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キャンプクエストの方々に読んで頂きたい記事

なぜ今なんだ。
ぎゅるるる、と蠢くお腹に問いかけても返答は無い。
午前三時、早すぎる起床時間に文句を言ったところで眠気は訪れない。ぼとぼとぼとぼと。一向に途切れる気配の無い雨が、フライシートに跳ね返る音がする。
私は、今、決断を迫られている。テント内でのビニール袋を使った脱糞、もしくは少し離れたペーパーの無いトイレでの死。
何度やっても救われることのないシュミレーションを繰り返していると、サイト近くを流れる川のせせらぐ音が聞こえてきた。
そうか。
私は迷わなかった。真っ暗闇の中、ペットボトルとタオルを持ち、モンベルの二人用テントを飛び出した。
冷たい雨がシュラフによってぬくぬくしていた体を打ち付ける。だが関係ない。ドブに落ちようが、雷に襲われようが平気だった。腹の中で蠢く茶色い物体を放出できる。それだけの、たった一つの希望が、私の体を守る盾となって厳しい天候から守ってくれている気がした。はぁっっ。
はぇっ。
はっ。
うんこ我慢プレイってこのくらいの快感なのかしら。
トイレットペーパーの無い個室で快感に打ちひしがれていたのもつかの間、私は個室を後にした。
ズボンとパンツが肛門に触れないように慎重に歩き、やっとの思いで川辺に到着する。ペットボトルとタオルがあることを確認し、私は明かりの無い川辺でお尻をむき出しにした。
冷たっ。
500mlペットボトルに移された川の水は、自作のウォシュレットとして私のお尻の割れ目を通過した。ああ、気持ちいい。ああ、良かった。テントの中でしなくてよかった。お尻を雨に打たれながら、そばに置いた清潔なタオルでお尻を拭った。
パンツとズボンを元の位置に戻し、テントに入る。お腹の違和感は鎮まり、体を温めてくれるシュラフが私を眠りの世界へ誘った。

追記:翌朝にこやかに挨拶してくれたキャンパーの皆さん、白状します。昨夜私はお尻をむき出しにし、大量の大腸菌をこびりつけたままサイトをうろついていました。人畜無害な顔をしてしまってごめんなさい。

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