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ことことこーこ 阿川佐和子著

アラフォー離婚で実家に戻ってきたコーコが、お正月に母が呆けていることを父に宣言されショックを受けるところから始まる。何度も同じことを聞かれたり、話されたり、お母さんはコーコに怒られても、怒られたことをすぐ忘れてしまう!
私も別の部屋に何しにきたんだっけ?と最近ちょくちょく忘れることを思い出し、他人事じゃないと思う。

自分が何とかする!と気合をいれつつ、母の呆けぶりに動揺し、友人のアドバイスを受け入れて病院にいくことにする。
病院で行方不明になったりする母に動揺しつつ、帰宅するとお父さんが心臓発作で倒れて亡くなっていた。

結婚して別に住んでいるコーコの弟がすぐに実家を売って母を施設に入れた方がいいと言い出し、ムカつくコーコ。母譲りの料理のセンスを持っているコーコはフードコーディネーターのアシスタント業務を始める。

母をデイサービスにお願いしている日にアシスタントを頑張るコーコ。読みながらやはり一人で抱えてはダメなんだなと思う。私も何かあったらすぐ公的機関に相談しに行かなければと思いつつ、相談しに行ってもらうことになっちゃったりしてとも自省。ホント他人事じゃないんだよなぁ。。

フードコーディネーター仲間の麻有と仕事を頑張るコーコ。一日だけ弟宅に預けた母は、想定通り行方不明になる。怖ろしい話だ。この小説ではお母さんの気持ちのページもあって、混沌としているけど、それなりに考えて行動しちゃうんだなぁって思う。私も子供の頃よく行方不明になってたけど、その時も滅茶苦茶な想定で勝手に色々な方向に進み、いなくなっていた自分を思い出す。

弟宅には二度と頼めないわ、友だちにもそんなに頼れないわで、コーコには結構な負担になってるだろうと思って読んでいたら、急に弟がやってきてお母さんから施設に入ると電話があったなんて言われて、鬼るコーコ!気持ちは分かる。お母さんの為に、実家も守ろう、仕事もセーブしてって頑張ってたのにそれかい??って思うよね。

結局お母さんの意思もうっすら確認出来て、施設に入ることが決定。実家の売り先も決まり、仕事と家の片付けに追われるコーコ。無理は禁物だよと思いつつ読んだけど、最後はどうなるのか気になって、中盤から一気に読んでしまった。阿川さんのエッセイなのかと思って読み始めたけど、タイトルの意味も良かったし、お母さんとお父さんの描き方も良かったし、読みやすくて温まる小説でした。



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