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処理水のこと、風評のこと。

東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府は、国の基準を下回る濃度に薄めた上で海へ放出する方針を決めました。

この決定に対して、専門知識の無い方にとっては、良くわからないというのが実のところだと思います。

わたしもその一人です。

「飲んでも問題ない」と言われても、実際のところどうなのかな?ホントなのかな?と思ってしまいます。

良くわからないと、安全と言われても安心できないですし、そこに不安を煽るようなメディアの報道が重なると、ついつい否定的になってしまいますよね。

NEWSSALTは、3月6日にオンラインセミナー「安全なら安心か? ~放射線被ばくの観点から考える~」を開催しました。

2021年2月22日、福島県沖の試験操業で水揚げされたクロソイから、国の基準値を超える500ベクレルの放射性セシウムを検出し、出荷を停止したというニュースが報じられました。

セミナーではこのニュースを取り上げて「放射線被ばく」について正しく知り、その上で「安全」と「安心」の違いについて考える時間を持ちました。

科学的に「安全」だとしても、「安心」できるかは、また別の問題なんですよね。

人々が安心できるかどうかは、科学的な根拠に基づく「安全」は絶対条件ですが、それと同じくらい必要なのが、政府やメディアの丁寧な説明だと思います。

現時点の海洋放出方法は、
1、タンクに貯められている処理水をALPSで二次処理をしてトリチウム以外の放射性核種を取り除く。
2、二次処理後にモニタリング検査して放射能レベルが基準値以下なら海水で希釈して放出する 。

というもので、排出される核種はトリチウムだけです。

WHOが定める飲料水中のトリチウム濃度の基準は 1リットルあたり1万ベクレルに対し、海洋に放出される処理水のトリチウム濃度は1リットルあたり1500ベクレルということで、科学的には十分安全と言える基準のようです。 


トリチウムが魚の体内に蓄積されないのか否かについては、結論、蓄積はほとんどされません。

トリチウムは水H2Oの水素Hと化学的に同じで、放射能があるといっても水のため、仮に人間や魚が摂取しても長期間体内に残留することなく数日で排泄されるとされています。


要は、飲料水や水産物については風評被害が心配なだけということになりそうで、これは私たち国民が正しい知識を持ち、現地の水産物を理解して消費すればよいということになってくると思います。

そのためにも、安全性を伝える側には、丁寧なコミュニケーションが求められます。


風評被害に対してどう対処するのかについては、政府は損害分を東京電力に賠償を行うよう求めています。

それも必要な事かもしれませんが、その前に風評を生じさせないための努力をしなければいけないのでは?と思います。

伝わるように伝える努力が必要です。



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