えであり、変化する可能性も十分にあるものであって、これを真剣に捉えられてバッシングをされるようなことは、今回自分の考えのまとめを公開するにあたっての私の本意とは異なるものですので、そのように真剣に捉えられないようにお願い致します。

 加えて、本文中に名前が出ているハッカー協会についての意見は、傍から見た私の一意見であり、この意見と実際の状況が必ずしも正しいわけではない、信用性が無いということをここに記しておきます。


(以下本文)

政治との話

 元メール・その2にて、エンジニア外にも興味を持ってもらえる人を増やす といった話がありましたが、これについては、必ずしもそのようにすべき必要性はあまりないと思います。
 「(元メールに書かれている) IT関連企業の影響力は印鑑業界にも劣る」という点から話を広げましょう。


(事情により略)


 それもそうでしょう。「(一部を除いて、) 企業であれば捜査しない」というスタイルですから、企業には関係ない話です。

(略)

 私も含めて、この問題に関わっている人の多くが、特にtwitter上で政治的になりすぎたくなく、どこかしらの政党・集団と協力する・政治の話をすると、話を信用されなくなると思っています(実際にそうなることでしょう)。
 私を含めて、陳情やパブコメはいくらでも出すが、献金はしないし、何かしらの団体として票を入れることも少ない集団でありますので、直接大きな影響を与えることは難しいでしょう。


 ではどのような手段を取ることができるのか?
 まず1つ挙げられるのは、議員会館で情報と法律の問題についての勉強会のようなものを行うことです。これについては、議員会館というハコを使って開催するという点では、比較的簡単に行うことが出来ます (以前、イベントでお話した、当時は元議員であった、山田太郎議員の公設秘書である坂井さん談)。
 これは議員やその秘書らに、問題となっていることを特に大きなコストを掛けることなく伝えることができます。
 ただし、それを誰が主催し誰を呼んで登壇させるのかという点の課題は多いでしょう。登壇者の話については、私はただの一学生であって専門家ではありません。専門家の方々をお呼びするにも、お忙しいことに加えて、政治というのは本当に微妙な話題でありますので、どうやって登壇者に話を持ち込むべきなのか頭を抱えることになります。

 このようなイベントを開くうえで適切な主催者となるのはハッカー協会でしょうが、ハッカー協会も政治的になってよいものであるのか? EFFの様に何かの権利を追求し、圧力を掛ける団体としてこの先を進むのか? という大きな変化・決断が必要になってしまうと考えます。

 私が主催するべきなのか? という話も微妙です。先に述べた通り、私は専門家でもなんでも無いただの学生であり、Coinhive事件そのものに関しては当事者ですが、現在のCoinhiveの裁判についてはただの一傍聴者・記録者でしかありません。
 この問題に関する私の今までの役割は、この問題が忘れ去られないように、報道や裁判の記録・保存を行い、その問題点を指摘・拡散して話題を提供する、当事者だからこそ提供できる情報を提供するというものでした。

 実際のところは裏で議員に陳情を書いて送ったり、IT系の話に強い法曹の方とクローズドな場で意見交換をしたり、情報法改正の話になった時に知見を提供できるように海外の法制・サイバー犯罪の捜査機関の調査を行ったりはしていますが、一個人、それも月収(貸与奨学金)4.7万円の学生が1人で活動できる範囲には限界があります。(長期休暇や睡眠, 食費/趣味を削って活動を行うのは逆に学生でないとできない気もしますが)
 ハッカー協会ではなく私がやるにせよ、この私の役割も大幅に変わる必要があり、これ以上こちらの活動にのめり込むべきであるのか? 専門家でもないのに? 政治活動に近い何かを? という点については、私としても決めかねる所が多く残ります。


 次に取ることができる手段としては、陳情です。
 以前、坂井さんと話した時の話として、議員は意外に陳情をよく見ている、案外届く陳情は多くない。陳情までするのだから何かあったのだろうと気にする、特に同じ話題の陳情が複数届いたときは特に気にする といったものがありました。想像以上に陳情は効果がある様です。

 私が2018年夏に書いた陳情は、その時点での情報法を取り囲む問題・事件(coinhive, alertloop, wizard bible)と、捜査機関の問題点を述べて、

・付帯決議に沿った個人ソフトウェア開発者・エンジニアの活動が萎縮しないような配慮
・前者を尊重しつつ明らかに他人に危害を与えたり情報を抜き取るような悪質なマルウェアの取り締まり
・不正指令電磁的記録に関する罪の具体的なガイドライン制定や法改正による要件の明確化
・捜査機関の人材育成と検挙率優先ではなく実際の被害規模に基づく捜査
・小さな規模の事件において、当該案件と無関係で不必要なものも含む全てのネットワーク機器・コンピュータを押収するようなことの自粛 (wizard bible事件のipusironさんの事例から)

などを求めるものでした。

(今思うと浪人生が夏になにをやってるんだ…捜査を受けてまだ2,3ヵ月しか経っておらず、精神的にもやられていた時期であったので理解はできるけれども)

 これについては、今の状況を踏まえて再度書き直すべきだと思っており、この春期休暇中に仕上げて提出しようと思っています。(前回は予算の都合で6名程度でしたがもう少し増やしますかね)

 この以前の陳情については、Coinhive事件に偏っている部分が多い (一般の方が不自然に思ったり反論されそうな点をすべて説明しているので) ため、次は情報法・捜査機関の問題全般の話に焦点を当てたいのですが、分かりやすく、かつ誤解の無いようにこの問題の全体図を書くのには一苦労しそうです。

 複数の陳情が届いた方が気にかけて貰える事が多いそうですが、私の現在の役割の状態では、私の出す陳情とは別に、陳情を書き出される方を私のアカウントから募集するのは少し不自然に思いますので、陳情を出す人数・規模を増やす、注目しもらうにはどういった手段が取れるのかについては少し検討中です。私の提出する陳情をテンプレートとして公開する という程度であれば可能だと思います。


以上


(許諾を得ましたので、この整理を行うきっかけとなった元メール及び私の返信後に帰ってきたメールも次の記事で公開します。)

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