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賞味期限が分からないコンビーフ事件

防災用品の片付けをしていたらコンビーフの缶がひとつ出てきた。
賞味期限を見たら「CB 830726 YM20」と刻印がある。
ネットで画像検索するもヒットせず、読み方が分からない。

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CBはたぶんコンビーフだろう。
YM20は販売者である野崎産業株式会社の後ろにもあるので、何かしらの識別番号か。

問題は830726だ。

まさか……、1983年7月26日……。
そんなわけないか。

そこからネット上で調査をして分かったのは、「ノザキのコンビーフ」の、くるくるして開ける缶は2020年春で販売終了していること。いつ買ったか記憶にないくらいだからもっと前のものに違いなく、さらに調査を深めると、野崎産業株式会社は1999年に川鉄商事と合併し、現在は社名が変わっていると判明した。(参考:ノザキのコンビーフの歴史

家族の団らんはコンビーフの謎に関する話題一色となり「そんなに古いものなら缶がもっと膨らんでいるはずだ」「値札も綺麗すぎる」「値段も当時293円では高すぎるのではないか」「1983年は賞味期限を表記する決まりは無かったはず」「そもそも我が家はコンビーフを食べない」等、分からない者同士の議論は白熱するのだった。

そして私は現在の販売元である川商フーズ株式会社に問い合わせメールを送った。

真実を教えて欲しい、と。

翌日、川商フーズ株式会社の食品流通部の担当者から返信が届いた。

お送りいただきました写真の製品は大変古いもので、当方も驚き、また懐かしい思いを抱いた次第でございます。
CBはコンビーフを、830726は製造年月日で1983年7月26日を、YM20は製造工場の缶コードをそれぞれ意味しております。
因みにYMは山形県でございます。
当時は製造年月日表示であり、また現在のインクジェットで表示をしているのと違い、缶にエンボスして表示をしておりました。

なんと……。
コンビーフの賞味期限は3年6ヶ月とのことなので、我が家のコンビーフは33年前に賞味期限が切れていたのだっっっ!
そんなことあるのかっっ!!!

どうやら祖母が亡くなった際に引き取った荷物の中に昔の防災用品があり、そのまま我が家で保管されていたようなのである。
その証拠に、古いろうそくと合わせて出てきた新聞には、コンビーフと同じ世代の1981年10月18日の文字があった。

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昭和・平成・令和の時代を越え、コンビーフを食べない我が家に現れたひとつの「ノザキのコンビーフ」。
祖母からの贈り物は多くの謎と人間味溢れる企業対応のおかげで、我が家のほっこり事件簿の素敵な1ページとなったのだった。

そしてコンビーフは、いまも本棚に新聞と共に飾られている。

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