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あの夜の辛ラーメンの味。
昨日からなんとなく気分が重い。
おまけに今日は午前中から雨。図書館に行こうと思っていたけれど、寒いし雨だし出かけたくなくなった。
お昼は、いつか買っておいた辛ラーメン。お湯を注ぐだけの簡単な食事。こんなお昼も悪くないなと思って、ヒーヒー言いながら麺をすすっていると、昔、はじめて辛ラーメンを食べた時のことを思い出した。
東京に引っ越してくる前、部屋を探しに東京に訪れた時のこと、友人の部屋に泊めてもらった日の夜だった。
彼女は仕事が終わって帰ってきて疲れているのに「もしおなかすいてたら一緒に食べない?」と言って、一袋の辛ラーメンに豆腐や白菜をたくさん入れて、半分に分けてくれた。
「せっかく泊まってくれたのに、何も用意できなくてゴメン」と言ってくれたけど、私は二人で分けて食べた辛ラーメンが嬉しかった。夜遅く、二人でわけて食べるちょっとジャンクな味って、なんだかワクワクしてたまらなく美味しい。
二人でラーメンをすすりながら「いい部屋は見つかった?」とか、色々な話をした。
そして、その後少しして私は東京に引っ越してきたんだけど、彼女が探してくれたあたらしい部屋でルームシェアをするようになったのだ。
二人ですすったあの夜の辛ラーメンの味。レストランで食べたちょっと良い食事よりも、はっきり覚えている思い出の食事。私にとってはなつかしい家族の味の一つなのだ。
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