急行電車が風を横切り、通り過ぎる。
午後3時過ぎ、街をすこし高く見下ろせる駅で電車を待つ。
反対側のホームには急行電車が風を横切り、通り過ぎる。
この駅は普通電車しか停まらない。
土曜日の1日、夕方より早く帰る同級生の姿をこのホームで見かけないのは、すこしだけ学校を出る時間が遅かったせいだろう。周りには早めに仕事を終えたスーツ姿のサラリーマンや異性を意識した巻き髪でミニスカートの女子大生がいる。
赤煉瓦色の電車がやってくる。扉が開く。
緑色のシートが一席分あいていた。「置き勉」をできない生真面目な生徒のわた