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足場工事の根がらみとは?設置基準や設置方法も解説 2024/4/19

建設現場では「根がらみ」という言葉を耳にしますが、どういったものか知っていますか?根がらみは足場を組み立てるうえで重要な部材の1つであり、設置の基準が決まっています。そこで今回は根がらみの設置基準や設置方法について詳しく解説します。

本記事を読んで根がらみについてよく理解し、安全性の高い足場を組み立てることで、足場における無災害を実現できます。


1.足場工事の根がらみとは

足場工事の根がらみとは、足場の支柱と支柱の脚部を連結する水平部材のことです。根がらみを設置することで、1本の支柱に水平力が集中することがなくなり、建地の横滑りなどによる倒壊や、不同沈下を防ぐことができます。

根がらみは和風建築に由来しているといわれており、伝統的な日本家屋にも用いられています。日本家屋は、柱を玉石にのせるだけの基礎を採用していることや床下が高いことが特徴です。そのため、強度を維持するために脚部を木製の板で連結させていました。

この木製の板の部材を「根がらみ」または「根がらみ貫」と読んでいました。それが転じて、足場工事でも同じ名前が用いられています。

2.足場工事の根がらみを設置する基準

厚生労働省が発表している「足場先行工法のガイドライン」には、「根がらみは、できる限り低い位置に設置すること」「根がらみをはずした開口部等がある場合には、筋かい等で補強すること」と記されています。

このように、足場の根がらみは脚部のできるだけ低い位置に連続して設けなければなりません。建物の出入り口といった開口部を設ける場合は、開口部の両端のスパンを筋かいなどで補強する必要があります。

また、仮設工業会の「くさび緊結式足場の組立及び使用に関する技術基準」においては、足場の脚部ついて「足場を組立てる地盤は、堅固な場所とする」「ねじ管式ジャッキ型ベース金具の下には、地盤の状況に応じて敷板(しきいた)又は敷盤(しきばん)を使用する」「敷板を使用する場合は、ねじ管式ジャッキ型ベース金具を2本以上の釘等により敷板に固定し、敷盤を使用する場合は、ねじ管式ジャッキベース金具を敷盤の使用方法に従い固定する」と表記されています。

さらに、「桁行方向、梁間方向それぞれに根がらみを設置する。ただし、ねじ管式ジャッキベース型金具を2本以上の釘等により敷板に固定した場合は、桁行方向の根がらみを省略できる」という基準を示しています。

梁間方向とは建物に対して垂直方向のことをいい、桁行方向とは建物と平行する方向のことをいいます。上記のようにねじ管式ジャッキベース型金具を2本以上の釘等により敷板に固定した場合は、桁行方向の根がらみを省略してもよい基準が設けられています。

しかし、足場の下を作業通路として利用する以外はあまりメリットがないので、安全性を考慮して、梁間方向・桁行方向ともに全数設置することをおすすめします。

また、中央労働災害防止協定の「労働安全衛生規則」第570条においては、「足場(脚輪を取り付けた移動式足場を除く。)の脚部には、足場の滑動又は沈下を防止するため、ベース金具を用い、かつ、敷板、敷角等を用い、根がらみを設ける等の措置を講ずること」と規定されています。

この通り、根がらみ以外にも足場の滑動及び沈下防止のための対策が必要です。具体的には、足場を組む前に支柱の足元に敷板を並べ、支柱を受けるベース金具の四隅の穴に釘止めをして滑動を防止する方法があります。

2-1.くさび緊結式足場をビル工事用に用いる場合

仮設工業会の「くさび緊結式足場の組立及び使用に関する技術基準」では、高さ45m以下で使用する本足場を「ビル工事用くさび緊結式足場」、軒の高さが10m未満の木造家屋等低層住宅の建築、補修及び解体工事に使用される足場を「住宅工事用くさび緊結式足場」と定義しています。

根がらみに関しては、くさび緊結式足場をビル工事用に用いる場合と住宅工事用で用いる場合で、技術基準は同じです。

すでに説明した通り、「桁行方向、梁間方向それぞれに根がらみを設置する。ただし、ねじ管式ジャッキベース型金具を2本以上の釘等により敷板に固定した場合は、桁行方向の根がらみを省略できる」「根がらみは、できる限り地面から近い位置に設置し、各緊結部付支柱に緊結する」などの基準が定められています。

3.足場工事の根がらみの設置方法

根がらみの設置方法は鳶工によってさまざまですが、以下の内容が一般的な手順です。

1.後踏み側の支柱最下端にある緊結部に根がらみ用布材を打ち込んで相互に連結する
2.前踏みの支柱を順次、外柱に根がらみ用布材でつないでいく

根がらみは、くさび打ち込み用のハンマーを用いて、支柱の緊結部に打ち込んで設置します。また水平器やメジャー(スケール)などを用いて、建物との距離や根がらみが水平に設置されているかなどを確認する必要があります。

建物との距離を間違って設置すると、せっかく積み上げた足場が外壁の仕上げに干渉してしまいます。また、根がらみが水平ではないと、足場がゆがんだまま積み上がるため、後ほど足場を組み直さなければならなくなります。

根がらみの設置作業は安全性を考慮して、支柱を支える役と根がらみを設置する役の最低2名以上で行いましょう。加えて、正しい位置に水平に組むことができる鳶工に任せることをおすすめします。

4.まとめ

今回は足場工事の根がらみについて解説しました。根がらみは設置基準を守り、正しい方法で設置することが重要です。本記事を参考に足場に適切な根がらみを設置することで足場の安全性を高めるとともに、足場の組み直しなどの無駄な作業の手間やコストをなくしていきましょう。


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